第100話 生死不明のタンカー
ついに100話!!
頑張ってきてようやくです!
どうぞ!!
〜セツSide〜
変態を氷漬けにして魔界に送ったあと、アタシは来た道を戻りながらクソを始末していくなか、白衣を着た奴がデカい鞄を背負いながら、そこから重要そうな書類を零しながら急いで逃げていくのが見えた。
気になったアタシは、逃げて行った白衣の奴が撒き散らした書類を手に取って読んでみる。
ポーランド語で読み難い文法を使って情報が奪われる時間を稼ぐような書かれ方をしていたが、内容を理解したアタシは驚愕していた。
「おいウソだろ……?」
ここに書かれている事が本当なら、クローンを作ってる連中の背後に居るのは……!!
アタシは情報を集めようと、白衣の奴が出てきたであろう半開きの部屋へと入る。
そこは膨大な研究資料と起動しっぱなしのパソコンがあった。アタシはパソコンの中身を確認するが、中のデータは何も無かった。
おそらく記録媒体にデータを移して逃げたんだな。
けどこのくらいなら、移動させたデータが何なのか分かれば良いだけだ。
アタシはスマホを取り出してパソコンにUSBに繋ぐと、スマホのあるアプリを起動させる。
ベアードに無茶言って作らせた『Trace Back』という復元違法アプリだ。
普通復元ソフトは、自分がうっかり消したファイルを助けるための、言わば『レスキュー隊』みたいなもんなんだが、このアプリは違う。
パソコンからデータが移動したとき、普通は『もうここには何もありません』というフリをする。
でもこのアプリは、パソコンの心臓部、メモリやセクタを無理やりこじ開けて、まだ体温が残っているデータの死体を掘り起こして、勝手に複製を作る。
しかもデータを移動させた後に、わざとデタラメな数字を書き込んで元のデータを消す『シュレッダー機能』すら、このアプリはわずかな磁気の変化から元の形を読み取ってしまう。
まぁ強力すぎるあまり、解析中にパソコンのハードディスクに大きな負担をかけて、最悪の場合は煙を吹いて物理的に壊れてしまうけどな。
データを抜き取ってUSBを引き抜くと、パソコンからバチンッ!って音がして煙が上がる。
パソコンが逝っちまったか。
抜き取ったデータ軽く見てみると、アタシがさっき見た内容の所を見つけた。続きを読んでみると、かなり奥の方に隠す感じで、電子印鑑の押された電子決済書を見つけた。
そして押されていた電子印鑑を見て知っている顔が浮かんで舌打ちする。
「チッ、クズだって分かってたがここまでとはな……」
コイツの過去の所業を鑑みてみればなんら不思議じゃないが、この罪は重すぎる。
分かってるだけでもコイツはアタシの手に余る。
情報を精査するためにも、一度持ち帰って擦り合わせていかないと下手に動けないな。
かと言って時間を掛け過ぎたら、佳鈴の身が危ない!
すぐにでもタンカーから脱出しないと!
バッッゴオオォォォォンッッッ!!!!
突然とんでもない破壊音が響き渡り、タンカー全体が大きく揺れた!!
今の……まさか純也か!?
何が起きてんだ!?
大きく揺れて体勢を崩しかけたアタシは、どうにか耐えながら部屋から出てた。瞬間、何かが近付いてくる気配を感じ取って大型拳銃を構えた!
現れたのは……
「ハッハッハッハッハッハッハッハッ」
純也の飼い犬兼眷属のワンコ、たしか…オルカだったか?
背中に子どもを括り付けながらやって来た。目を覚ましていないから、多分薬で眠らされているんだろうか?
「オマエ、純也はどうした?」
アタシの問いにオルカは、前足をアタシの膝にゆっくりと置いてジッと眼を合わせた。
………なんとなく、この子の伝えたい事が分かった。
とりあえず、オルカに抱えられている子どもをアタシが受け取ると、オルカはすぐに向き直って来た道を戻り始めた。アタシが付いてきているか後ろを振り返り、眼でジッと訴えかける。
「案内してくれ」
アタシはオルカの後ろを付いていくことにした。
さすがはダンピールの眷属だけあって頭が良いが、元々日本犬……それも秋田犬は自分で考えて行動するのにズバ抜けた知性を持つって聞くだけの事はある。まるで人間とさして変わりないな。
階段を一足飛びで降りていくと、空気が物凄い勢いで震えてくる感触がした。
何が起きてるんだ?
降りた先に錆だらけで赤く染まった扉を抜けると、物凄い臭いニオイが鼻を突く。
生き物が腐ったニオイだ……。
そしてその先に、死体が癒着しまくった肉壁からの攻撃を素手で捌く純也を見つけた!!
