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男扱いされてる女子、俺の前では可愛い女の子  作者: ときたま@黒聖女様


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「悪い、西宮。これ運ぶの手伝ってくれないか」

「はーい」


 四時間目の授業終わり、西宮が先生に授業で回収したノートを運ぶように頼まれた。もう期末テストも終わり、夏休みも目前。成績をつけるためにちゃんと授業に集中していたか先生はノートを見るつもりなんだろう。

 ただ、今回の授業で配布したプリントも回収したから一人で運ぶのにはちと大変な量になった。そこで、ゴミ箱にゴミを捨てに来ていた西宮に目を付けた、ってところだ。


 嫌な顔しないで二つ返事で引き受けた西宮。すぐにノートを腕で抱えようとする。けど、量が多そうだ。手伝いに行くか、と腰をあげたところで佐伯が半分ほどノートを手に取った。


「俺も手伝うよ」

「え、いいの?」

「いいよ。内申点稼ぎたいから」

「そんな期待された目で見られても上がらんぞ」

「そんなことないですよね〜先生」

「じゃあ、俺も手伝うよ」

「俺も俺も」

「な、なんだなんだお前ら。そんなに立候補して。そんなに成績がまずいのか」


 何人かの男子がノートやプリントやらを勝手に抱える。そんな姿に先生はただ戸惑っているだけ。けど、俺には分かる。あれは、西宮の好感度を稼ぐための張り切りだと。

 体育祭以降、西宮を可愛いと認識する男子の数は少なくても俺以外にも増えた。そして、そんな西宮には好きな人がいる。それが、自分かもしれないと考えた結果から、体が動いてるんだろう。


 結局、西宮が運ぶことになったのはほんの数冊のノート。それを、俺が運ぶのはなんかやり過ぎな気がするし、違うような気もする。教室から出て行く西宮を見送ってから、俺は弁当を机に乗せた。


「あの、東野くん」


 弁当を食べようとしたところで珍しく北上から声を掛けられた。手には弁当箱が持たれている。


「どした?」

「よかったら、一緒に食べない?」

「珍しい組み合わせだな。いいよ。ほい」


 弁当を手前側に寄せて、北上が弁当を置けるスペースを机に作る。前の席に座る女子は昼休みが始まるといつも教室を出て行って休み時間が終わる頃まで戻ってこない。北上が椅子を借りれば俺の机に弁当を置いて食べやすくなるはずだ。


「ちょっと人目につかないところで食べたくて」

「あ、そうなの?」

「移動してもいいかな」

「そういうことなら」


 北上が何も用がないのに俺に声を掛けてくるとは思わない。何かしら用があって、周りには知られたくないんだろう。そういうことをわざわざ人前で話させる必要もなく、俺は弁当を持って席を立った。

 そうして、北上と一緒に教室を出る。


「人目のない場所って言ってもどうする?」

「僕、いい場所知ってるんだ。ついてきて」


 そう言うので大人しく北上についていく。つれて来られたのは屋上へと続く階段の踊り場。フィクションの世界では屋上ってのは開放されてるパターンが多い。けど、俺が通う高校では閉鎖されている。開放されるのは特別な用事がある時だけらしい。


「なるほど。確かに、ここなら人が来ないな」

「でしょ。といっても、絶対って訳じゃないんだけどね」

「まあ、学校だからな。人が多いし、絶対に誰も来ない場所ってのはないな。閉め切ったトイレの個室くらいか」

「二人で個室はちょっと……きつい」

「俺だってきっついわ。例えだよ、例え」


 何が悲しくて北上と二人で個室に入らなきゃならないんだって話だし。ていうか、便所飯だけは普通に嫌。


「てか、そんなこと言ってないでとっとと食べるとするか」

「そうだね」


 滅多に人が寄り付かないとはいえ、いつ来るかも分からないんだ。さっさと食べた方がいい。俺と北上は弁当を開けて中身を黙々と食べ始めた。特に話すことはない。北上にはあるはずだ。けど、タイミングを考えているのか何も言ってこない。

 しばらく待ってたら言ってくるだろ。そう思って放っておいたらまだ何も言ってこない。


「それで、今日はどうしたんだ?」


 弁当を半分ほど食べたところでしびれが切れて俺から聞くことにした。すると、北上はよくぞ聞いてくれましたとでも言いたげな様子で話し始めた。


「今日の放課後、南條さんから甘い物でも食べに行こうって誘われてて」

「……自慢か?」

「ち、違うよ!」


 クラスで一番可愛いとも言われている南條。男子には当然のように人気があるし、知らないだけで南條を好きだっていうような奴も中にはいるはずだ。

 そんな南條から遊びに誘われたとなれば、聞いてる方はそう受け取ることも少なくないだろう。俺は別になんとも思わないけど。


「相談っていうか、確認しておきたくて」

「確認ってなんの?」

「東野くんは誘われたかなって」

「俺は誘われてない。ていうか、なんで俺が出てくるんだ?」

「南條さんからはね、テスト前に勉強で色々お世話になったからそのお礼だって言われてて」

「そういえば、北上のことめちゃくちゃ頼ってたな」


 南條の提案で俺と西宮、それから、北上と南條の四人のライングループを作った。そこのグループでも南條は北上にしょっちゅうこの問題の解き方教えて、と助けを求めていたっけ。


「ん、でも、南條に勉強教えてたのは北上なんだし礼をされるのは北上だけってのが妥当だろ」

「けど、東野くんと西宮さんも一緒って聞けばうんって言ってたから」

「じゃあ、誘い忘れでもしてるんじゃないか」

「そうなのかも。よかった。東野くんに確認しておいて。今日の放課後だからね……用事とかない?」

「おん。暇だから大丈夫。西宮には俺から声掛けとくよ」

「ありがとう」


 北上は安心したように表情を和らげた。南條と二人だったら緊張するから俺と西宮にいてほしいんだろう。

 それにしても、わざわざ人目のないところに移動しないと出来ないような内容だったか、これ。

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