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人外討魔伝記  作者: 一ノ瀬カイヒロ
第4章 徴血の行方
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第89話 四魂

引き続き、佳鈴の視点から行きます∠(`・ω・´)

気持ち良かった〜♫


お風呂はやっぱり心の洗濯だね!

ホカホカした気持ちで、メイちゃんの身体をバスタオルで拭いていく。


もっとお風呂に浸かりたかったみたいだけど、上がらないと龍太郎りょうたろうの作ったご飯が冷めちゃうからね。


薄着の寝間着ねまきをメイちゃんに着せると、その一挙手一投足いっきょしゅいっとうそくの全てがカワイイ!


お風呂で綺麗になって、隠れてた可愛さが全面に出てた!



「可愛くなったね、メイちゃん!」

「……………」



自分の姿を、鏡でマジマジと見つめるメイちゃん。


顔の表情はほとんど変わらなかったけど、多分カワイイと思ってる……はず?


とりあえず、私達は一緒にリビングへと向かった。



龍太郎りょうたろう、お風呂上がったよ〜」

「おぅ」



丁度机の上に、出来上がった料理を運んでた最中だった。

あ、今日は素麺そうめんなんだ?



「先に食べててくれ、あとコレ揚げるだけだから」



そう言うと龍太郎りょうたろうは、下拵したごしらえをしたエビに衣を着けて、フライパンに薄く張った油の中にエビを投入していく。


パチパチと油のねる良い音が響いて、私の食欲をそそる。


そして素麺そうめんいろどるキュウリの千切りや角切りにされたトマト。


薬味にミョウガやネギに生姜しょうがが用意されてた。

トッピングのシイタケの甘煮や錦糸卵きんしたまごもある!


天ぷらが出来るまで、私達は用意された素麺そうめんすする事にした。



「…………これ」

「ん?なに?」

「これ、食べられるの?」



そう言ってメイちゃんが、シイタケに指を差して聞いてきた。


シイタケ嫌いなのかな?



「食べれるよ、龍太郎りょうたろうの作るものは美味しいんだから♪」

「……これも、そう?」



次に指差したのは錦糸卵きんしたまご


なんだろ?嫌いなもの……というより、シイタケや卵を見たことないような、そんな感じがするな?



「美味しいよ!さ、食べよ!」



私は固まって動かなかったメイちゃんを席に座らせて、龍太郎(りょうたろう)特製のつけ汁を差し出した。


シイタケの甘煮を作るのに干しシイタケを使ってて、その戻し汁を市販のめんつゆに入れるだけでメチャクチャ美味い!

私はネギと生姜しょうがの薬味を加えて、つゆに素麺をつけてすする!



「くぅ〜〜〜!!」



美っ味い!

シイタケの戻し汁入れただけで、どうしてこんなに美味いのかな!?


次は錦糸卵きんしたまごと素麺を一緒にすする。


錦糸卵きんしたまごにもお出汁で軽く味付けされてて、つゆの味が引き立てられてる!


私が美味しそうに食べてるのを見てて、メイちゃんはおぼつかないお箸の使い方で、おそおそる素麺をすすってみた。


すると目を少し見開いて、素麺とおつゆを交互に何度も見た。

表情は変わらなかったけど、眼がキラキラしてイキイキとしてるように見える。


他にも私がキュウリやトマトと一緒に素麺そうめんを食べると、メイちゃんも同じ様にしてキュウリとトマトを素麺そうめんと食べる。

そのたびに眼がキラキラしてて、なんか微笑ましくなる。


ホッコリしてたら、龍太郎りょうたろうが天ぷらを揚げ終わって持ってきてくれた!



「熱いから気を付けろよ」

「ありがと、龍太郎りょうたろう



熱々の出来たての天ぷらに、さらに食欲がそそられる!


サツマイモにレンコン、ナスとエビ、あとは卵丸ごとの天ぷらもある!

たしか卵の天ぷらって、冷凍庫に入れて凍らせた状態で揚げるんだっけ?


