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【性的魅力1】の底辺陰キャ、美少女魔王の暗殺者になってクラスメイトを葬ることにした  作者: N


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第45話 戦いの終わり


 あの会議の後、池麵と王はエルーフに引き取られ、3日後に処刑が執行されることが決定した。あの時、連れて行かれた池麵の顔は、あのイケメンだった面影はほとんどなくなっていて、一気に老けたかのように、生気を失っていた。


 生きる希望を失くしたということだろう。今までこいつは遺伝子に恵まれ、数々の成功によって他人に認められ、高い自己肯定感によって、リーダーシップを発揮してきた。


 しかし初めてのピンチによって、焦り、何とかしようとしても上手く行かず、周りの尊敬の眼差しも減っていく。今まで信じていた正義が、仲間が、信頼が、一瞬で崩れ去る。


 ずっと恵まれていた人間にとって、今まで当たり前にあった、仲間も地位も何もかもが消え去れば、耐えられずに廃人化する。あいつらは、メンタル強者に見えて、崩れるのは一瞬なのさ。


 で、マオ、シロ、クロ、俺の4人はこの王城の客間で、あいつらの処刑の日まで泊まることになったのだが……。


「にしても、よくあんなの思いついたよな、チハル」

「え?いや、別に、たまたま、です」

「そんなに卑下しなくていいんですよ?上手く行ったんですから」


 すると、ずっと寝転がりながらお菓子を食っていたクロが、俺に親指を立て、「グッジョブ」と言ってくれた。関わりの薄かったクロも俺を仲間として認めてくれてるのだろうか。


 で、この作戦を思いついて提案したのは、俺だ。


 ---


 池麵をどうやって倒すか、3人とも追い込まれていた時、思った。物理で殺せないなら、精神を殺せばいいと。そして提案したのだ。


「マオさん、シロさん、じゃあ、こんなのはどうでしょうか」


「チハル、勇者を倒せる何かいい案でも思いついたのか?」

「いえ、思いつきませんでした」

「え、じゃあどうするってんだ」

「殺す必要はないんです。勝手に自滅してくれれば」

『……え?』


 2人は目を丸くして俺を見る。ちょっと恥ずかしいが、説明した。


「俺の世界には、人殺しよりも恐ろしい行為があったんですが、それは”冤罪”です。弱者ということ、そして周りの共感を利用し、やってもいない罪を相手に被せることを言います。その時、冤罪をでっちあげられた側はどうなるか……周りはそのでっちあげを信じてその人を攻撃します。そして、騒ぎになれば、会社もクビになり、職を失います。そして、嫌がらせがエスカレートすれば、家族をも失います。誰も信頼してくれず、誰も助けてもくれません。冤罪を受けた側は、今まで積み上げた功績も時間も、何もかもが一瞬で崩れ去ります」

「チ、チハル、今までで一番悪い顔してる……」

「要は、その冤罪を、あの勇者に被せるということか?」


 マオに言われた悪い顔をしているかどうかはよくわからないけど、俺はうなずく。


「はい。冤罪を受けた人間の末路は、静かに生きていくか、自ら命を絶つか……。ただ、あの恵まれた人生を送って来た池麵が、一瞬で全てを失えば、その分の絶望は誰よりも深くなる。とはいえ、賭けですけどね」


 作戦を聞いたマオとシロは、互いに目を合わせ、そして頷いた。


「うん、それで行きましょう、チハル。詳しい作戦を教えてください。全力で協力します」

「ああ、なんにせよ、勇者には力では勝てねえ。やってみる価値はあると思うぜ」


 ---


 まあ、それがこんな上手く行くとはな。国家を巻き込んでのことだ。もし失敗すればこちらが敵になるかもしれなかったがな。


 地球にいたころから、俺は一番冤罪を嫌っていたというのに、自分が実行することになるのは少し複雑だったが、とはいえ、本当に便利なもんだよ。金や嫌がらせ、ただのお気持ちのために、簡単に人の人生を潰せるんだ。


