表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

魔力ゼロ、最底辺

学園の門をくぐった瞬間、空気が変わった。


 


広い。とにかく広い。


石造りの建物が並び、中央には大きな広場。その奥には、空に届きそうな塔がそびえている。


 


「……すげぇ」


 


思わず声が漏れた。


 


「初めてかい?」


 


ノリトが横で言う。


 


「まあね。ここは四つの国の魔法使いが集まる場所だから」


 


「そりゃ、でかいわけだ」


 


周囲を見渡す。


ローブの色も装飾もバラバラだ。明らかに文化が違う連中が、同じ場所にいる。


 


その視線が――


 


一斉に、こっちに集まった。


 


「……あいつが?」


「魔力ゼロの……?」


「マジかよ」


 


もう広まってるのかよ。


 


「有名人だね」


 


ノリトがくすっと笑う。


 


「嬉しくない有名だけどな」


 


肩をすくめる。


 


 


そのとき。


 


「お前が例の“特例入学”か」


 


背後から声がした。


 


振り向くと、三人組の生徒が立っていた。


 


一人は、いかにも貴族って感じの男。金の刺繍が入ったローブに、整った顔立ち。


 


「俺はアルベール。西の国の上位貴族だ」


 


……出た、エリート。


 


「カナタです」


 


とりあえず名乗る。


 


「魔力ゼロらしいな」


 


ストレートすぎる。


 


「まあ、そうだけど」


 


「ふん」


 


アルベールは鼻で笑った。


 


「そんなものが、なぜこの学園にいる?」


 


「さあな。俺も知りたい」


 


本音だ。


 


「だが一つだけ言える」


 


アルベールが一歩近づく。


 


「ここは遊び場じゃない。足手まといは消えろ」


 


周囲がざわつく。


 


完全に見世物だ。


 


 


……まあ、言われるよな。


 


 


「悪いけど、帰るつもりはない」


 


はっきり言う。


 


 


「ほう?」


 


 


アルベールの目が細くなる。


 


 


「では証明してみろ。ここにいる価値を」


 


 


「どうやって?」


 


 


「簡単だ」


 


 


にやり、と笑う。


 


 


「模擬戦だ」


 


 


 


――来たな。


 


 


 


「俺とやれ」


 


 


周囲が一気にざわめく。


 


 


「おいアルベール、本気か?」


「相手はゼロだぞ?」


 


 


「だからだ」


 


 


アルベールは楽しそうに言った。


 


 


「差を教えてやる」


 


 


 


……最悪だ。


 


 


でも、逃げる選択肢はない。


 


 


「……いいよ」


 


 


口が勝手に動いた。


 


 


 


「受ける」


 


 


 


 



 


 


訓練場は、円形の石のフィールドだった。


 


生徒たちが周囲を囲む。


完全に観客付きだ。


 


 


「ルールは簡単だ」


 


教官らしき人物が言う。


 


「どちらかが戦闘不能、もしくは降参で終了」


 


 


「問題ないな?」


 


 


アルベールが余裕の笑みでこちらを見る。


 


 


「……まあ」


 


 


問題しかないけどな。


 


 


 


「では――始め!」


 


 


 


その瞬間。


 


 


アルベールの足元に魔法陣が展開された。


 


 


速い。


 


 


「終わりだ」


 


 


光が収束する。


 


 


完全に殺しに来てる威力。


 


 


――やばい。


 


 


 


でも。


 


 


 


不思議と、怖くなかった。


 


 


 


視界の端に、ノリトがいる。


 


 


そして――


 


 


リディアの姿。


 


 


 


“つながる”。


 


 


 


「ノリト、左から来る!」


 


 


反射的に叫ぶ。


 


 


ノリトが動く。


 


 


「――受ける」


 


 


攻撃が、逸れる。


 


 


 


「リディア!」


 


 


名前を呼ぶ。


 


 


一瞬だけ、彼女の目が揺れた。


 


 


 


「……できるなら、やってみて」


 


 


小さな声。


 


 


 


その瞬間。


 


 


空気が変わる。


 


 


 


ダイヤの結晶が、展開された。


 


 


 


アルベールの攻撃が、弾かれる。


 


 


 


「なっ――!?」


 


 


 


「今だ!」


 


 


 


ノリトの一撃。


 


 


 


完全に体勢を崩すアルベール。


 


 


 


俺は――何もしてない。


 


 


 


でも。


 


 


 


「……勝てる」


 


 


 


確信があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