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【性的魅力1】の底辺陰キャ、美少女魔王の暗殺者になってクラスメイトを葬ることにした  作者: N


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第4話 捨て駒

 


 翌日。


 今日からは、本格的な訓練が始まった。この世界の兵士に混じって、俺たちも鍛錬を行う。……って、ふざけんな。俺はニートだぞ! 部屋で一生寝かせろや!


 とはいえ、生活自体は意外と快適だった。昨日の説明の後、それぞれの部屋に案内されたんだけど、飯は食堂に行けば無料で勝手に出てくる。ベッドもびっくりするくらいモフモフで気持ちがいい。さすが、衣食住は保証するって言っただけはあるな。ニートには最高のご褒美だ。


 ただ、個室じゃないのが痛い。3人1部屋だ。俺は奇跡的に、クラスのオタクグループ……太田おおた我利がりとの相部屋になった。棒緑とか女子と一緒だったら、俺は今頃ストレスで心臓が止まってたかもしれない。


 でも、超絶コミュ障で不細工チー牛の俺が、クラスの奴と喋れるわけがない。それは、この2人に対しても同じだ。


 太田は、見た目通りのデブ。趣味はアイドルとゲーム。メモを確認したら、この世界での職業は「村人」だった。……たぶん、クラスで一番かわいそうな職業だ。俺でさえ「暗殺者」だぜ? 前世から殺意がカンストしてたせいかもしれんけど。


 我利は、ひょろひょろのガリガリ。いかにもなオタク体型でメガネをかけてる。根っからのゲーマーで、職業は「錬金術師」。……今度、武器でも作ってもらおうかな。いや、やめとこう。話しかける難易度が尋常じゃない。


 3人部屋なんだから、そのうち勝手に仲良くなるだろ……なんて思ってた時期が俺にもありました。


 あ、昨日の会話? もちろん0だ。2人は楽しそうにゲームの話で盛り上がってた。俺も知ってるゲームだった。輪に入りたかった。喉まで出かかった言葉を飲み込んで、うずうずしてた。……でも、ガチのコミュ障には無理だった。ぴえん。


 話を戻すが、訓練は想像以上に地獄だった。筋トレ、走り込み、素振り、組手。非戦闘職も女子も、容赦なくやらされる。いざという時に自分の身を守るためだ、と言われればそれまでだけど。


 まあ、疲れるよ。飽きるし、しんどい。運動部や不良グループ、そして池麵は、涼しい顔でついていってる。


 俺たちをまとめてる騎士団長の岸は、厳しいけど、できる奴には技術を、できない奴にはコツを、ちゃんと個別にアドバイスしてくれる。あの怖い目つきからは想像できないくらい、教育者としてちゃんとしてるんだよな。


 でも、俺にとってはやっぱり地獄でしかなかった。いじめられっ子の俺がモタモタしてると、とにかく目立つ。筋トレも素振りもゴミみたいな俺を、棒緑たちがここぞとばかりに弄り倒してくる。


「さすがニート! もっと外に出て動けよチー牛!」

「アハハ! マジでウケる。本当にただのニートじゃん!」


 うるせえよ。俺は心の中で、「俺はいつでもお前らを殺せる職業なんだぞ」と念じて、なんとか精神を保ってた。才能ってのは本当に残酷だ。


 異世界に来ればアニメみたいに超人的に動けるようになるかも、なんて期待してたけど、現実は甘くない。


 体は地球にいた時と同じくらい重いし、別に瓦礫を砕くパワーが手に入ったわけでもない。当たり前だけど、今までサボってきた筋肉は急にはつかない。死ぬほどキツイ。


 それは他のクラスメイトも同じだ。勇者の池麺だって、言ってしまえば「運動神経が抜群にいい人間」の域を出ていない。本当に俺たちが魔王なんて倒せるのか? 疑問しか湧いてこない。


