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【性的魅力1】の底辺陰キャ、美少女魔王の暗殺者になってクラスメイトを葬ることにした  作者: N


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第25話 清楚 2



「さあて、千温君?私の八つ当たりに付き合ってもらえるかな?」


 清楚は急に豹変して俺に徐々に迫ってくる。この密室、俺の社会的死の警報が脳内に鳴り響く。絶対に清楚に触れるな。近づくな。


 ていうか、八つ当たりって言ったよな、こいつ。どういう意味だ?俺が暗殺者とバレたわけではないってことか?クソ、俺には女が分かんねえ。


 俺はなぜかを聞きたいところだが、ありがたいことに、清楚の方からぺらぺらとしゃべってくれた。


「なんでお前がこんなことを……みたいな顔してるね。ウフフ、優しい私が教えてあげるよ。ただのあんたへの八つ当たりよ。最近どんどんクラスメイトのみんなが死んでいって、挙句の果てに郁也君まで?いつか夕美から奪ってやろうと思ってたのに……それなのに!なんでチー牛で雑魚で醜いあんたは未だに生き残ってんの!?存在するだけで吐き気するくらい気持ち悪いのに……でも池麵君が残ってるのはまだ救いね。」


 清楚は思ったことを次々とぶちまけてくれる。普通の人はイラっと来るだろうけど、俺にとってはここまで正直に俺のことをディスってくれるのはありがたいというか、清々しい気分になるわ。


「そんなことないよ~」みたいな建前や嘘で溢れかえっているこの世の中には疲れているからな。清楚は今まで俺を庇ってくれたりしていた裏で、やっぱり俺のことを見下していたってわけだ。


 おそらく、理由は単純。保身や承認欲求のため。ただそれだけだろう。


 簡単に言えば、自分を他の人に優しい人と見せかけ、それで頼られたり、崇められたりすることで優越感を得ている。人間は単純だからな、簡単にこういう奴らに騙される。


 この世界は、人間という生き物は、全て自分のためという行動原理の元動いている。清楚は単純、承認欲求の愉悦のため。警察や消防士みたいな危険な仕事だって、人々のためになるからとは口では言うが、金が貰えなければほとんど誰もやらないだろう。


 清楚は話し終えると、なぜか俺に向かって挑発を始めた。


「憎い?私の事憎い?今まで私のことは女神様~とか思ってたんでしょうけど、残念でした。あんたみたいなチー牛に手を差し伸べる女子なんていねえんだよ。ほら、憎いでしょ?ほら、ほら」


 もう見るからに殴れと言うように顔を近づけたり、指さしたりしてくる。俺の顔きもいんじゃなかったの?


 まあ、何となくわかる。こうやって挑発して、俺が清楚を殴れば、大声を出して冤罪を吹っ掛けようって魂胆だろう。分かりやっす。絶対に乗らねえ。絶対に触らねえ。


 俺はポケットに手を入れて、絶対に何もしないアピールをする。しかし、甘かった。清楚は俺が何もしてこないと察したのか、俺に更に距離を詰めて叩いて来ようとした。


 俺は叩かれる!と反射的に反応してしまい、ポケットから手を出して、魔力を込めそのまま清楚の手を受け流してしまった。


 清楚はにやりと口角を上げ、わざとらしくその場に倒れ込んだ。


「きゃ~~~~~!助けて!千温君に叩かれた!」


 俺は全身に鳥肌がたった。寒気がした。これはやばいやつだ。


 クソ、今までも毒親に叩かれそうになったりして手でガードしたりする癖があったが、それが災いしてしまった。そのまま受けるという選択肢は俺にはなかった。


 まずいまずいまずいまずい。落ち着け……まだ何とかなる。以前も、弥美の件だってなぜか助かった。今回もきっと助かるはずだよな?


 その清楚の無駄に甲高い叫び声に、ドタドタと集団の走る足音が響いてきて、近づいてくる。いつの間に、清楚は魔法で鍵を開けておいたのか、俺たちのいる講義室の扉がバン!っと強く開かれた


 部屋に入ってきたのは、池麵と本田、岸の3人だ。さらに後ろにもクラスメイトが何人も控えていた。こりゃ、逃げられねえな。逃げられたとしても、逃げたってことはやはりやったんだな!と疑いをかけられ一生追われる身だ。


 窓も塞がれ、扉にはクラスメイト達が塞いでいる。暗殺者の俺が複数人を相手にするってのも、分が悪すぎる。あくまで、暗殺者は気づかれずに殺る、罠にはめる、という立ち回りだ。バレた状態で、複数人など尚更無理ゲーだ。


 もう、隙を見つけて逃げる……これに賭けるしかない。


 池麵は、真剣な目つきで俺と清楚を交互に見る。清楚は池麵に向かって被害者面で再び助けを求めた。


「池麵君!良かった……来てくれて。私千温君に叩かれて、襲われそうになったの!助けて……」

「……そうか」


 池麵は、一言だけつぶやき、清楚の方へと歩いて行く。清楚は希望に満ち溢れた表情で池麵を待っていた。


 池麵は清楚に手を差し伸べる。彼女は「ありがと」と呟いて、池麵に手を伸ばそうとしたその時だった。


 池麵はその手を強引に引っ張り、そのまま清楚の両腕を後ろで組ませ、両膝を軽く蹴りその場に膝間づかせたのだ。清楚は何が起こったのか分からず、口をあんぐりと開けていた。


 俺も訳が分からなかった。なんで清楚の方が拘束されてんだ?


