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セイロンガー外伝2☆わたしのセイロンさん  作者: 月極典


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野生のおじさんに出会った


 真由美です!

 

 今日は日曜日。ちょっと大通りのコンビニに行ってきますね。今日発売の別マ、『別冊マリーゴールド』を買いに行くんです!


 シャドウズの人が、それくらい買ってきますって言ってくれたんですけど、男性隊員しかいなくて……。さすがに男の人が少女マンガ雑誌買うのはずかしいじゃないですか?


 というわけで、散歩がてらに買い物です。警備はシャドウズの男性隊員が1人ついて来てくれてます。コンビニに行くくらいでセイロンさんを呼び出すわけにいきません!本当は誘いたいけど……えへへ。


「真由美お嬢様、私はシャドウ・ナインです。すぐ後ろにいますから、気にせず歩いてください」

 ナイン。この前、道場でお母さんが『純ちゃん』って呼んでた人だ!


「ナインさん、すみません。お手数おかけします……」

 日曜日くらいは怪人さんもゆっくり休んでもらいたいですねぇ。私なんか攫ってもお役に立てません。体育の成績2だからね!


 ――周りを見た感じ怪しい人はいない……ん〜前からおじさんが歩いてきます。いや別におじさんが歩いても問題ないんですけど、なんだかあの人は怖い雰囲気。


 ベージュのよれたトレンチコートにオレンジ色のハンチング帽。こけた頬にもじゃもじゃの髭、そして咥え煙草です。…………十分怪しいか。

 

「あ〜したはぁ、あしたぁの〜……♪」

 なんか歌ってるぅ!


「真由美お嬢様、危険ですのではじによってください。あの雰囲気、只者じゃありません……」

 私を道の右端に寄せて、前に出て守るようにしてくれます。ナインさんはヒーロースーツ、向こうは生身のおじさん。襲ってきてもまさか負けることはないと思うけど。


 ドキドキ……


「澱みや滝がぁあるだぁろう……♪」

 低く渋い声で歌いながら近づいてくるおじさん。一瞬、顔を上げてこちらをちらりと見ました。面倒そうに半分開いた瞼から発する、射抜くような鋭い眼光に緊張が走ります。


 そして、通り過ぎる瞬間でした。


「あんちゃん。ちょっと聞いていいか?」

 声かけてきたーー!


「何でしょう」

 ナインさんは私の横に位置を変えて答えました。


「あんちゃんみたいな珍妙な格好したのがヒーローってやつか?」

 珍妙な格好、……悪口かな?


「格好は様々ですが、そうなりますね」


「そうか、強いんか?」

 うう、答え方ひとつで戦いが始まりそうな質問です。


「どうでしょう。あなたは相当の強者にみえますが」


「そうかい?」


「ええ、やばいほどの殺気が立ち昇ってます」


「そうゆうおめぇもな。……あぁ、そうだVVEIって会社、この辺りか?」

 え、VVEI? やっぱりこの人、ヴィラン!?


「全然違います。立場上教えられないので、スマホで調べて行ってください」


「携帯か。まだ持ってねぇんだ。まぁ、いいやそのうち辿り着くだろう。急ぐ旅じゃねぇ……ありがとよ」

 そんなんで辿り着くのかな? タクシーで行くとか方法はありそうだけど。


「あの……あなたVVEIなんかに行かず、ヒーローになる気はないですか?」


「面接落ちたらな。スカウトだからまさか落ちはしねぇだろうがよ……」

 

 行っちゃった。

 

「何というか、失礼だけど、野生の動物みたいな人でしたね」


「野生……野生の人間」

 ナインさんはおじさんの後ろ姿を見ながら呟きました。

 

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