表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【性的魅力1】の底辺陰キャ、美少女魔王の暗殺者になってクラスを崩壊させることにした  作者: N


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/27

第2話 勇者たち

 


 しばらくして光が収まったのを確認して、俺はゆっくり目を開けた。


 周りを見渡すと、そこには日本の風景とは1ミリも重ならない光景が広がっていた。近代ヨーロッパみたいな、石造りの床、壁、柱、天井。手のひらに伝わる床の冷たさ。窓からは太陽の光が差し込んでいるけど、窓ガラスなんて上等なものはない。


 刺繍の入った真っ赤なカーペットが敷かれていて、その先には豪華な椅子……というか「玉座」ってやつか。そこに座っているのは、いかにも国王って感じの、もじゃもじゃの髭面をした……おっさん? ジジイ? ジジイでいいや。周りには槍を持った兵士がずらっと並んでいる。


 俺はと言えば、制服姿のままだ。ポケットに入れていたスマホは無事だったけど、学校のカバンも、さっきまで座っていた机も椅子も、この場には存在しない。周りのクラスメイトたちも制服のままで、この意味不明な現象に「どこだよここ」「マジで?」とあたふたしながら呟いている。


 俺は、自分でも驚くほど冷静だった。……いや、冷静を装ってるだけか。ラノベの異世界モノは読み慣れてるからな。手に伝わる石の感触とか、このカビ臭い湿った空気。夢じゃなくて、これは「現実」だ。


 まあ、チー牛オタクはこういう時の順応だけは速いってことだ。知らんけど。

 ちなみに、転移したのはクラス全員じゃなく、あの時教室にいた奴らだけのようだ。数えるとだいたい20人くらい。担任の先生はまだ来てなかったから、当然ここにはいない。生徒だけだ。


 すると、国王だか何だか知らないジジイが立ち上がって、俺たちを見下ろしながら話し始めた。


「よくぞいらっしゃった、勇者とその御一行。あなた方に、魔王を討伐していただきたく、お越しいただきました」


 貫禄のある太い声が、広い空間に響く。

 ……うわ、出た。テンプレ展開。「魔王討伐」、お前らがやれよ。赤の他人、それも別世界の未成年をホイホイ呼ぶな。バカタレが。


 すると、さっきまで黙っていた棒緑が、王に向かって詰め寄り、声を荒らげた。


「何言ってんだクソジジイ! 魔王? 何の冗談だコラ、早く帰らせろやゴラァ!」


 おうおう、相変わらずイライラしてんな。こいつは他の連中と違って、困惑よりも「怒り」が勝ってるらしい。さすが棒緑って名前に相応しい短気っぷり。


 もちろん、そんな反抗的な異世界人を放っておくほど、この城の連中も甘くなかった。両脇に控えていた兵士二人が、棒緑の首筋にシュパッと槍を突き出した。さすが異世界、この手際の良さ。相当鍛えられてるな。


 棒緑は冷や汗をだらだら流して、その場から動けなくなった。首筋からツーっと、細い血が流れる。


 ……ハッ。こういう奴って単純だよな。自分より圧倒的に強い奴に囲まれれば、一瞬で大人しくなる。おもろ。一生その恐怖で歪んだツラしてろよ。


 王が手を挙げて合図を送ると、兵士たちは槍を引いた。そして王は、わざとらしく申し訳なさそうな顔で謝罪した。


「申し訳ない。だが、私たちも世界のために必死なのだ。どうか協力してくれないか。……それに、元の世界へ返す方法は、我々も知らないのだ。魔王を倒せば、何か分かるかもしれないが」


「そ、そんな……ひどいよ……」


 清楚は、元の世界に帰れない可能性を聞いて、力なくうなだれる。周りのクラスメイトも似たような反応だ。いきなりさらわれて帰れないとか、そりゃ絶望するわ。


 そこで声を上げたのは、俺の憎き天敵だった。


「みんな、一回落ち着こう。帰れないって決まったわけじゃないだろ。魔王を倒せば道が開けるかもしれない。今は、受け入れるしかないんだ。僕たちもこの世界のことが何も分からないんだから、まずは王様の指示に従おう。元の世界に帰る方法も、みんなで探せばいいじゃないか」


