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異世界転移したら俺じゃなくてスマホがチートでした  作者:


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新たな仲間

数日後。

村の入り口が、いつもより騒がしかった。


「誠殿ー!」


タタの声が聞こえる。


「ん?」


外へ出てみると、何台かの荷馬車が止まっていた。


「来ました!」


「専門家か?」


「はい!」


荷馬車から、次々と人が降りてくる。


「植物に詳しい方です。建築に詳しい方です。そして、こちらのお二人が針子です」


「よろしくお願いします」


「よろしく」


「よろしくお願いします」


誠は頭を下げる。


「こちらこそ、よろしく」



まず、植物に詳しい人物を薬草畑へ案内した。


「こちらです」


薬草畑を見せる。すると、その人物は一歩入ったところで足を止めた。


「……これは?」


「薬草です」


「それは分かります」


その人はしゃがみ込み、葉をじっくり観察する。


「この種類は?」


「山で見つけた」


「山で?」


「そうだ」


「誰かに教えてもらったのですか?」


「図鑑で調べたり、村の人に聞いたり」


「なるほど……」


さらに別の薬草を見る。


「これは?」


「それも山で」


「……」


黙り込んでいる。


「どうした?」


「これは面白い」


目が輝いている。


「栽培しているのですか?」


「そうだ」


「この環境で?」


「うん」


「水は?」


「この水路から」


「土は?」


「元々この辺りにあった土を使っています」


質問が止まらない。


「この薬草の増やし方は?」


「まだ調査中」


「まだ分からない?」


「そう」


すると、その人物は嬉しそうに笑った。


「なら、調べましょう!」


「お、おう……」


いきなりやる気満々だった。


『誠様』


「ん?」


『非常に興味を持っているようです』


「見れば分かる」



次は建築の専門家。


「こちらが建築関係です」


レンガ。セメント。建設途中の建物。

そして、村の外へ続くU字溝。

建築の専門家は、最初こそ淡々と眺めていた。


「レンガの品質は……悪くありません。セメントも、この村で作っているのですか?」


「そうだ」


「なるほど」


そしてU字溝を見た瞬間。


「……これは?」


「U字溝」


「U字溝?」


「水を流すためのものだ」


専門家はしゃがみ込み、U字溝の中を覗く。


「なるほど……」


しばらく無言。

そして――


「これは素晴らしい発想だ!」


「そこまで?」


「はい!」


U字溝を何度も確認する。


「円形の管より製造しやすい。設置もしやすい。蓋をすれば人も通れる。しかも大量生産が可能……」


専門家が顔を上げる。


「この技術は誰が考えたのです?」


誠は少し考えた。


「俺が考えた」


「あなたが?」


「まあ、そうだな」


専門家は村を見渡す。

レンガの建物。水路。U字溝。セメント。

整備されていく道路。


「……この規模の村で、よくここまで」


「みんなが作ったんだ」


誠が答える。


「俺だけじゃない」


「なるほど……」


専門家は、さらに村を見渡した。


「興味深い村ですね」



そして針子たち。

二人は村人たちの服を見るなり、すぐに動き始めた。


「この布なら……」


一人が服を触る。


「ここをこうした方がいいですね」


「え?」


村人が驚く。


「袖の部分を少し変えれば、動きやすくなります」


「なるほど……」


もう一人も布を手に取る。


「この縫い方より、こちらの方が丈夫です」


「そんな方法があるのか?」


「はい」


村人たちが集まり始める。


「見せてくれ」


「こう?」


「そうです」


「なるほど……」


あっという間に、針子と村人たちの間で話が始まった。


「こっちの布なら?」


「それならこうした方がいいですね」


「じゃあ、この服にも使えるか?」


「もちろんです」


誠は少し離れた場所から、その様子を眺めていた。


「……すげぇな」


『専門知識が村の技術と融合し始めています』


「早いな」



しばらくすると、三組の専門家が集まってきた。

建築の専門家が口を開く。


「誠殿」


「ん?」


「一つ聞いてもよろしいですか?」


「何だ?」


「なぜ、この村にこれほどの技術があるのです?」


誠が黙る。植物の専門家も頷く。


「私も聞きたいです。この薬草を栽培するという発想もそうですが、見つけた植物を記録している。それだけではありません」


建築の専門家が続ける。


「このU字溝、セメント、レンガ、荷台車の足回り。どれも、この村の規模を考えると不自然なほど整っています」


針子の一人も頷く。


「服作りも、基本は出来ています。ただ、少し効率が悪い。だから改善できる部分が多いですね」


専門家たちの視線が、誠へ集まる。


「……」


誠は困ったように頭を掻く。


「えーっと……」


その時。


「私もそれが知りたいのです」


タタが口を挟んだ。


「え?」


専門家たちがタタを見る。


「タタさん?」


「はい」


「あなたがこの村を紹介したのでは?」


「そうです」


「では、誠殿が何者なのかご存じなのでは?」


タタは少し困った顔をする。


「それが……」


「分からない?」


「はい」


「……」


専門家たちは顔を見合わせる。

タタは続ける。


「誠殿は、この村に来てから色々なことを始めました。ですが、どこでその知識を得たのかは、私にも分かりません」


「それに――」


タタがアイを見る。

正確には、誠の近くに浮かんでいる四角い魔道具を見る。


「いつも、あの魔道具と話しています」


「魔道具?」


「はい」


誠は思わずアイを見る。


ブーン。


『……』


「どうした?」


『注目を集めています』


「だよな……」


建築の専門家が近づいてくる。


「その魔道具は?」


「俺の相棒」


「相棒?」


「アイっていう」


ブーン。


『はじめまして』


専門家たちが固まった。


「……」


「……」


「……喋った?」


タタは平然としている。


「はい。喋ります」


専門家たちが誠を見る。

誠は苦笑する。


「まあ……色々あるんだ」


植物の専門家が、薬草畑を見る。

建築の専門家が、レンガとU字溝を見る。

針子たちが、村人たちの服を見る。

そして三組とも、同じことを思っていた。


この村。思っていたより――ずっとおかしい。

だが、それは悪い意味ではない。


「面白いですね」


植物の専門家が笑う。


「ええ」


建築の専門家も頷く。


「実に興味深い」


針子たちも笑う。


「ここなら、私たちも色々学べそうです」


誠はその言葉を聞いて、少し嬉しくなった。

専門家を呼んだ。

だが、教えてもらうだけではない。


この村からも、彼らに渡せるものがあるのかもしれない。


『誠様』


「ん?」


『知識の交換が始まりました』


「……そうだな」


村に、新しい人が増えた。

そして同時に――新しい知識も入ってきた。


この日から村は、さらに大きく変わり始めることになる。

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