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【性的魅力1】の底辺陰キャ、美少女魔王の暗殺者になってクラスメイトを葬ることにした  作者: N


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第14話 魏屋琉2

 



 その後、岸の迅速な対応によって、魏屋琉は何とか一命は取り留めたが、未だに身体は衰弱し、吐き気や気持ち悪さは続いていた。今は医務室のベッドで横になっていた。


 しかし、原因は分からず、一時的に容態を軽くする処置しかできていない。魏屋琉はベッドの中、初めての孤独を感じていた。いつも、女子グループや、棒緑達など、つるんでいた。なのに、あの時は……。


 このままで良いのだろうか。自分はこのままじゃ、居場所がなくなる。胡桃にも謝っていないし、陽菜には恐らくまだ嫌われているまま。他の女子たちにも、まだ何も説明もできてない。


 魏屋琉はなんとか、力の入らない身体で、ベッドから降りて、立ち上がる。このままじゃ嫌だ。このままじゃ……


 ---


 魏屋琉は何とか、訓練場で訓練しているクラスメイト達の元へと歩みを進めた。みな、いつもの様子で和気あいあいと訓練に励んでいた。まずは、胡桃に、謝らないと……。


 魏屋琉は、周りを見回して、胡桃を見つけると、なんとか胡桃の元へと駆け寄っていく。しかし、現実は悲惨だった。


「おい!魏屋琉!近づくな!!!さっさと医務室へ戻れ!」


「……え?」


 魏屋琉に気づいた岸が大声で警告する。その声で、皆、一斉に魏屋琉から距離を取り始める。胡桃は、魏屋琉のことを見た瞬間に、再び怯え始める。


 え?なんで、みんな離れていくの?


 棒緑は?半寒は?棒緑に近づこうとすれば、やはり距離を取られる。そして、目を逸らしながら、棒緑は魏屋琉に言葉をかける。


「今は、お前に近づいたらダメなんだわ。まずは戻ってくれや」


 魏屋琉は感じてしまった。すでに、自分の居場所は、無いのだと。初めての、孤独。みんな、自分をまるで未知のウイルスかのように、離れていってしまう。汚物を見るような目で。


 魏屋琉は、再び、ストレスからか、吐き気に襲われ、口元を押さえる。


「まずい!だから早く戻れと言ったというのに!」


 岸はすぐに、魏屋琉を抱えて医務室へと、風の如く走っていった。


 そんな中、一人、その光景を見て、ほくそ笑んでいるのは、千温だった。


「計画通り……ってか?」


 魏屋琉はそのまま、気を失っていた。


 ------


 俺は夜中、隠密スキルを使用して、部屋を抜け出す。隠密は、簡単に言ってしまえば、音や風、気配を最大限まで消す能力だ。このスキルを使えば、オタ2人も寝ているために、抜け出すのは簡単だ。正に暗殺者のためのスキルだ。


 俺はそのまま、医務室へと向かう。警備も多少はいるが、隠密スキルを駆使すればなんてこともない。岸のような強者にはバレるかもしれないが……。


 あとは、医務室を抜け出していなければ、魏屋琉はまだいるはずだ。俺は周りに誰もいないことを確認し、あえて、ノックをして医務室へと入っていく。


 中は真っ暗だった。部屋の気配を察知するに、恐らく魏屋琉しかいない。そのまま、部屋の明かりを灯す。そこには、ベッドで横たわる魏屋琉が、驚いたかのように目を丸くして、俺を見ていた。


 今、魏屋琉のメンタルはズタズタでボロボロだ。クラスメイトから全員に汚物扱いされ、誰も見舞いにも来ない。誰でもいいから、縋りたいという精神状態なはずだ。


 俺は、表情を崩さずに、魏屋琉の元へとゆっくりと歩いて行く。魏屋琉は涙を流しながら、呟く。


「ち、千温……」


 魏屋琉は、唯一自分に会いに来た救世主、とでも思っているだろう。少しだけ、表情に笑顔がともる。だが、違うな。期待しているところ悪いが、お前を地獄に落としに来た死神だ。


