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第1話 異世界バニー騎士姫がやってきた(10)

 「……本当に外へ出るのか?」

 フィリアが不安そうに聞く。

 俺は頷いた。

「欲望発散とか精神安定とか言うなら、まず環境変えた方がいいだろ」

 正直なところ、このまま二人きりで家にいたら理性を保てる自信がない。

「それは……まあ、理屈としては分かるが」

 フィリアは自分の格好を見下ろした。

 白銀のバニー騎士姫スタイル。

 うん。

 どう考えても日本の住宅街を歩いていい服装じゃない。

「まず着替えな」

 俺はコンビニ袋を差し出した。

 朝食と一緒に買ってきた。

 中身はオーバーサイズの白Tシャツとショートパンツ。ついでにサンダル。

 フィリアは怪訝そうに服を広げる。

「布が少なくないか?」

「お前の元の服よりは多い」

「…………」

 反論できなかったらしい。


 数分後。

 部屋のドアがそっと開いた。

 フィリアが出てくる。

 俺は固まった。

 白Tシャツ。

 黒ショートパンツ。

 シンプル。

 本当にただそれだけ。

 なのに。

 めちゃくちゃかわいい。

 オーバーサイズ気味のTシャツから伸びる細い脚。

 銀髪。

 紅い瞳。

 飾り気ゼロなのに、モデルみたいだった。

「……なぜ黙る」

「いや」

 俺は顔を逸らす。

「破壊力あるなって」

「は、破壊力?」

 フィリアが少し頬を赤くした。

 しかも元の服が刺激強すぎたせいで、逆にこういうラフな格好の方が危険だった。

 無防備感がすごい。


 外へ出る。

 田舎の駅前。

 フィリアはきょろきょろ周囲を見回していた。

「建物が高いな……」

「これで?」

「我が国なら王都級だぞ」

 そんな会話をしながら歩く。

 だが。

 やっぱり目立つ。

「ねぇ見てあの子」

「銀髪やば……」

「芸能人?」

 聞こえてる。

 めちゃくちゃ聞こえてる。

 フィリア本人は落ち着かなさそうだった。

「な、なぜ皆こちらを見るのだ……」

「そりゃ見るだろ」

「?」

「自覚ないのか」

 フィリアは首を傾げる。

 ないらしい。

 恐ろしい。


 到着したのは大型ショッピングモール。

「ここだ」

「……城か?」

「服屋」

 中へ入る。

 フィリアは完全に圧倒されていた。

「服がこんなに……!」

「今日はお前を現代仕様にする」

「げんだいしよう?」

「つまり」

 俺はショップ店員へ向き直る。

「この子を最強に可愛くしてください」

 店員さんの目が輝いた。

「お任せください!!」

 そこからは戦争だった。

「絶対これ似合います!」

「待って、銀髪に淡色系強すぎる……!」

「脚綺麗すぎません!?」

 フィリアは試着室へ放り込まれ、次々と着せ替えられていく。

 白ワンピ。

 ニット。

 ショートジャケット。

 清楚系コーデ。

 そのたびにカーテンが開く。

 俺の心臓が死ぬ。

「ど、どうだ……」

 おずおず出てくるフィリア。

 かわいい。

 毎回かわいい。

 元の素材が強すぎる。

「……なんで毎回黙るんだ」

「語彙が消える」

「意味が分からん」

 店員さんがガッツポーズしていた。


 そして。

 最後の試着。

「完成です!」

 勢いよくカーテンが開く。

 フィリアが出てきた。

 時間が止まる。

 薄手の白ニット。

 黒のショートスカート。

 ニーハイ。

 小さなアクセサリー。

 銀髪は軽く整えられ、柔らかく肩に流れている。

 騎士としての凛々しさは残っている。

 なのに今は。

 どこにでもいそうな年頃の少女みたいだった。

 ただし。

 ありえないくらいかわいい。

 周囲の客まで振り返る。

「え、やば……」

「芸能人じゃん……」

 フィリアは落ち着かなさそうに裾をつまんでいた。

「……そんなに変か?」

「反則」

「は?」

「最強にかわいい」

「――っ」

 フィリアの顔が、一気に真っ赤になった。


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