第103話 さよなら愚息
ここで久しぶりのキャラクターが登場します!
同時刻アメリカ、アイダホ州ツインフォールズ
午前11時頃。
時が経ってすっかり相応……から少し若いか?
アタシを育ててくれたベアード・ジョンソンは、猟銃で仕留めた獲物のヘラジカをその場で解体して、愛用している日本製の軽トラにヘラジカを乗せる。
朝早くから猟に出て、大物のヘラジカを仕留められた事にベアード内心ニッコリしていた。
昨日から息子達と娘達が、孫がひ孫を連れて帰省していて、彼は孫達に美味いモノを食べさせてあげたいと思っていたが、今ある肉じゃ賄いきれないから、ヘラジカを仕留められたことにホクホクな気分だった。
内臓を抜いて剥いだ毛皮の上に肉を乗せていく。
軽トラで運ぶにしても、1回では無理だから2回に別けて運ぶ。内臓は置いておけばクマやオオカミやコヨーテが食べてくれる。
持って帰るとヘラジカを仕留めた事にみんな驚いていて、それぞれどんな風にして食べようかと期待に胸を膨らませた。特にひ孫達はその肉の塊に大興奮して、早く食べたくてみんなで手伝いを買って出た。
『お〜い!すまんがコイツを地下に閉まってきてくれないか?』
『あ、アタシが行くわ』
『トリガーロックはしっかり掛けろよ!あと弾を抜くのも忘れるなよ!』
『分かってるよ〜!』
孫娘のカーラに猟銃を手渡して、彼は軽トラに積んだ肉の塊を肩に担いで調理に入る。
カーラは鼻歌を歌いながら地下の階段を降りて電気を着ける。
そこはアタシが見た時とほとんど変わらない銃の数と、その銃を整備したり作ったりする工場が兼用している。カーラは預かった猟銃を金庫の鍵を開けて仕舞おうとした。
が…
ドンガラガッシャーンっ!!
彼女の背後でけたたましい音が響き渡り、カーラはビックリして音のした方に銃口を向けた。
そして彼女の目に写り込んだのは……
「ぐおぉぉぉ………痛っつ〜〜〜〜〜〜」
アタシに玉と棒を思いっ切り握られて、悶死する痛みを堪えながら立ち上がった純也だった。
ただし、腰パンだった事が災いして下半身丸出しの状態でたが……………。
カーラから見れば、純也は家の地下室に突然現れて恥部を晒している変質者だ。
互いに眼が合い、一瞬だけ間が沈黙。
そして………
「Noーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
ズドォォン!!ズドォォン!!
「%#⬛□△¥%>》$ω○!!!」
まぁ、そうなるわな。
アメリカじゃ突然現れた変態男に銃を向けるのは当然っちゃ当然。
まぁ撃たれたところが股間で、弾がスラッグ弾ってのが可哀想だけど……。
そして突然の銃声にベアードが走って降りてきた。
『なんだ!?何があった!?』
『おじいちゃん!!地下に変態が!!』
孫娘が取り乱しながらベアードに助けを求めて持っていた猟銃をベアードに手渡し、彼は血塗れの股間を押さえながら悶絶してる純也に銃口を向けた。
『誰だお前は!?どこから入ってきた!!』
強い口調で引き金に指をかけたベアードだったが、視界の隅に特徴的な紅い髪の毛が見えた。
見間違う訳がなかった。
『え………セ、セツ!?』
驚きの表情で銃口は純也に向けつつ、大粒の汗をかきながら倒れ込んでるアタシを見つけたベアード。
『よぉ、久しぶりだな』
『久しぶりじゃない!お前がここに居るってことは……まさか転移してきたのか!?』
ベアードはこの地下室のロッカーに転移陣を設置しているのを知ってる。だから大凡の予想はつけられた様子だった。
『よく無事で……って、その子は?』
『辛うじて保護出来たんだ。童話の巣窟の連中に捕まえられてた』
驚いたの表情をしながら事情を察したベアードは、アタシから子供を預かると、孫娘にベッドの用意を頼んで、それぞれに頼み事をしていった。
とりあえず、あの子供はコレでひとまずは大丈夫だな。
『んで、コイツは?』
『アタシが巻き込んだ奴だ。頼りになる奴だよ』
まぁ撃たれて可哀想だけど、そのうち元に戻るから大丈夫だろ。
アタシはベアードに肩を借りて地下室からゆっくりと上がっていった。
あぁ、懐かしいな。
もう帰ってくるのは50年ぶりか。
子供達も、その子達も、ニューヨークの拠点にいた時にちょこちょこ会ってたが、アタシがこの家に来ることは無かった。
突然家から出てきたアタシに、パティ、マイク、ボブ、メア、アンの5人とも驚いた表情をして、アタシに泣きながら抱き着いてきた。
『お姉ちゃん!ホントに久しぶり!』
『ああ、元気だったかパティ?』
『セツ姉!来るなら来るって連絡くらいしてくれよ!』
『そうだよ!みんなセツ姉に会いたかったんだからさ!』
『マイク、ボブ、すまなかったな』
『おかえりなさい!お姉ちゃん!』
『ずっと待ってたんだから!』
『メア、アン、ありがとな』
あの小さかった子供達が、今ではすっかり子育てを終えて中年になって、みんな……本当にデカくなった。
で、アタシにもっと会いたかった人物が、アタシの存在に気がついて物凄い土煙を上げながら走ってきた。
『セーーーツーーーーーーーーーーー!!!』
魔力切れでしんどかったけど、アタシは子供達から離れて、彼女の全速力のハグを受け止めた。
が、
ガンガラガッシャーンっっっ!!!!!
マリアの全速力ハグタックルは身体に鞭打って受け止めるもんじゃねぇな。
いつもの如く、玄関扉をブッ壊して壁もブチ抜いて、キッチンのシンクをも貫いて裏庭のドムの墓の前でようやく止まった。
痛って〜な〜。
『セ〜ツ〜〜♡』
『久しぶり、マリア』
年数が経ってもまだ30代後半みたいに若い見た目のマリアが、喜び溢れて狼の耳を出して、尻尾を引き千切れんばかりにブンブン振って全力で喜んでる。
アタシはマリアの頭を撫でながら、彼女の全力の愛情表現を受け止めた。
そんなアタシを、腕を組みながら笑ってるかのようにドムの墓が見ていた。
「あの…俺、このまま?」
「ハッハッハッハッハッハッハッハッ」
シリアスからの突然の落差w
おっさんのいつも通りの作調でした!
ほな、今回は以上です∠(`・ω・´)




