↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【性的魅力1】の底辺陰キャ、美少女魔王の暗殺者になってクラスメイトを葬ることにした  作者: N


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/48

第43話 4大国会議



 人間領の王城にて。池麵は王と二人きりで話していた。池麵は事の詳細を、申し訳なさそうに報告していた。


「王様……本当にすみません。俺は岸さんを、死なせてしまった。それに、今まで魔族のスパイを野放しにして、多くのクラスメイトの命も失ってしまいました」

「もうよい。岸……彼のことは残念だが、戦に犠牲は付き物だ。彼も勇者をお守り出来て光栄だろう」


 王は池麵をなだめるように話す。王は特に悲しみも怒りを見せることなく、勇者に問う。


「今のお主のオーラ……魔王を倒すなど難はなさそうに見えるな」

「はい、昨日の戦でも、魔王をあともう少しのところで逃げられてしまい」

「それならば、入念に準備を整え、再度魔王城へ向かうのだ。早く、国民を魔族から救わなければならない」

「はい。しかし、その、恐れながら、一つ聞いてもいいでしょうか」

「なんだ、勇者よ」


 池麵は妙に引っ掛かりを覚えていた。十中八九あのチー牛の嘘だろう、そうは思ってはいるが、一応聞いておかなければ気が済まなかった。


「あの、人間族ではなく、魔族が侵略されている側だと……」

「何を言っておる?誰から聞いた」

「その、取り逃がした魔族のスパイの元クラスメイトでしたが……」

「我々ではなく、魔族のスパイの言うことを信じるのか?人間族が魔族に侵略されたのだ。歴史書でも見たであろう」

「そう、ですよね」


 池麵は少しだけ安心して、ホッと胸をなでおろした。今まで、自分が悪に加担していたなど、考えたくもない。人間がそんな恐ろしい種族なわけがない。


 敵は魔族。魔族を倒してこの世界の人間を救う。それが勇者としての務め。自分に再びそう言い聞かせ、心を震わせる。


 すると、王城の扉が急に開かれ、兵士が焦るように王のもとに駆けてくる。


「失礼します!」

「なんだ、今は勇者様と大事な話を――」

「それが、4大国会議を緊急招集するとのことで、今からこの王城に各国から王が来訪するとのことです!時間は昼から、場所は5階の大会議室とのことです!」


 それを聞いた王の顔つきが変わる。


「なんじゃと?まさか……勇者よ、この話はまた後じゃ。お前は仲間を引き連れ、講義室に向かえ。絶対に講義室からは出るな。必ずだぞ」

「え?な、なぜでしょうか」

「ワシはお主を守らねばならん。とにかくワシの言うことを聞け。いいな?」

「は、はい」


 王はそのまま急いで王座から立ち上がり、早歩きでこの王城の間を去っていく。取り残された池麵は、訳も分からずに、言われた通りに自分の部屋へと歩いて行った。


 何かを隠しているのか?王が?それに、4大国?魔族と人間だけではないのか?4大国会議の開催に、なぜか王は焦るような仕草をしていたのも気になる。いや、きっと王も何か理由があるはず。


 そう思い込み、池麵はかすかな不安をかき消すように、今度は走って戻っていった。


 ---


 そして、数時間後が経った。王城には人間族、魔族、獣人族、精霊族、各国の王がこの王城に集結した。彼らは椅子の前で向かい合い、妙な空気が漂っていた。


 魔族からはマオが、獣人族からはビストが、精霊族からはエルーフが、そして人間族からは王が出席している。魔族のみ、就任したばかりということもあり、シロも連れてきている。


 シロの隣にはさらに、もう一人、小柄で仮面をかぶった男も立っていた。千温だ。


 魔王城を出る前、「あの、今更ですけど、自分の顔恥ずかしすぎるんで仮面被ってもいいですか。その、俺が生理的に気持ち悪い顔を周りに見せていたと思うと……」とマオに懇願し、彼女は苦笑いをしながら、仕方なく了承していた。


 シロもマオも、特に千温の顔について、否定することもなく肯定もしなかった。千温は「気持ち悪いことは否定はしてくれないんだな、まあ、その方が嬉しけど」と内心悲しみながらもホッとしていた。


 もちろん、魔族が人間の側近を連れてきているとなると、各国からも不思議な目で見られることは分かっていた。だからマオも丁度いいと了承したのだ。


 しかし、どちらにしろ、仮面をつけている時点で目を付けられるのは必然だった。獣の耳を生やした、背が高く筋肉質な、厳つい容姿の獣人族の王、ビストが気を遣いながら、マオに話しかける。


