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第1話 異世界バニー騎士姫がやってきた(6)

「……とりあえず」

 俺は頭をかいた。

「顔洗ってこい。あと落ち着け」

「か、顔……?」

「洗面所。案内するから」

 フィリアは警戒した猫みたいに俺を見ていたが、しばらくして小さく頷いた。

 銀髪がさらりと揺れる。

 朝日を浴びたその姿は、やっぱり現実感がない。

「こっち」

「……む」

 後ろから付いてくる。

 昨夜まで剣を向けていた相手とは思えない光景だった。


「……便利だな」

 数分後。

 洗面所から戻ってきた少女が、妙に感心した顔をしていた。

「水が勝手に出るとは」

「水道だからな」

「魔道具か?」

「文明だよ」

 まだ髪が少し濡れている。

 そのせいで余計に色っぽい。

 俺は視線を逸らしながら、テーブルに並べた朝食を指差した。

「腹減ってるだろ」

 昨晩、あの後にコンビニで買っておいたパンとコーヒー牛乳。

 少女はじっとそれを見る。

「……毒は?」

「入ってない」

「本当か?」

 俺はクリームパンを一口かじって見せる。

 少女はようやく少し安心したらしい。

 恐る恐るパンを手に取った。

 一口。

 ぴたりと止まる。

「……甘い」

「クリームパンだからな」

 少女は無言でもう一口食べる。

 さらにもう一口。

 気づけば普通に食べ進めていた。

 かわいい。

 めちゃくちゃかわいい。

 コーヒー牛乳も恐る恐る飲み――。

「!?」

 目を見開く。

「なんだこれは!?」

「コーヒー牛乳」

「美味い……!」

 そんな感動するほどか?

 だが少女は本気だった。

 両手で紙パックを持ちながら、ごくごく飲んでいる。

 その姿が妙に幼く見えて、少し笑ってしまった。

「な、何だ」

「いや別に」

「馬鹿にしたな?」

「してないって」

 少女はむぅ、と頬を膨らませる。

 なんかもう、最初に剣向けられた恐怖が薄れてきた。

 食べ終わった頃には、少女の警戒も多少和らいでいた。

 俺は向かいに座り直す。

「さて」

 少女も姿勢を正した。

「聞かせてくれ」

「うむ」

「君は何者なんだ?」


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