それを揚げれるんだから、やっぱり龍太郎りょうたろうは料理上手だなぁ。



「つゆ、追加するか?」

「あ、ありがと!」



ヤカンに入れてあったおつゆを追加してもらって、それにエビの天ぷらを浸けて一口。



サクッ!



揚げたてだから良い音してる♪


でも、



「はふはふっ」



出来たてはやっぱり熱い!



「エビは逃げたりしねぇよ」

「だって、せっかくの出来たてだもん!

出来たての美味しさがあるんだよ!」

「ったくw」



悪態あくたいっぽいけど、龍太郎りょうたろうの顔を見たら少し口元が上がってた。


嬉しいクセにw


龍太郎りょうたろうの足元でご飯を待ってたグラピーも、特製の手作りパウチでガツガツ食べてる。


そしてメイちゃんは、卵の天ぷらをおはしで掴んでジッと見てた。



「コレは、卵の天ぷらだよ」

「たまご…?」

「そ、この黄色い錦糸卵きんしたまごを作る時の元になる食べ物だよ」

「……………」



錦糸卵きんしたまごと卵の天ぷらを交互に見てるメイちゃん。


マジマジと見つつ、素麺そうめんのおつゆを浸けて一口(かじ)った。



「!」



サクッとした軽い歯触りと、卵の白身のプリっとした食感。そしておつゆをの旨味が口の中で広がって、あむちゃんはもう一口(かじ)る。



「!!」



今度は白身の中から黄身が、トロっと口の中で広がる。



「え……?」



メイちゃんの眼から涙が流れた。



「え、あ、大丈夫!?」



突然泣き出して、もしかして口の中を火傷やけどしたのかな?って思ったけど、メイちゃんは泣いている事に気付いていないのか、卵の天ぷらをもう一度おつゆに浸して食べた……。



無表情なのに、涙を流しながら、ゆっくり噛んで飲み込むメイちゃん。



私達はその光景を、ただ黙って見いているしか出来なかった。


=====================================


そして数時間後、歯磨きをしてから、メイちゃんは私の部屋で寝ることになった。


2人で寝静まった頃、リビングでは龍太郎りょうたろう朱里しゅりさん、セツさんの3人が集まってた。



「なるほど、だから妖魔がここにいると」

「ああ」

「で、間近で観察してどうだったんだ?」



セツさんはクラブから帰ってきて、すぐにメイちゃんの気配を感じ取って、大型拳銃グリズリーを抜いて入って来た所を龍太郎りょうたろう遭遇そうぐう


色々と事情を話して情報をり合わせて、とりあえず落ち着いていた。



「どうもなぁ、ただの妖魔じゃないってことだけはわかったんだが…」

「だが?」

「感情が読めないんだ。ご飯を食べてる時、無表情だったけど、眼だけは輝かせてたんだが、突然泣き出したんだ」

「泣き出した?」

「なんで泣き出したのかはサッパリで、食べ終わってたら泣き止んでた。情緒不安定かとも思ったんだが、佳鈴かりんとのやり取りとか見てても、コミュニケーションはしっかり取れてた」



龍太郎りょうたろうの話を聞いて、セツさんは腕を組んで悩み始めた。


コミュニケーションを取れる妖魔は基本、多くの人間を殺してむさぼってきた危険な存在。


けど、メイちゃんは私達に牙という牙を向けていない。


攻撃性を隠しているのか?とも思っていたけど、グラピーが威嚇いかくも警戒もしなかったという点から、悪意というものが無い可能性が出てくる。



悪意の無い妖魔なんて、みんな聞いたことなんか無い。



けど………



「ねぇ」



ここで朱里しゅりさんが声を上げた。



「どうした?」

「私も、あの妖魔を見てたんだけど……」



そこまで言うと、朱里しゅりさんは少し間を置いた。


龍太郎りょうたろうもセツさんも、朱里しゅりさんが言いよどんだ事に首を傾げた。


そして、意を決した様な真剣な表情で、朱里しゅりさんは口を開いた。




「あの子、四魂しこんを宿してる」

「っ!?」




龍太郎りょうたろう驚愕きょうがくして、眼を紅く光らせながら、見開いて朱里しゅりさんに詰め寄った!



「おい、ふざけんなよ!?