 今回は魔族を救うためとはいえ、今後ここまでの悪手はしないだろう。地球にいたころにいた、冤罪でっちあげクズにはなりたくねえからな。どんだけお気持ち国家だったんだよマジで。法が機能してねえだろ。


 胡坐をかきながら、嫌なことを思い出していると、俺の目の前にちょこんと、美少女が座って来た。いやマオなんだけど。ほんと可愛いよな。とは言え、セクハラ認定が怖いのですぐに目を逸らす。


 しかし、マオは俺の手を無理やり掴み、自分の元へと引っ張る。


「え?」


 俺は急にマオに手を掴まれ、混乱で動けなかったが、彼女は涙を流しながら、語り始めた。


「チハル。あなたがいなければ、この戦争はもっと長引いていた……いや、救われなかったかもしれません。私の力不足で、勇者に手も足も出ませんでした。でも、あなたはその知恵で、魔族を救ってくれました。本当に、本当にありがとうございました」

「え、あ、いや……」


 ここまで本気で礼を言われて、正直どうしたらいいか分からなかった。泣くほどなのか?いやまあ、国家の存亡がかかっていたらそりゃ泣くか?とにかく反応に困った。でも、悪い気は全然しなかった。というか、嬉しい。


 自分に今まで何の価値もないと思っていたけど、初めて、本当の意味で認められた気がする。


「チハル、俺からも感謝する。最初はお前の事なんかなんも信用してなかったけどな」

「ずっとキレてましたもんね」

「うるせえ。まあ、とにかくだ。俺はお前の事、ダチだと思ってる。なんなら、マオ様の側近にでもなるか?」

「それは……」

「なに、遠慮するなよ!」


 シロはそう言って、俺の肩を組んでマオから一旦距離を取る。そして俺に小声で何かを囁いた。


「お前になら、マオ様を任せてもいいと思ってんだぜ」

「……はい?いや、それってどういう?」

「付き合っちまえよ」

「は?いや、拒否します。女は本能的に気持ち悪い人間は足切りするんですよ俺みたいなチー牛が告白することはコクハラと言って俺が捕まるリスクの方が高くなるしどうせ振られるのは目に見えてますしポチにすら容姿で振られた俺ですよ?無理に決まってるじゃないですか」

「めっちゃ早口だな……」


 そりゃ早口にもなる。地球でも嫌なほど女の本音を見て来た。チー牛が嵌められるところも見て来た。俺はそうはなりたくねえ。


 だが、シロもなぜか譲らない。


「お前は魔族を救ったんだぞ?そう自分を卑下するな。安心しろ、俺が言うんだ。お前なら行ける」

「何の根拠があって言ってるんですか……」

「俺はマオ様の世話を小さいころからずっとしてきたんだ。だから分かる」


 知らねえよ。


「とか言って、お前だって本当はマオ様と付き合いたいんだろ?」

「え、いやそりゃ、俺も男だし、めちゃくちゃ可愛いし、俺を肯定してくれるし……」

「何だよべた惚れじゃねえか」


 なんかうぜえこの絡み方。とはいえ、そりゃ、付き合いたいに決まってる。でも、またポチの時みたいに振られたら?コクハラなんて言われたら?社会的に殺されたら?恐ろしくてできない。


「まあ、とにかく、俺は応援してるぜ」

「え、いや……」


 そう言って、シロは俺から離れていった。その様子を見ていたマオは、赤らめながら、頬を膨らませてシロに怒っていた。


「チハルに何を吹き込んでたんですか!」

「何も吹き込んでねえよ」

「もう……」


 可愛い。腹立つわあ。俺がこんな顔じゃなければ……。とは言え、このままずっと魔族の元にいるのは、賛成だ。こんなに俺を認めてくれて、楽しく話してくれる人なんて、人間族にはいない。


 本田?あいつは恐ろしくて無理。


 そんなこんなで俺たちは王城でゆっくりと過ごし、3日はあっという間に過ぎていった。




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