第91話 余計なナニか
ここからはセツ目線になります∠(`・ω・´)
〜セツSide〜
「フゥ」
魔人化して飛んですぐ、アタシはある場所に降り立った。
龍太郎の家から飛んで30分くらいに、かつてアイツと戦って、そして瀕死の重傷をおった。
あとに現れたナナシのせいで全焼した、あの埠頭に来ていた。
目的は方角を合わせる為。
Grey Ghostから送られてきたRainのに、この一文があった。
(M + O) - (I + S) = 11
コレはアイツからの簡単な暗号だった。
用心深い事に越したことはないが、本当にどんな頭してんたが。
アタシはその答えになる場所に隣接するこの場所、埠頭を千里眼で見渡した。
そして、ヤツが置いていった折り紙…今度はやっこさんか。
それが隠すように置かれていた。
ちなみにこの暗号の答えはコレだ。
この暗号のアルファベットは、世界中で使われる「海の分類」の頭文字を指している。
M (Modern Seven Seas): 現代の「七つの海」= 7
(北太平洋、南太平洋、北大西洋、南大西洋、インド洋、南氷洋、北氷洋)
O (Five Oceans): 世界の「五大洋」= 5
(太平洋、大西洋、インド洋、南極海、北極海)
I (Indian Ocean): 「インド洋」= 1
(MとOの両方に共通して含まれる主要な海)
S (Sea): 補正値(または単独の海)= 0
(この式を成立させるための調整、あるいは重複の排除)
これらを式に当てはめると、
(M+O)−(I+S)=(7+5)−(1+0)=11
世界の「七つの海(7)」と「五大洋(5)」を足して、共通する「インド洋(1)」を引くことで、『海』の漢字の画数である「11」が導き出される。
そしてこの街の海に関係して、且つ人が寄り付かない場所は、ここしかない。
「これか」
千里眼で見つけていた折り紙のやっこさんを拾い上げて、カメラモードでその折り紙を読み取る。
そして今度はスマホの画面を渦巻き状に5回なぞり、ZGMFの文字を入力すると、中の情報が開示された。
北緯 10度 、東経 127度
コレは、座標か?
この位置は、フィリピン・ミンダナオ島東方沖の太平洋上だな。
フィリピン沿岸警備隊の巡回ルートに入らない、外洋特有の荒い波や強風が発生しやすいエリアで、こんな所に何があるんだ?
気になったアタシは、その方角に向けて千里眼を使う。
「!」
なるほど、納得した。
アタシが見たのは、その位置に大きな船……老朽化した黒塗りのタンカーが、一隻鎮座していた。
Shadow Fleet
所謂、幽霊船団と言われてる奴等だ。
コイツ等は国際制裁の逃れて、主に石油を密輸する老朽タンカー集団だ。
船舶自動識別装置を切って、船舶のレーダーに映らないように航行、位置追跡が出来ないようにしているから、幽霊船団と呼ばれている。
現在でも、凡そ800隻以上が世界中の海を航行して、あらゆる物を密輸している。
たまにニュースでタンカーから石油が漏れる事故があるが、実はコイツ等が原因なのが結構ある。
老朽化して無保険でやってるから、当然事故が起こりやすい。
何かあればコイツ等は船を棄てる。
環境汚染なんか微塵も考えてない。
そんな奴等が、童話の巣窟と関わっている。
「…………」
握った拳に力が入る。
爪が食い込んで、資料にあった子供達の写真を思い出す。
魔人化して本気で飛んだら、だいたい30分くらいで着けるか?
「!」
変身して飛ぼうとした時、何かが走ってくる音が聞こえた。
大型拳銃を抜いて銃口を向けると、走ってきた何かはアタシの前で急停止した。
「ハッハッハッハッ」
………………犬?
しかも見たことのある秋田犬……。
「お〜いオルカ〜!?何してんだよ!?」
そして聞き覚えのある声……。
龍太郎の友達の人外……たしか、純也って言ってたか?
吸血鬼と人間のハーフ、"ダンピール"だったな。
「って、アレ? アンタは……!」
アタシの姿を見つけた彼は、結構驚いた表情をしていた。
お互いに、なんでこんな所に?って思ったが、純也はたまに犬と遠くに散歩しに来てたんまが、急に犬が走り出して追いかけたらアタシが居た。
ここはまだ立ち入り禁止区域なんだが、コイツも犬も人外と化してるから、ピョンっと規制線を飛び越えてきたと。
フットワークが軽いな。
「あ、そういえばまだ自己紹介してなかったっすね!
俺、稲波 純也っていいます!こっちは俺の相棒で、オルカって言います!」
そういえばまだ自己紹介も何もなかったな?
あの時はF.Eのヤツが残していった疑似魔界の浄化等にメッチャ時間掛かって、それどころじゃなかったからな。
アタシも自己紹介くらいしとくか。
「アタシはセツ。龍太郎から聞いてるだろうが、まぁよろしく頼む」
「セツさん………いや、セツ姉さんと呼ばせてもらうっすね!」
…………なんかお笑い界の上下関係みたい言われたような気がする。
まぁいいか、別に損するような事もない。
「セツ姉さんは、なんでここに?」
「アタシは、コレから人外を始末しにな」
軽く説明すると、純也は何を思ったのか、アタシの仕事を手伝うと言うた。
手伝ってくれるのはありがたいが、場所が海のド真ん中だ。
飛ぶ以外に、あんな場所まで行く手段は無いと、アタシは彼を突っぱねたんだが……
「あ、だったら大丈夫っす!走っていきますから!」
………いま何て言った?
魔人化したセツが本気で飛んだら、だいたいマッハ5で飛びます。
時速6.125キロ!




