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推し恋2  作者: たま


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通過儀礼

「えっ、どういう事?くれた人は、配信者としての笠原くん知らないよね?」琴子が驚く。

「そうなのですか?では、すごく年が離れてるとか?

生々しい男性?を感じないある種理想化された異性を感じたのでしょう。

でも、憎しみの方がマシな好意ってあるんですよ。」占い師みたいなエンジニアスタッフがフフッと微笑む。

「あ〜、配信者の通過儀礼みたいなものだよ。

笠原くんはそういう客少ないタイプなのにね〜なんせ言葉がキツいレスバタイプだし。」社長も首をひねる。

「ゴミ置き場で人のゴミ袋開けて中身チェックしてるから、やめろと注意して…なぜ好かれる???」笠原くんも苦しんでる。

一同、理解しがたい。なぜ、そこから好意?

「エッ、指示厨とガチ恋勢をうまく料理してこその配信者だろう?このライダース、着こなしてみせるぜ!」と初代ライダーポーズを決めて笑いの戦士ビリケンが空を飛んだ。

その世代では無いはずなのに…スゴい。

「好意?好意なあ〜まあ、もう団地離れたし、このライダースもビリケンの物だし!大丈夫だろ!」笠原は油断している。

そこに女の子が寄ってきたが琴子がウインクして口元に指を立てる。

「うん?知り合い?」社長が聞いてきた。

引っ掛かった!

「いえ、昔イベントでカード交換したんですよ。

私が引いたカードがことごとく推しじゃなかったので、ねっ?」とまだ高校生くらいの子と相槌をうった。

「年が近そうな子だったので話しやすかったんです。

結構お姉さんばっかりだったので。」と声掛けてきたのは5姉妹の末っ子のしっかり者の(りん)だ。

一つ違いくらいなので並ぶと友達っぽい。

「ふ〜ん、そうなんだ。」と社長が意味深に笑った。


しかし…1番幼い設定の末っ子にしっかり物の理知的な子を据えるとは。5人姉妹の設定もガランディーナの戦士共々、工夫されてる。

普通甘えたでワガママ設定にする場所なのに、そこでミソッカス感が出ないように長女的な役割を果たさせるとか。

凛と会った頃はまだ推し仲間が出来上がってない時だった。同世代なのでイベントで速攻寄ったが、彼女は兄がつきそいで推し活来たので、そこで終わったのだ。だからジュンと琴子が仲良しなのは知らない。

結局、琴子は10個上から3歳上までお姉さん軍団に入った。錦糸町のおじさん達相手にタメ口の子なので、琴子から見ると

ただの小娘の集団なのだ。

が、母から見たら急に見知らぬ大人女性を大量連れてくるので、うちの子は宗教でも勧誘されたのかと心配して揉めたのだ。

彼女からジュンの事がバレる恐れはない。

2人でイベント記念で撮ったプリでジュンは彼女を知ってるのだ。


喜美子は、その頃慌てていた。

母が急死したのだ。胃ろうを受けて意識は朦朧としてるが心電図は動いていた。若い時は厳しい激しい母だったが、夫を見送ってからはノビノビと人生を満喫していた。海外旅行にも何度も喜美子が連れて行ってあげた。ここ10年くらい徐々に弱りだし久々団地で女2人暮らししたのだ。と言っても喜美子は仕事仕事の毎日だったが。

夜は飲み会、休日はゴルフ三昧の働く女だったので母はほとんど訪問看護の人に任せっきりだったが。

定年近くなって、やっと母を顧みる余裕も出てきたのに…母は入院してしまった。

急に休みを持て余すようになった。

そこに仔犬みたいな男の子が、喜美子の慈善ボランティアにケチつけてきたのだ。

ずっと会社や父のせいで男は嫌いだった。

下品で汚くて粗野で女の体しか見てなくて、そのくせ偉そうに女を見下し命令や指示してくる。

そんな男ばかりの職場で戦って働いてきたのだ。

男に媚び売ったり守られる女は容赦なくイジメて潰してきた。

本当に初めて、異性にときめいたのは仔犬の青年なのだ。生意気なのが、また可愛い。ニヤニヤしてしまう。彼は団地を去ったが眠ると夢に出てくるようになった。暗く狭い場所に喜美子は閉じ込められているが、彼が寝息が聞こえる。近くに行こうとするが、なかなか行けないのだ。

定年の準備で有給消化期間でほとんど出社する必要は無くなった。寝たいだけ眠て彼の夢を見る。

が、母が亡くなるとすぐに文書がポストに入っていた。

団地の退去命令だった。


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