「いやあ、マオちゃん久しぶりだな。大きくなったな?あいつの娘だろ?魔王になって大変じゃないか?」

「はい、お久しぶりです、ビストさん。確かに色々と大変ですね、色々と」

「そりゃそうだろうな。あと気になるんだが、シロの隣にいる奴は誰だ」


 千温は一瞬ビクッと緊張で身を震わせるが、マオはいつも通りの態度で説明をする。


「ええ、新しい側近です。彼は優秀なので」

「そうか。なぜ仮面をつけているのか知らんが……まあどうでもいっか!」


 ビストは一人で笑いながらそのまま席に着く。しかし、長く綺麗な銀髪をなびかせ、長い耳が特徴的な精霊族の女王、エルーフは、その透き通るような琥珀色の瞳でマオに迫る。


「マオよ、何かを隠しておるか?」

「え?そ、そんなことないですよ?お、お久しぶりです、エルーフさん」

「うむ、久しぶりじゃの。まあ、仮面の理由についてはいずれ分かるじゃろうし今は問わんよ」


 エルーフもゆっくりと自分の席に座る。マオは相変わらず、隠し事が下手である。


 マオはホッとしながらも、人間族の方を見れば、王はマオを一瞬睨みつけるように見ていたが、すぐに互いに目を逸らす。


「相変わらず魔族と人間族は仲がわりいなぁ!隣国ってのもあるけどよ。仲良くしようや」


 マオと王の険悪な雰囲気を紛らわすように、ビストは笑いながら席を促している。そして全員が席に着いた。


 そして一番長命であり各国で一番権力のあるエルーフが、会議を仕切り始める。


「では、今から臨時4大国会議を開始する」


 ---


「さて、今回の議題じゃが……魔族の王、マオからの直々の開催依頼が来てのお?何となく予想は付くが、一体何があったか説明をしてくれるか?」

「は、はい」


 マオは各国の前で緊張しながらも、深呼吸で整えてから、話し始める。


「まず、ご存じかもしれませんが、人間族の王は勇者召喚の国家規約を破り、独断で勇者を召喚しました」

「黙れ!でたらめを言うでない!どこに証拠があるというのだ!」

「人間の王よ、お主こそ黙れ。今はマオがしゃべっておる。マオよ、続きを」

「ぐ……」


 王は椅子から立ち上がり、マオの言葉を遮るも、エルーフに制止される。


「これは明確な国家規約違反です。それに、私の父、前魔王は、私の家族は……人間族の不意打ちによって殺されたのです。人間族は魔族の資源や土地を求め、侵略したのです。私たちは抵抗しましたが、人間族は力が敵わぬからと言って、勇者一行を召喚しました。

 さらには……その勇者は力を手にして権力を行使し、仲間の彼女を寝取り、性奴隷として暴行を加え、さらには自分がしてきたことの濡れ衣を仲間に着せ、自分は正義だと振りかざしていたのです。魔族兵の命は勇者によって次々と散っていったのです。

 人間族の民にはそれを隠し、魔族が人間族を侵略してきたと吹聴し国民すらもだましています。

 私、魔王は、人間の王、そして勇者への厳正な処罰を求めます」


 ビストは目を丸くして真実を聞いていたが、エルーフは表情を変えることなく、マオの言い分を聞いていた。


「うむ。なるほどな。それが本当ならば、しかるべき処分を受けさせることにはなるが……人間の王よ、何か弁明はあるか?」


 エルーフは横目で王の方に視線を向けた。そして王は冷静に言い訳を開始した。


「魔王よ、勇者を召喚したという証拠はどこにあるというのだ!我々人間に罪をかぶせるつもりか?先に手を出してきたのは、紛れもなく魔族ではないか!」


 マオは王を睨みつけ、反論しようとしたが、エルーフはそれを制止する。


「それなら、簡単な話ぞ。国の占い師はもうすぐこの世界を覆う大厄災が襲うと予言していた。我々は協力して厄災に備え、それぞれ勇者を召喚しなければならぬ。マオの提案した会議はタイミング的にはちょうどよかった、まず、人間族の王よ、勇者を召喚していないというならば、今から勇者召喚の儀式をして勇者を召喚することができるはずじゃ。100年のクールタイムが必要じゃからの?」


 エルーフは軽く口角を上げながら、試すように王の方を見る。王は拳をぐっと握り、額には冷や汗が流れていた。


「そんな話は聞いておりませんぞ、エルーフ殿。大厄災はまだ数百年も先と言っていたではありませんか」

「あくまでその当時の予言じゃ。予言は変わった。私が許可する。勇者を召喚して、無実を証明しろ……と、なにやら外が騒がしいの?」

「……?何も聞こえないが」


 王は眉をひそめるが、エルーフ、ビスト、マオはどうやら外の騒がしさに気づいたらしく、椅子から立ち上がり、窓から下を覗く。王も下を覗くと、なんとそこには人だかりができていた。


「どういうことだ!」「魔族は被害者だったのか!?」「真実を教えろ!」「勇者はどうなっているんだ!」


 人間族の民たちが王城を訪れ、叫び、問い、デモを起こしていた。王はなぜこうなったのか分からず、慌てふためいている。


「な、なんだこの人だかりは!?」

「フフ……マオ、やりおるの?クロの仕業か?」

「あ、あはは……」


 マオは微笑してはぐらかすが、この会議の音声は、クロの通信拡声魔法によって、この人間領の全国民に筒抜けになっていたのだ。


 そして、この大会議室のドアが思いきりバンッ!と開かれた。そこにいたのは、顔を青ざめ必死に走って来たであろう、池麵だった。


「お、俺はそんなことはしてない!!!俺は勇者だ!勇者が性奴隷とか、濡れ衣などするはずがない!信じてくれ!」


 そして、エルーフはにやりと王に視線を向ける。


「おや?先ほど勇者は召喚していないと言っていたが……あやつは勇者と名乗っているが?」

「ぐ、ち、違う!あいつのことなど知らない!勇者を名乗るなど不敬だ!」


 王は机をバンっと叩き、エルーフたちに見苦しく言い訳をしていた。


 そんな中、仮面の下で千温は、口角を上げ、心の中で笑っていた。


 よし、このまま地獄に落としてやるよ、池麵……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。