 俺はニヤッと、魏屋琉の前で笑ってやった。


「どうだった?自分が汚物を見る目で見られた気分は」


「……は?」


 ここでようやく、魏屋琉は察したのだろう。魏屋琉はすぐに俺を警戒し始め、身構える。さすがは職業武闘家といったところか。俺は構わずに続ける。


「お前は、クラスの中でもかなりの潔癖だったよな。まあ、女子たちの会話からも想像できた。お前はいつも、食堂のスプーン等は使わず、自分で箸などを持参していると」


「は?な、何の話?」


「だから、お前の箸やスプーンに毒を盛ることなんて、簡単だったんだよね」


「て、てめえの仕業か!」


 魏屋琉は衰弱しているはずなのに、力を振り絞ってベッドから飛び上がり、俺に空中から回し蹴りをお見舞いしてきた。


 まあでも、衰弱した魏屋琉の動きなど、俺でも簡単に見切れる。俺は片手で魏屋琉の足を受け止める。魔力を手に集中させれば、身体への反動も最小限にできるしな。


 俺はそのまま音をたてずに、ベッドの上に叩きつける。魏屋琉の驚き、そして恐怖して震えている目を見る。これだよこれ。この顔が見たかった。


 俺はそのまま手を離し、ウキウキでネタばらしを続ける。いつもならどもってるのに、吹っ切れているからか、どんどん言葉が出てくる。


「授業中のバッグに箸入れてるだろ?訓練の休憩中、誰もいない隙を狙って、女子寮のバッグに毒を塗るくらい簡単なんだよね。ダメだよ、バッグには鍵を付けなきゃ」


「ま、待ちなよ……勝手に抜け出すとか、普通無理っしょ……女子寮の警備パナイんだよ?……てか、さっきもあたしの渾身の蹴りを片手で受け止めて……あんたニートじゃなかったの?」


「い~や?ニートは偽装、俺はな、暗殺者だ」


 その瞬間、魏屋琉は目を見開いた。察したかな?俺は続ける。


「一人だけ、俺のステータスプレートの偽装に気づいたやつもいたけど、そいつは殺しておいたよ」


「……モブ崎を殺したのは、あんただったわけね」


 魏屋琉は何とか再びベッドから立ち上がろうとするも、俺は顔面を押さえてベッドに再び押し付ける。


「どこへ行くんだぁ?皆にバラそうとしてるんだろうけど、ダメだよ」


「クソが……」


 俺はベッドがぐらぐらときしむほどに、魏屋琉の顔面を押し付け続けた。


「てか、ここまで全部想定通りだったのおもろすぎるわ。この毒さ、魔族が開発したものでさ、人間族には解明不可能な致死毒なんだよね。簡単に治る毒だったら、治されちゃうしさ。それに、原因不明で毒かウイルスかもわからなければ、嘔吐物から感染が広がる可能性を考えるはず。お前が隔離されることも見越してたわけ。岸たちが、たった一人の未知の毒やウイルスによって、勇者たちにも広がる可能性は避けたいだろ?こうなることはだいたい予想してた。ていうか、別に感染する毒じゃないけどね」


「あ、謝る……から……」


「……あ?」


 色々とネタばらしをしていれば、魏屋琉は、目に涙をためて、声を震わせながら、いつものような強気ではなく、弱弱しい声で謝り始める。


「今まで、あんたの事、絡んで来たこと、謝る……から……ごめん……なさい……」


「……ざけんなよ」


 俺は我慢できず、魏屋琉を殴ろうと手を出そうとしたが、思いとどまる。ダメだ、魏屋琉に傷跡をつければ、誰かが魏屋琉に介入したことがバレる。落ち着け。


 こいつの死因を毒死にしなければならない。ただ、手は出さずとも、今までの鬱憤を晴らさずにはいられなかった。


「お前は……今まで俺を、汚物を見るような目で見てきて……俺の物に触れれば、汚いと手を振り払ったり……お前は俺から自己肯定感を奪い、心を殺してきた。それを、ただのごめんで許せると思うか?」


「反省してるから……棒緑達も説得する……から……死にたくない……」


 死にたくない?棒緑達と散々俺を本気で殺しに着て魔王城に捨てておいて、死にたくない?


 俺は手を震わせながらも、何とか怒りを堪える。ここで、とどめを刺すんだ。


「……分かった。許す」


「本当?ちはりゅ……ありが、とう……」


 魏屋琉は藁にも縋る思いで俺の手を握ってくる。俺は口角を上げて、魏屋琉に囁く。


「反省してるみたいだからさ。でもこのままだと毒が全身に完全に回ってしまえば、君は死ぬ。ちょうどいま、その特製の毒を解毒できる薬を持ってるんだけど……俺が魔族と手を組んだこと、モブ崎を殺した事、誰にも言わない?」


「い、言わないから……薬……お願い……」


「じゃあ、この薬飲んで。水なしでも飲めるよ」


「あ、ああ、ありがとう……ちはりゅ……」


 魏屋琉は必死に俺の手から小さく丸い薬を手に取って、それを口にした。


「あとは、一晩寝れば、治ってるから」


「……ありがとう」


 魏屋琉は涙を流し、安心したかのようにそのまま、目をゆっくりと閉じていった。


「……ま、どちらにしろ、”言えない”んだけどね」


 残念だけど、それ、さっきの毒を更に強める毒だったんだよね。それに声帯も機能停止するから、声も出せず周りに助けも求められない。全身はさらに麻痺で動かなくなる。


 だけど吐き気や痛みはさらに強くなり、叫びたくても叫べない、這いずり回りたくても動けない、地獄の苦しみを味わうわけだ。クロが作ってくれたんだけど、おっそろしいねえ。


 潔癖のお前に取っちゃ、未知のウイルスでもがき苦しんで死ぬとか、お前の最期にふさわしいんじゃねえの?


 最期にこいつの死にざまを見て行きたかったが、ここに長居しすぎても怪しまれるしな。俺は、そのまま振り返ることなく、医務室を出ていった。


 その翌日、魏屋琉の死亡が確認された。



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