 ……出たよ。ポジティブな励まし。さすがクラスのリーダー、委員長の池麺だ。キッショ。

 でも、こういう時に仕切る奴がいるおかげで、チームがまとまるのも事実。俺にそんなことは逆立ちしてもできねえ。キモがられるだけだしな。


 クラスメイトたちは、池麵の声を聞いて多少落ち着きを取り戻し、お互いを励まし合う。しぶしぶだが、王の要求を飲む流れになった。


「僕たちは、あなたに従います」


 池麺が宣言すると、王は安堵したように顔をほころばせた。そして、深々と頭を下げる。


「おお……ありがとうございます。協力していただけるのであれば、我々は資金も、食べ物も、寝る場所も、できる限りの支援を約束します。どうか、魔王を撃ち滅ぼしていただきたい」


 ほう。食う寝るに困らないなら、一生この城でだらだら過ごすのもアリかもな。できれば可愛い女子も俺に寄付してほしい……。あ、このツラじゃ拒絶されるだけか。食欲、睡眠欲。性欲も満たしてえなあ。クソが。


「では、詳しい話はそこの騎士団長、きしにさせよう。頼んだぞ」


「承知」


 王の隣にいた、ゴツい鎧を着た男が俺たちの前に歩み出た。騎士団長か。いかにも逆らったらパワハラされそう。この世界にパワハラなんて言葉があるのか知らんけど。


 岸は鋭い眼光でこちらを睨みつけると、一言だけ言い放った。


「よし、私に付いてこい」


 岸は随分デカい態度で、ジャラジャラと鎧を鳴らしながら、玉座の間を出ていく。俺たちはよく分からないまま、ゾロゾロとその後を付いて行った。


 ---


 場所を移動して、大学の講義室みたいな、机と椅子が並んだ広い部屋に案内された。前の方には教壇があって、岸がそこに立つ。


「よし、適当に座れ」


 クラスメイトたちが適当に席を埋めていく。俺はもちろん、隅っこの目立たない席に一人で座る。当然、隣には誰も来ない。俺だって、こんなキモいチー牛の隣なんて座りたくない。みんな妥当な判断だよ。俺も一人の方が落ち着く。……悲しいけどな。


「さて、勇者一行。まずは事の成り行きから説明する」


 ……話が地味に長かったから適当に聞き流してたけど、要約するとこういうことだ。


「人間族と魔族が喧嘩してて、魔族から攻撃されたからやり返してやりたい。だから勇者を召喚した」


 ふざけんな。ただの種族間の喧嘩に俺たちを巻き込むなよ。


 で、召喚された異世界人には特殊な能力が備わっていて、戦闘力もこの世界の人間より高いらしい。ありがちな設定だ。


「お前たちにはそれぞれ『職業』が付与されているはずだ。今からステータスプレートを配る」


 周りの兵士たちが、プラスチックだか石だかよく分からない素材のプレートを配り始めた。裏表見ても、何も書かれていない。それと一緒に、待ち針みたいなものも配られた。何だよこれ。


「全員に渡ったな。そのプレートに、お前たちの血を一滴垂らせ」


 ……うわ、出たよ。この針で血を出せってか。地味に痛えから嫌なんだよ。

 でもやんなきゃ話が進まないし、周りも困惑しながら指を刺してる。一人だけやらないのは目立って余計に怖い。


 俺は意を決して、チクッと針を指に刺し、プレートに血を落とした。

 するとプレートが青白く光りだしたかと思うと、表面に文字が刻まれていった。


「全員終わったか? そこにはお前たちの名前と職業、スキルが刻まれているはずだ。各自で確認しろ」


 そう言われたので、俺も自分のプレートを見てみることにした。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