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異世界転移したら俺じゃなくてスマホがチートでした  作者:


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受け継がれた薬草の知恵

「誠ー!」


村へ戻ってきた俺を、ミィナが見つけた。


「また変なもん作ったんだって?」


「ミィナか……変なもんじゃない。植木鉢だ」


「植木鉢?」


ミィナは、並べられた四角い鉢を覗き込む。


「何か植えるのか? わざわざこんなのに?」


「そうだ」


俺は山で見つけた薬草の話をする。


「山で薬草を見つけたんだ。それを植木鉢に植え替えて、村へ持ち帰る」


「それで?」


「村で育てて、増やせるか試してみる」


「薬草か!」


ミィナの表情が変わった。


「俺も少しは知ってるぞ。手伝う!」


「本当か?」


「ああ!」


「じゃあ、知ってる薬草を教えてくれ!」


「おう!」



山へ入ると、ミィナは迷うことなく植物を探し始めた。


「あ、これだ」


ミィナが葉を指差す。


「これは傷に効く。こっちは、熱が出た時に煎じて飲む。あと、これは腹が痛い時に飲む」


「……」


俺はミィナの説明を聞きながら、植物を見る。


「……あってるのか?」


「当たり前だろ!」


ミィナが少しむっとする。


『問題ございません』


「アイ?」


『図鑑に記載されている内容と一致しています』


「へぇ……」


俺は改めてミィナを見る。


「じゃあ、これは……」


ミィナは別の薬草を指差す。


「それも昔から使われてる」


「なるほど」


俺は少し考える。


「これって、あれか?」


「何だ?」


「昔から自然に、次の世代へ受け継いでいくってやつ」


「ああ」


ミィナは頷いた。


「俺も、おばあちゃんに教えてもらった」


「なるほどな」


『民間で伝承されてきた知識と考えられます』


「民間の言い伝えか」


『はい』


俺は薬草を眺める。


図鑑に書かれている知識と、村人が昔から受け継いできた知識。

同じものを、別々の道から知ることができる。


「面白いな」


「何が?」


「いや。知識って、こうやって残っていくんだなって」


「よく分からんけど、昔からそうなんだよ」


「それが大事なんだろうな」



しばらく歩いていると、ミィナがまた足を止めた。


「あ、これもだ」


「何に使うんだ?」


「これは……避妊草」


「ぶっ……!」


思わず吹き出した。


『この地域固有の植物である可能性があります』


「……なるほど」


ミィナは不思議そうに俺を見る。


「何だよ?」


「いや……何でもない」


『誠様』


「何だ?」


『非常に興味深い植物です』


「そこを掘り下げるな」


「何をぶつぶつ言ってるんだ?」


「独り言だ」


「またか?」


「……まあな」



俺たちは目的の薬草を見つけると、植木鉢を取り出した。


「で、この植木鉢ってのに植え替えるのか?」


「そうだ」


俺は植木鉢を地面に置く。


「周りの土ごと掘り出す」


「根っこは?」


「なるべく傷めないようにする」


「分かった!」


ミィナが慎重に土を掘り始める。


「こうか?」


「そうそう」


「根っこが出てきたぞ。もう少し周りを広く」


「おう!」


二人で慎重に掘り進める。

やがて、土ごと薬草が持ち上がった。


「おお……これなら大丈夫そうだな」


『根の損傷も最小限です』


「よし」


植木鉢へ土ごと移す。

隙間へ周囲の土を少し足していく。


「これでいいか?」


『問題ありません』


「よし!」


ミィナも満足そうに頷く。


「これで村で育てられるんだな」


「ああ」


「じゃあ、もっと探そうぜ」


「そうだな」


俺は植木鉢を荷台へ載せる。


「ただし、全部持って帰るんじゃないぞ」


「分かってる。山に残しておく分も必要だからな」


『非常に重要な判断です』


「そういうこと」


俺たちは、その後もいくつかの薬草を探した。


知っているもの。知らないもの。

図鑑に載っているもの。載っていないもの。


一つずつ確認しながら、必要な分だけ持ち帰る。


帰り道、俺はふと思った。

この世界には、文字になって残っている知識がある。

そして、人から人へ受け継がれてきた知識もある。

どちらも、この村にとっては大切な財産だ。


「ミィナ」


「ん?」


「これからも、知ってる薬草があったら教えてくれ」


「もちろん!」


「俺たちだけじゃなくて、村の人にも聞いてみよう」


「そうだな」


『知識の収集範囲を広げることを推奨します』


「だな」


山から持ち帰った薬草は、やがて村の新しい資源になるかもしれない。


そして――おばあちゃんからミィナへ。


ミィナから次の世代へ。

そんなふうに受け継がれてきた知識もまた、この村の未来を支えるものになるのだった。

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