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【性的魅力1】の底辺陰キャ、美少女魔王の暗殺者になってクラスを崩壊させることにした  作者: N


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第8話 契約

 


 マオは先ほど取り出した魔方陣の描かれた紙を、俺の目の前に突き出してきた。そこにはそれぞれ形の違う魔方陣が二つ描かれている。


 すると、マオは短剣を取り出して、自分の指をシュッと軽く切った。赤い血が一滴、魔方陣にぽつんと垂れる。


「はい、チハル。そっちの魔方陣に、あなたの血を一滴垂らしてください」


 そう言って、ニコニコしながら短剣を手渡される。……またこれかよ。地味に痛いから嫌なんだよ。いや、待て。とりあえずこれだけは聞いていいか?


「あの」

「なんでしょうか?」

「えっと……この魔方陣って、その……やばい契約、的なやつです、か?」


 マオはブンブンと首を振って否定すると、そのまま説明を始めた。


「いえ、安心してください。全然ヤバくはないですよ? もし私たち魔族を裏切れば、あなたの心臓が停止する……それだけですっ」


 それだけですっ……じゃねえよアホか!全然安心できねえよ! 何を笑顔で言ってんだこの女は! なんなんだよ、マジで天然なのか?


「何をびっくりしているのですか? 契約というのはそういうことです。何のリスクもなしに、敵であるあなたを味方にするわけありませんし、私たちを裏切らなければいいだけの話ですよ? もしかして、最初から手を組むつもりはなかったのですか?」


「え、いや……」


 ……この少女、やっぱりちゃんと考えてやがる。さっきから痛いところばかり突いてきやがって。まあ、今のところ裏切るつもりはないけど、本当に魔族を信じていいものなのか。


 マオが言っていた「人間族が悪い」って話がもし嘘だったら、取り返しのつかないことになる。


 ……いや、今更か。俺は、復讐ができればそれでいいんだ。


 俺は意を決して、短剣を手に取った。指先に軽く先を刺して、血を一滴だけ魔方陣に落とす。その瞬間、二つの魔方陣が一瞬だけ青白く光りだした。


「これで契約は完了ですね」

「え? あ……はい」


 これだけなのか?


 でも、なんだろう。何となく、心臓に何かがねっとり張り付いているような、変な感じがして、無意識に胸をぎゅっと押さえてしまう。一気に話の説得力が増すな。怖すぎるわボケ。


「もちろん、この戦争が終結すれば、この契約も解除します。それまでは、私たちに従ってください」

「あ、はい」


 良かった。全部終われば俺も自由になれるっぽいな。さすがに永遠にこの契約が破棄されないとかだったら、怖すぎて発狂してたわ。……てか、先に聞いとけよ俺。


 マオは再び笑顔を作ると、俺に言い放った。


「最初の任務です。人間族の最高戦力は、あなたたち転移者です。今は弱くても、いずれは恐ろしい強敵となり得ます。特に勇者……私たちの手に負えない存在になるのは間違いないです。そこで手始めに。あなたのクラスメイトを一人、誰でもいいので、殺すか、人質として私たちに引き渡すこと」


「え、あ……え? あ、はい……」


 いきなり難易度が高すぎる。……殺せと?確かに、さっきまで「殺してやる」とか息巻いてたさ。でも、俺は想像の中でしか人を殺したことがない。現実でやるとなれば、俺にだって罪悪感くらいはある。


 だが、俺に拒否権なんてあるわけがない。もし逃げれば、契約違反で即、心臓が止まって死ぬんだから。……でも、これ、時間はかかるかもしれない。


「しかし、いいのですか、マオ様。このような人間などを信用して」


 シロは俺を睨みつけながらマオに忠告するけど、彼女の表情はピクリとも揺るがない。


「大丈夫です。この契約もありますし、チハルが裏切る行動を取れば、私も躊躇なく殺します。これはチャンスと捉えるんです。敵の戦力を利用し、そして内部から潰す。平穏を取り戻すには、これしかありません。勇者が力を付ける前に」


 ……普通に全部聞こえてますよ。俺、普通に躊躇なく殺される運命なんだな。


 まあ、俺はどこに行ってもその程度の価値しかないってことだ。人間にはゴミのように扱われ、魔族には人質みたいに利用され……。チー牛の辿る末路に、幸せなんて最初からねえんだ。


 ひとまず、命を助けてもらえただけ感謝しておこう。悪い種族ではないはずだ。すると、マオが立ち上がって俺の目の前まで歩いてきた。俺はもちろん、速攻で目を逸らす。


「チハル、まずはそのケガを治しましょう。一時的とはいえ、今日から”仲間”なのですから」

「え? なか、ま?」


 俺は仲間なんて言われて、戸惑いを隠せなかった。俺を仲間と言えるほど、本気で信用してるのか? いや、どうせ言葉の綾だろう。


 にしても、ケガを治すって、どうやって?


 すると、マオはかがんで、俺に手をかざし始めた。そのまま祈るように目をつむる。俺はじっとマオのことを見下ろす……かがんでるから胸見えそう。やめろ俺ぇ、目を逸らせぇ、社会的に殺されんぞぉ。


 そうやって悶々としていたら、俺の身体が綺麗な緑色に輝き始めた。

 俺は自分の身体を眺める。折れた背中の骨、殴られた頬、おでこの痛み……全てが、徐々に、でも確実に和らいでいく。


 さ、さすが魔王。さすが異世界。数十秒も経てば、俺の身体は完全に元通りになっていた。なぜか気分もいい。これは、……胸が見えそうだったからなのだろうか。知らんけど。


「よし、これで終わりです。あとは、もう一つだけ。あなたをこのまま返すわけにはいきません」

「えっと、それは何度も聞きましたが……」

「いえ、今回は別の意味です。チハル、魔力の操作はできますか?」

「え、いや……できないのでボコされたんですが……」

「はい。できないから、ボコされたんです」


 ……この子、やっぱ天然か?


「ですので、魔力の操作を覚えましょう」




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