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異世界転移したら俺じゃなくてスマホがチートでした  作者:


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町を描く者

数日後。


村の入り口に、何台もの荷馬車がやってきた。


「おーい! 到着しましたよ!」


タタの声が響く。


「来たか」


俺も外へ出てみる。

先に来ていた専門家たちの家族。

そして、今回新しく呼んだ町の設計ができる人材。


思っていた以上の人数だった。


「結構増えたな……」


『はい。人口が着実に増加しています』


「まあ、悪いことじゃないけどな」


俺たちは、事前に仮住居をいくつか建てておいた。といっても、簡単な小屋だ。


「とりあえず、ここを使ってください」


「ありがとうございます」


「ちゃんとした家は、町の計画が決まってから建てることにする」


『その方が合理的です』


「せっかく家を建てても、町の区画が変わったら壊すことになるからな」


『無駄な資材消費を避けられます』


「だよな」


小屋を見た家族の一人が笑う。


「十分ですよ。雨風を防げますから」


「助かる」


とりあえず、受け入れはできた。

だが――


「……それにしても」


俺は周囲を見渡すと人が増えている。

専門家とその家族。商隊から来た人。

新しく村に加わった人。

そして、これからさらに増えるかもしれない。


「益々、人が増えていくな」


『はい』


「嬉しいことではあるけど……」


俺は水路を見る。


「インフラは、ちゃんとしておかないとまずいな」


『その通りです』


水。道路。下水。住宅。食料。

どれか一つが足りなくても困る。


「人口だけ増えても駄目なんだな」


『はい。人口増加とインフラ整備は並行して進める必要があります』


「やっぱり大規模な工事になるのかな?」


『町の規模によりますが、現在の村を拡張するのであれば、かなりの規模になる可能性があります』


「だよなぁ……」


俺は積み上げられたレンガを見る。

U字溝も大量に作ってある。

セメントも貯めている。


「一応、かなり在庫は作ったけど……」


『足りるかどうかは、町の設計が決まるまで判断できません』


「そりゃそうか」


どれくらいの道が必要なのか。

家を何軒建てるのか。下水をどこまで伸ばすのか。市場をどこに作るのか。

何も決まっていない。


「だから、今も作り続けてるんだよな」


『はい』


「レンガもU字溝も、作れるうちに作っておく」


『推奨します』


俺は作業場を見る。

村人たちは今日も黙々と作業している。


「……みんなよく働くな」


『村に余裕が生まれたことで、将来への投資が可能になっています』


「なるほどな」



「それで……」


俺は今回来た人物を見る。


「町を設計できる人って、この人?」


「はい!」


タタが紹介する。


「こちら、ナナさんです」


「ナナです。よろしくお願いします」


女性だった。


そして――


「……耳、長いな」


「はい?」


「いや、何でもない」


どう見てもエルフだ。


「エルフ族です」


「やっぱり」


タタは平然としている。


「町の設計や都市整備について、かなり詳しい方です」


「よろしくお願いします」


「よろしく」


俺はナナを見る。


「町の設計って、具体的にはどこまでできるんだ?」


「道路の配置、住宅地、商業区、工房区、農地の位置。水路や排水設備も考えます。必要なら城壁や門、広場なども」


「ほう……」


かなり本格的だ。


「ちなみに……」


俺は少し気になった。


「エルフって、長生きなのか?」


「種族としては、人族より長く生きる者が多いですね」


「ということは……」


俺はナナを見る。


「いろんな町を見てきた?」


「はい」


「どれくらい?」


ナナは少し考える。


「小さな村から、大きな都市まで。いくつも見てきました」


「……」


それは期待できる。

俺たちが知っている町なんて、今まで見た一つだけだ。

それに対して、この人は長い年月を生きて、いろんな町を見てきた。


「じゃあ、すごい町が作れそうだな」


「期待に応えられるよう努力します」


ナナは村を見渡した。


レンガ。水路。U字溝。畑。工房。

そして、増え続ける住民。


「……なるほど」


「どうした?」


「面白いですね」


「何が?」


「この村、普通の開拓村ではありません」


「またそれか」


『最近よく言われますね』


「そうだな」


ナナは歩きながら、周囲を確認していく。


「この水路は?」


「村人が作った」


「こちらの建物は?」


「レンガとセメントで」


「この排水設備は?」


「俺たちが考えた」


ナナは黙って周囲を見る。

そして最後に、俺の方を向いた。


「誠さん」


「ん?」


「この場所を、本当に町にするつもりですか?」


俺は少し考える。


昔なら、そんなことを言われても想像できなかった。


でも今は違う。


「する」


「どうして?」


「人が増えたから」


「それだけですか?」


「それと……」


俺は村を見る。


「ここで暮らしたいって思ってくれる人が増えたからな」


ナナは少し微笑んだ。


「分かりました」


「何か?」


「それなら、良い町を作りましょう」


「頼む」


ナナは村の中心に立った。

そして、しばらく辺りを見渡す。


「まずは測量からですね」


「測量?」


『土地の高低差や位置関係を調べる作業です』


「なるほど」


ナナは荷物から道具を取り出した。


「ここから始めましょう」


誠は少し離れたところから、その様子を眺める。


これまで作ってきたもの。

レンガ。U字溝。水路。下水。道路。畑。

そして、ここで暮らす人々。


それらが一つの設計図にまとめられていく。


「さて……」


誠は笑った。


「どんな町になるかな?」


『楽しみですね』


その日。


開拓村だった場所に、初めて――「町を作るための設計」が始まった。

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