 ---


 その後、座学。


 この世界の歴史、ルール、スキルの仕組みについての勉強だ。異世界に来てまで授業かよ……。まあ、いつ使うか分からんサインコサインとか古文よりは、100倍マシだけど。


 授業が終わって、みんなが雑談を始める中、筋肉ダルマのアホ……肉男にくおが、岸の元へ歩いていった。職業は「守護者」。ゲームでいうタンク役だな。


「岸さん、質問があるんだが……すけど」

「ほう、何だ」

「えっと、なんかその、アニメみたいにドカーンとかバコーンとか……豪快に建物をぶっ壊したりとか、できねえの……すか?」

「……」


 岸は、「なんだこいつ」という憐れみの視線を肉男に向けた。そこに、職業「賢者」のガリ勉……その名も秀才しゅうさいが、メガネをクイッと光らせながら割って入った。


「それは無理です」

「え、いや、せっかくの異世界だぜ?」

「人間のスペックは決まっています。アニメみたいに光の速さで動いたり建物を壊したりなんて、まず不可能なんですよ。そんなことをすれば、人間の体は耐えられない。皮膚は剥がれ、骨は簡単に折れる。そもそも、人間の処理速度ではそんな高速な思考は不可能です」

「夢のないこと言うなよ……」


 本当だよ、秀才。男のロマンを正面からブチ壊しやがって。まあ、俺も一回は「そんなに動けるわけないだろ」って疑問には思ってたけどさ。


 秀才は続ける。


「ですが、この世界の書物を読んだところ、それを補うための『魔力』というものが存在するらしいですね。岸さん。魔力についてまだ教えていないのは、何かお考えが?」


 秀才の視線を受けて、岸は頭をかきながら口を開いた。


「……そうだ。この世界には『魔素』という見えない力が、空気中に山ほど存在している。それを魔力に変換して体を覆えば、鉄より硬いガードや、高速機動に耐えうる体も手に入る」

「ああ!? なんでそんな面白そうなこと先に教えねえんだよ!」


 棒緑がズカズカと前に出てくるが、岸は鋭く睨みつけた。


「お前のような調子に乗った奴が、基礎もできていないのに魔力だけ覚えて、勝手に死なれると困るからだ。物事には順序がある。黙って従え」

「お、おう……」


 あまりの迫力に棒緑が引き下がる。冷たい声だったけど、岸なりに俺たちのことを考えての判断なのかもしれない……。俺もちょっとビビった。


「魔力の操作については、追々教えていく。安心しろ」


 そう言い残して、岸は教室を出ていった。


 魔力か……。それで俺も棒緑たちに勝てる可能性が……あるわけないだろ。心がトラウマレベルに怯えてるんだ。足が震えて何もできねえよ。悲しくなりながら、俺は自分の部屋へ戻った。


 ---


 そんな訓練と座学のルーティンが数週間続いた、ある日のことだ。


 魔族についての座学が終わった後、なぜか俺は棒緑たちの4人組に呼び出された。俺、何かやっちゃいました?訳もわからず付いていくと、城の中にある「立ち入り禁止」っぽい部屋の前に着いた。


「これ、まずいんじゃ……」と声をかけようとしたけど、俺が何を言ったところでこいつらは聞かない。棒緑は何の躊躇もなく、その部屋のドアを強引に開けた。そんな簡単に開くのかよ。


 部屋の中には、いくつもの巨大な魔方陣が描かれていた。文字を読んでみると、「転移魔方陣」と書かれている。え、これマジでヤバイやつじゃ……と思った瞬間、棒緑に腕を掴まれ、強引に陣の中へ引きずり込まれた。


 棒緑たちは、なぜかその魔方陣に手をかざす。陣が青く輝き始め、視界が一気に真っ白になった。眩しくて、俺は思わず目を閉じる。


 光が収まり、目を開けた俺の前に広がっていたのは……。


 人間族の城なんて比じゃないくらい、禍々しいオーラを放つ黒い城だった。

 周りは深い森に囲まれ、夕暮れ時で暗くなり始めているせいで、余計に恐ろしい。


 いきなり後ろから髪を掴まれ、地面に叩きつけられた。俺は反射的に受け身を取って、なんとか激痛は避けた。……地球でのいじめの経験で、受け身だけは上手くなってたらしいな。悲しいけど。


 ていうか、それどころじゃない。ここ、どう見ても魔王城の前だろ?

 教科書の挿絵で見たから間違いない。なんでこんなところに連れてこられたんだ。


 棒緑はニヤニヤと笑いながら、俺を見下ろして言い放った。


「おい、チー牛ニート。お前、スパイとして今から魔王城に潜入してこいよ」





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