「清楚、今までの会話、全て聞いていた。嘘をつくのはやめろ」

「え、は?待ってよ池麵君……私嘘なんかついてない、千温君に本当に襲われそうに――」

「残念だけど、全員聞いているぞ。言い逃れはできない」

「は?な、なんで全員聞いてるのよ?入念にこの部屋の防音魔法は施したし、あなたたちの耳がいくら良くても聞こえるはずないもの!」

「今朝、お前、本田さんに何か貰わなかったか?」

「え?……まさか」


 清楚は慌ててポケットから何かを取り出す。それは淡く光っている鉱石のようなものだった。


「確か今朝、本田さんが、『もし千温君に何かされた時のために持っていてください。すぐに助けに行きますから』って渡してきた……」

「ああ、それは通信魔法が施された魔法石だ。ずっと講義室に丸聞こえだったぞ」

「嘘よ!ねえ聞いて?これはただこのチー牛にこう言えって脅されてただけで、私は悪くないの!」

「いや、千温がなんでそんなことを清楚に言わせる必要があるんだ。見苦しいぞ」

「い、嫌……見ないで……そんな目で……」


 池麵は冷たく清楚を見下ろしている。その池麵の後ろのクラスメイト達も、裏切られたかのような鋭い視線を清楚に向けている。だれも、清楚のことを信用していなかった。


「嫌だ!私は被害者なの!ねえ、私女なんだよ?私悪くないよね?許してくれるよね?ねえ、池麵君?ね?」

「……千温はニートとは言え、同じこの世界を救う仲間のはずだ。それをお前の自分勝手な考えで追放しようとした罪は重い。それに、最近のクラスメイトの連続死、清楚の可能性も無くはない」

「それは知らない!絶対に知らない!私、その連続死のせいで気が動転しただけなの!それだけは信じてお願い!」


 清楚は髪を振り乱しながら必死に叫び、弁明する。しかし、一度本性を見せられた俺たちには、響かない。池麵は冷徹に言い放つ。


「俺も鬼じゃない。清楚はともに過ごしてきたクラスメイトだ。だが、念のため、君のことは一旦監禁して監視させてもらう。大丈夫だ。何もなければすぐに開放する」

「い、嫌だ!それはやめて!私反省したから!」

「では、岸さん、お願いします」

「ああ」

「いや、いやあああああああああ!」


 清楚は叫びながら暴れるが、体格の良い岸に両腕を後ろで拘束されながら連れて行かれる。


 ちょうど、清楚は本田の横を通り過ぎる。その瞬間、本田は清楚に何か小さく呟いていた。俺にはなんて言っていたのかは分からなかったが、清楚は何かを言われた瞬間に、怒り狂ったかのように本田を睨みつけながら叫んだ。


「本田てめえええ!絶対に殺す!殺す!」


 なんだなんだ?本田は清楚に何を言ったんだ?あそこまで怒らせるとか、本田も結構やるじゃん。


 何度も暴れる清楚に岸はごつんと清楚の頭を殴って黙らせ、そのままどこかへ連れて行かれた。監禁すると言っていたから、恐らく牢屋か何かだろうか。


 ていうか、また俺はなぜか助かってしまった……。ほんとに今回は死ぬかと思った……。池麵は清楚を見送った後、俺に手を差し伸べる。


「千温、清楚のことはすまなかった。何かあったら俺に教えてくれよ?助けになってやるから」

「え、あ、はい」


 俺は池麵の差し伸べる手に――手を伸ばすことなく、一人で立ち上がる。誰が顔、遺伝子、環境のすべてを手に入れた人生イージーモードの完璧超人の手を取るかよ。


 ……クソ、こんな優しくされたんじゃ、今後池麵を殺そうって時に雑念でやりにくくなるじゃねえか。こいつは少なくとも悪い奴ではない。マジでただの正義感強いアホなだけだ。ただのやんちゃなだけの陽キャじゃねえ。


 こんなチー牛の俺まで助けてくれるって、どんだけ今まで優しくされて、良い親に育てられたのか……羨ましくてたまらねえ。


 とにかく、助けられたのは事実……クソ、どうすりゃいいんだよ、これから。





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