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推し恋2  作者: たま


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仔犬

それはある日突然舞い降りた。

私の可愛い仔犬。

団地は安くて助かるのだが民度が低い。

美しい本物だけを身に着けた私が、こんな所に居るのは本来おかしいのだが。

本物は、ブランド品は高いのだ。それを買うには公務員の自分の給料は低すぎる!

周りは結婚だ子供だ家だと、どうでも良いことにお金を費やすが、

私は自分の為だけに!自分の為にお金を全て使える。

会社が粗野な男の塊みたいな場所で汗臭く泥臭く下品な人ばかりで…全然美しくなかった。

美に異常に憧れを抱いたのは、あの会社のせいだ。

皆、同期も後輩も結婚していったが、特にうらやましいとも思った事がない。

父親がとにかく亭主関白で母は昔ながらの教えを守って、本当は気が強くて癇癪持ちなのに耐え忍んで「日本の女、日本のお母さん」を演じていた。

だが、そんなの自我を無理やり木型にはめ込んだようなもの。母はストレスを我が子にぶつけた。

子供は社会と親でしか繋がらない。つまり、どう扱おうと母の自由なのだ。

父がいない昼間は母の気分次第だ。

「私がルールブックだから!」母の決めゼリフだ。

だが、父が帰宅する夕方から母は極端に無口になり心を閉ざして膝だけブルブルさせる。奥歯をギリギリ噛んで…奴隷の時間が近づく合図だ。

昼間の母とは別人みたいに、まるでドラマのお母さんみたいに微笑んで夕食を並べお酌をする。

まずは父だけ酒の肴と酒だけ先に出す。

子供と自分は、一気に食べる物を出すが、父にはフルコーススタイルだ。

頃合いを見てご飯と味噌汁を出す。

酒の飲む量は父のその日の気分なので、毎回父は怒る。

「気配を読めよ!気が利かない!今日は飲みたいんだ!ご飯も味噌汁も戻せ!」と舌打ちする。

子供の前でも平気だ。恥をかかせても。

これが日本の家庭なのだ。

喜美子から見ると、結婚なんて地獄行きの片道電車だ。

案の定「彼氏は優しいの〜お姫様扱いなのよ、私」とか惚気(のろけ)てた友達や後輩は1年も経たない内に般若と卑屈な奴隷顔を交互にするように。

夕暮れになれば、ソワソワと家に帰る。

「夜は家にいないと怒られるから〜」と。

なんで大の大人が、家で叱られなくてはいけないのか?そこがオカシイと言う事に日本の女は気付かないのだ。

家族がいないと孤独とか…ちゃんちゃらオカシイ。

なぜなら子供は独立するし、夫は飲み会やら浮気やらで主婦は孤独なのだ。近所の似た境遇同士でつるむだけだ。それ以外、孤独なのだ。

独身だが会社が縦社会なので、休日は部下や後輩連れて温泉三昧買い物三昧。男とたいして変わらない生活だ。深夜に電話しても部下や後輩はハイハイと電話に出て話を聞いてくれる。

男と何ら変わらない生活をしてきた。

十分楽しかった。来年、定年だが母は入院してるが延命処置で胃ろうだが心電図は止まってない。

まだまだ大丈夫だ。

でも、この1年一人暮らしを体験して、少し寂しく感じるようになった。

母もいないし、部下や後輩も週末あまり付き合ってくれなくなった。仕方がないので標的を決めて、自分への忠誠心を試すゲームを始めた。

「〇〇さん、昼休み長くない?誰かチェックしてくれる。」と全体に言っておくと、誰かが「〇〇さん、1分遅れて昼休みから戻りました!」と報告してくれる。

彼に感謝して褒めると、皆も一斉に標的のミスを見つけて報告してくれる。

『まだまだ私も捨てたもんじゃないわね。』と悦に入る。

だが…週末はのらりくらりとかわされる…

「ペットとか欲しいなあ〜団地だから買えないかあ〜

あ〜つまんない!」

そして週末の団地のゴミ置き場が臭いのが気になってきた。ゴミ収集者が月曜日来るまで、分別がいい加減なゴミが気になるように。書類の専門家なので整理整頓が気になる。

民度の低い奴らなので仕方ないが。

「仕方ない!私がやるしかないか!」ゴミ置き場の分別のゆるいゴミは、ゴミ屋が持っていかなくて困るので喜美子が先に注意することにした。

分別のゆるいゴミには、必ず個人が特定できるモノが入っている事が多い。

警察の落とし物でも、カバンとかだと詳しく調べれば個人を特定できるのだ。サクサクと仕事と同じようにレシートなどゴミを漁り、ゴミ袋を本人に返す作業を週末はじめた。

叱って返すと皆詫びる。

「本当にどうしょうもない人達ね!私がいないと!」

セッセとゴミ袋開けては分別しなさいと本人に返す作業をしていたら…仔犬が現れた。

キャンキャンと吠える仔犬だ。

「あらっ、可愛い!飼いたいなあ〜私が吠えない犬に矯正してあげないと!」と心ときめいた。

調べたら、母子家庭の子だった。

「あらあら、だからお母さんの教育が行き届いてないのね。仕方がない!

ゴミ出しだけじゃなく、子供の教育まで私が指導しないといけないわね!」と思ってたのに、突然その子は家を出ることなったようだ。

「あんなまま社会に出たらダメよ。ちゃんと目上の人や上司の言うことを聞ける社会人に育てないと!

私の部下みたいに!

でも…どうしたら…」ふと長年着込んだライダースジャケットが目に入った。

とても高かったが、自分へのご褒美に買ったものだ。

まだまだ社会人に成るには未熟な仔犬にそのライダースジャケットをあげた。


どうだろう?あの人の頭の中って、こんなんじゃ無かったのかな?想像で書かして貰いました。

私が標的なのを庇ったお兄さんが、本当に粘着されてライダース着せられてたの思い出した!

身体中にストレスでじんましんできてお兄さん苦労してたの。

異動の日に「イジメてごめんね〜だって〇〇さんて原宿とかお台場とか華やかな場所ばっかり異動でズルいなと思って〜」とか平気でほざいてて滅!


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