アタシは大型拳銃を取り出して、魔電瞬撃砲を連射して肉壁を撃ち抜いた!!
「っ! セツ姉さん!」
「よそ見するな!前を見ろ!!」
アタシの声に反応して純也が正面を向く。肉壁から生えてきた腕が多岐に渡って殴りつけてきた!!
しかも何だあのパンチは!?
魔眼で見てみたら人外の力で無理矢理破壊力を上げてる様な感じで、当たれば怪我で済まない威力になってる!
なんでアイツはあんなのと戦ってるんだよ!?
アタシは肉壁から生えてきている手を魔電瞬撃砲で撃ち抜いて援護する。
チャンスが来たことで純也の顔が獰猛な猛獣みたい笑顔になって、肉壁に反撃を開始する!
「オルカーーーーー!!」
名前を呼ばれた秋田犬が駆け飛んだ。
そして互いに首を噛み合うと、いつか見た獣人吸血鬼の姿になって、右手には両魔血鞭アルカードが握られた!
「コレで終いにしてやる!!」
純也は一気に肉壁に向かって肉薄し、アルカードを思いっ切り横薙ぎに振るう!
すると肉壁から生えた手を一撃で全て両断する!
だが、肉壁はすぐに新たな手を生み出して、再び純也にパンチをお見舞いするが、アイツは笑った。
ドクンっ
心臓のような鼓動が響くと、純也は鞭を思いっ切り握りしめる。
そして吸血鬼の力を少し注ぐと、鞭から禍々しい気配がした!
純也が軽く手を振ると、アルカードがうねり、柄から複数の血の尾が扇状に広がり、バラ鞭のような多尾形態に変貌する!!
「串刺し多尾狂打っ!!」
バラ鞭形態の複数血尾を高速で連続して振り回し、尾の束を8の字や回転軌道で操り、肉壁を何度も叩きつける!!
一本一本の尾が独立して動きながら急所と思しき所を狙い、重い打撃による抉り傷を無数に重ね、肉壁は再生が追い付かずにどんどん削れていく!!
そして、肉壁の中から黒い……アタシにとっては忘れもしない見覚えのあるものが姿を現した!!
(アレは……!!)
「ソイツを渡せぇぇぇぇっ!!」
四角い黒い立方体に鞭を巻き付け、力任せのエゲつないパワーで強引に立方体を引きずり出した!!
ブチブチブチブチっ!!!
立方体に繋がれたチューブと、肉壁の癒着した肉を剥がす音が混じってすごい音を立てる!
立方体を引き剥がされた肉壁は形を保てなくなって、変な体液を撒き散らしながら動かなくなった。
凄まじいな……。
F.Eとポル・ポトとの戦闘の時はあまりじっくり見ることは出来なかったが、純也のスペックの高さは龍太郎と比べても遜色無いレベルだ。
それにアルカードの力を荒削りだが使えている。
本当の使い方をマスターしたらとんでもない強さになるぞ。
「ふい〜、おわった〜」
肉壁を撃破して倒れ込む純也。
その近くには引き千切られた立方体が3つ。
そしてその立方体から放たれる強力な呪詛の力……。
「あ、セツ姉さん!ソイツは触ったら……」
「大丈夫だ」
純也はコレがどういう物なのかはなんとなく分かってる感じか?
まぁ普通の人間が触ったら目や耳から膿を垂れ流して狂死するんだが、アタシはコイツに触れたことがあるからな。
アタシは立方体を掴んで、中に入ってたもの取り出す。
中身は、真っ黒くて硬質な骨の欠片だった。
「セツ姉さん、それは?」
「コイツは、強力な呪詛が詰まった呪いの骨だ」
まさかまたコイツをこの眼にする時が来るなんてな……。
だが、事態はそんな感傷にも触れさせてもらえるほど甘くはなかった。
ドッカアアアァァァァンッッ!!!
突然タンカーが大きく揺れ、爆発音が響き渡った!!
「なんだ!?」
警報音が鳴り響いて、タンカーの各所が連鎖的に爆発し始める!!
爆発の仕方から、何時でも証拠隠滅出来るように爆弾が仕掛けられていたみたいだな!
「チッ、脱出するぞ!」
「は、はい!」
アタシ達は急いでタンカーから脱出することにした!!
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翌日、フィリピンのニュースではこう報道された。
ミンダナオ島東方沖の太平洋上で、所属不明の石油タンカーが爆発炎上して沈没。生存者は確認出来ず、フィリピン沿岸警備隊が捜査を開始した。と……。
はたして、セツと純也は無事にタンカーから脱出出来たのでしょうか?
乞うご期待!
では、今回は以上です∠(`・ω・´)




