終.あたしたちは、ズッ友なんだから……ね
最後はちょっと前作の繋がりを絡めて〆てみました。
野球場の応援席の一角。
そこで桜宮小の野球部員達は次の試合を観戦しながらのお昼となった。
優華が作った12個のお弁当は、部員たちに大好評だった。
「うまい!このから揚げ、ジューシーすぎる!」
「卵焼きの甘さも絶妙。なにか特別な具財か調味料使った?」
一人の何気ない問いかけに、優華はキラーンと目を輝かせた。
「もちろん、から揚げは安い胸肉だけど麹に付けこむ事で柔らかくして、さらにニンニク醤油も加える事でコクをだして……それで卵焼きは弱火でじっくりと……で、味付けは唐揚げにも使ったニンニク醤油を……だから、刻んだ葱を少し混ぜる事で……うんたらかんたら」
仁王立ちしながらずらずらと料理のうんちくを述べる優華。専門用語が飛び交いまくるその話っぷりに彼女をただの料理好きとしかみてなかった面々は目を丸くする。だが、一部の者はまた始まったとばかりに苦笑するだけだった。
放っておけば、いつまでも話続けるので、美咲が首筋に斜め45度チョップを叩き込む事で無理やりキャンセルさせた。
「もう、優華ちゃん話長いよ。皆呆れちゃってるじゃない」
「あ……美咲ちゃん。もしかして、私またやっちゃった?めんごめんご」
てへぺろっと舌を出して謝る優華。そのあざとい可愛らしさに皆一同は許すのであった。
「もう、優華ちゃんだから仕方ないよね。それで来週のお弁当と応援の件だけど、また頼んでいい?」
「もちろん。金一封もらえるならまた引き受けちゃうよ。でも……」
優華はちらっと男達をみる。
弁当はかなりの大盛で作ったがにも関わらず、皆育ち盛りな上に激闘だったせいか物足りないって顔をしていた。なら次回はもっと大盛にする必要あるのだが、そうなると作る量も増える。今回もひぃひぃ言いながらおかずを用意したのに、これ以上増えると許容オーバーだ。
どうしようかっと悩んでると、残りのモブチアの二人が声をかけてきた。
「伊豆木さん、よかったら私達も手伝だおうか」
「あんまり料理が得意ってわけじゃないけど、お弁当に詰めるぐらいなら」
「あーうん。人手増えるのはうれしいけど、お弁当って結構難しいよ。ただおかずを作るだけじゃなく、配置も考えないといけないし、何より弁当の出来に偏りがでると不公平がでるから統一感も……」
そうぶつくさ独り言を垂れ流しながら考え込む優華につい引いてしまうモブチア達。
彼女達はそんな優華の弁当作りを手伝ったという美咲に質問する。
「えっと……桜沢さん、伊豆木さんっていつもあんななの?」
「うん、優華ちゃんって料理事になると一切の妥協しなくなっちゃうのよ。だからこそ美味しさが保証されてるわけだけど、たかだかおかずを詰めるだけでも数回はリテイクされる覚悟した方がいいかもね~」
「う、うわ~……そこまでこだわってるんだ」
「これじゃぁ、私達手伝えないかも」
「だったら、最初から一人分を一つの弁当箱に詰め込むんじゃなく、一つの箱に一種類のおかずを詰め込んだらいいんじゃね?それなら伊豆木さんも厳しく言わないだろうし、俺達もそれぞれの箱から好きなおかずをチョイスできる」
「そうだな。仮に女子4人で3種類のおかずを作ったら12種類のおかずが入った箱が出来るわけだし、俺達は白米を片手にその12種類の箱から各自で好きなおかずを取るって……ん?どうした」
「そ・れ・だ!!バイキング形式にすれば解決じゃん!!」
キャプテンである翔太とお調子者な和也の雑談に優華はこれぞ最適案っとばかりに賛同。
さらに詳細を詰めての話し合いの結果、ご飯だけは各自の持ち込み。
おかずは優華を筆頭としたチアガール部隊の手作りしたおかずを持ち寄った「野球部&応援団合同バイキング弁当」となったのである。
———
こうして、波乱に満ちた地区大会の準決勝が終わったその日の夜。
「でね、あの時は大変だったんだよねーまさか、現実で誘拐されて縛られるなんて思ってもみなかったよ」
優華は自室の机で一つの押し花。青い小さな花の押し花を通して今日の出来事を話し込んでいた。
「それで、セーニャはどうしてるのかな?時間軸が全く違うから、もしかしたらもうお婆ちゃんになってるかもしれないけど……それでも、あの時交わした誓は忘れてないよね?だって……」
“あたしたちは、ズッ友なんだから……ね”
深夜、ベッドで眠る優華は夢をみた。
お婆ちゃんになったセーニャと再開する夢。
彼女はお婆ちゃんにこそなっても、優華との友情を変らず持っていた。
忘れる事なく、友達として他愛のない話を続けた。
そんな夢をみている優華を、影から一人のマッドサイエンティストな悪魔がくすっと笑いながら見守っていたそうだ。
おわり?
最後にちょっと粋な事してる薩摩芋ちゃんだけど、彼女の登場には深い意味あるかもしんないし、ないかもしれない