そんな事あるはずが……」

()()()()()()()()()()()()



朱里しゅりさんは、龍太郎りょうたろうの紅い眼から視線をらさず、彼の眼を合わせ続けた。


互いに少しの間、眼を合わせ続けて、龍太郎りょうたろうが舌打ちをしながらイスに座る。



朱里しゅり、どういう意味なんだ?」



様子を見守ってたセツさんが、朱里しゅりさんに問い掛ける。


()()()()と言い切っている所から、朱里しゅりさんは何らかの特別な存在だとセツさんは見ていた。


そして、その考えは正しかった。




「私はね、九十九鬼つくもおにって呼ばれる存在なの」

九十九鬼つくもおに九十九つくもって、付喪神つくもがみとかじゃないのか?」

「同じ意味よ。私はね、ある強力な法力を扱う人間が使ってた法具ほうぐなのよ」



日本で、古くから物は100年使うと霊を宿し、"付喪神つくもがみ"になるとわれている。


その起源は、14世紀から15世紀頃の室町時代の『付喪神絵巻つくもがみえまき』。


煤払すすばらいで捨てられた古道具たちが怒り、妖怪となって人間に復讐し、最終的には仏門に入って成仏する様子が描かれている。

付喪つくもの語源については、老女の白髪を指す「つくも髪」を「九十九神つくもがみ」に掛けたものとされている。


これは、室町時代に付喪神絵巻つくもがみえまきの作者、土佐光信とさ みつのぶが、ある僧侶そうりょの法力を目の当たりにして、それをそのまま書き記したものだった。



その僧侶そうりょの名前は、"尊意そんい"。



尊意そんいには、陰陽師顔負けの強烈な呪術・法力エピソードが豊富にある事で、マニアの間では有名な人だ。

そのなかで最も有名なのは、日本三大怨霊の一人である"菅原道真すがわらのみちざね"公をしずめて、勉学の神様として神格化させた事だと思う。



付喪神つくもがみとかの一部の妖怪はね、人間と同じ"四魂しこん"を宿して生まれるのよ」

四魂しこん?」

「そ、簡単に言ってしまえば、妖怪が霊魂れいこんを得て、肉体を現世に受肉することが出来るのよ」



四魂しこんとは、神道における人間と神様の心の性質とされてて、それぞれ荒魂(あらみたま)和魂(にぎみたま)幸魂(さきみたま)奇魂(くしみたま)と呼ばれている。


荒魂あらみたまは、勇気や行動力、バイタリティの源。

和魂にぎみたまは、平和や調和、他者との協調性。

幸魂さきみたまは、深い愛情や育成、献身の心。

奇魂くしみたまは、冷静な分析力や知性、そして奇跡を呼び起こす力を指す。


そしてその4つの性質を束ねる中心を"直霊なおひ"と言う。



「これらの四魂しこんの強さによって、人間は性質や個性が出るのよ」



荒魂あらみたま和魂にぎみたまが強ければ、会社を起業してリーダーシップを発揮したりする強い人間としての性質が出たりする。


でも逆に、幸魂さきみたま奇魂くしみたまの性質が弱ければ、勢いだけの、戦略やリスク管理がおろそかになりがちで、仲間を大切にするあまり、「切り捨てるべき損害」や「無能な部下」を切れなくなったりする欠点も出てくる。


それは妖怪にもある。


長年九十九鬼(つくもおに)として生きてきて、陰陽術を身に着けた朱里しゅりさんだからこそ分かるものだった。



「あの妖魔が四魂しこんを宿す事が出来る方法があるとすれば、おそらく()()()()が加わってるわ」

「つまり、何が言いたいんだ?」



セツさんは、朱里しゅりさんの言いたい事を分かった上で、あえて結論を聞いてきた。


自然発生した妖魔では、四魂しこんを宿す事は出来ない。


そして朱里しゅりさんは、その結論を言った。







「あの妖魔は、人工的に作られた可能性が高い」







他にも色々、四魂については他の国の伝説や伝承を調べていったら、見事に類似しているものが結構あってビックリしてます(゜o゜;


では、今回は以上です∠(`・ω・´)

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