4.エロ同人みたいな事されてない?!むしろされた?!された!!?
されてねーよ!!
っていうか、小学生相手にそれやったら一発で垢BANされちまうだろうが!!(´Д`;)ヤリタクトモデキネーンダヨ
倉庫から救出された優華は、皆に連れられてグラウンドに顔を出した。すでに事情を知っていた両チームの関係者たち……特に美咲が彼女の無事を喜ぶかのように抱きついてくる。
「優華ちゃん大丈夫!?誘拐されて縛られて監禁されたって聞いたけど大丈夫?!エロ同人みたいな事されてない?!むしろされた?!された!!?」
「いやちょっと待って美咲ちゃん!!自分が何言ってるかわかってるの!?」
抱きついたまま、縛られた跡が残ってる手首を心配そうに掴むんでくる美咲だったが、敵チームのキャプテンはそんな彼女を無視するかのようにして優華に謝る。
「えっと、伊豆木さんって言うのかな。その、改めて謝らせてもらいたい」
「別に君が悪いわけじゃないし、気にしてないよ。それより、試合はどうなるの?」
それに応えるべく主審が前に出た。
「試合は緊急事態として一旦中断した。もう警察に連絡したので、西山小の監督と実行役の男はまもなく警察に連れていかれるだろう。それで試合については……」
「俺たち、棄権します。こんな状況で試合を続ける資格はありません」
「待ってくれ!隆、ここまで来たんだ……試合で決着をつけよう」
一同が翔太を見つめる。
「伊豆木さんも無事に助かったんだ。でも、それが理由で西山小が棄権するなら、俺たちの勝利も心から喜べない。それに……せっかくこうして敵同士になって試合する機会を得たんだ。最後までやり合わないと損だろ、隆」
「翔太……そうだな。最後までやって……いいんですよね?」
隆と呼ばれた西山小のキャプテンは、主審に視線を向ける。
主審は「お前は何を言っているんだ?」っとばかりな顔をしながら、ホームへと歩いていく。
塁審達もニヤッと笑いながら、各々の定位置に付く。
それをみた部員達も各々頷きながら守備位置やベンチへと戻る。
最後に残ったキャプテンの二人は……
無言のまま互いの右拳を付け合わせ、翔太はマウンドへ。隆はベンチへと戻った。
もちろん優華もしつこく纏わりつく美咲をモブのチア仲間と協力して引き離しながら応援席へと戻る。
皆が定位置についたのを見計らい、主審が改めて試合再開を宣言。
それに合わせ、優華も応援席から今日一番ともいえる声を張り上げた。
「どっちも頑張れー!!」
こうして試合は最終回となる九回表の攻撃から始まった。
———
翔太は二人まで凡打で抑えたものの、クリーンナップは抑える事ができなかった。ランナー二塁で打席に立ったのはキャプテン隆。翔太は敬遠せずに真っ向勝負を挑んだ結果、返ってきたのは強烈な打球。翔太のグラブを弾き飛ばしてなお外野前まで運んだヒットで失点を許しての8対7となった。
九回裏、桜宮小の攻撃。ツーアウト一二塁で打席に立ったのは、前打席で同点打を放ったキャプテンの翔太。
これが最後の勝負であり、両チームは全てをキャプテンに託すかのような大声援が飛んだ。
ピッチャーの隆が投げる。やはり敬遠などする気ないと言わんばかりの気迫が籠ったど真ん中の直球。もう一球、外角低めを完璧に捉えたストライク。カウント0-2。
三球目。追いつめた事で気楽に投げすぎたのか外角に大きく逸れたワンバウンド。キャッチャーが身体を張って止めたのでランナーは進めずとも、運が悪ければボールを後ろに逸らしていたところ。
隆はボールを受け取りながら「すまん」っと一言謝った。カウント1-2。
四球目。少々外角に逸れたボール気味のコースであっても、さきほどミスを無意識に恐れたのか伸びがない。それをチャンスとみた翔太はバットを振り抜いた。
打球は見事に右中間を割った。二塁ランナーは悠々にホームインできても、一塁ランナーの健吾は微妙なライン。だが彼は、副キャプテンとして、年長者として、年下の後輩の頑張りに応えるかのごとく三塁を蹴った。中継したセカンドがバックホーム!
キャッチャーと走者がホーム上で交差した。
砂煙が舞い上がって一瞬の静寂がグラウンドを覆った。周囲が静まり返る中、審判が下した判定は……
――セーフ!!
彼は西山小のOBであっても、主審として公平を貫いたのであった。
グラウンド中が沸き立った。拍手喝采の中、桜宮小の面々は喜びながら、ホームインした健吾の元へと走り寄って称え、続いてサヨナラヒットを打った翔太を囲んだ。
西山小の面々も桜宮小の周囲に集まり、拍手で健闘を称える。
そこを主審が、まずは試合後の礼を行いなさいっと一喝。
この後すぐにもう一つの準決勝が予定されているのだ。特にこの試合は誘拐騒ぎによる試合中断で予定の試合時間を大きく過ぎている。
両選手は急ぎホームで整列し、主催は桜宮小の勝利と試合終了を宣言。礼と同時に撤退となった。
そんな中、両チームのキャプテンだけは残っていた
二人は幼い頃から切磋琢磨したライバル同士。翔太の県外への一時転校やら、戻ってきた際には別の小学校へと通う事になる等といったすれ違いや蟠りがあったものの、この試合を通じて変わらない友情を再確認できたのだろう。
よって、彼等は撤退前にホーム上で無言のまま軽くお互いの拳をぶつけあわせた。
例え言葉を交わさなくても、それだけで十分だったらしい。
これぞ青春!!異論は認めない!!




