表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移したら俺じゃなくてスマホがチートでした  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
80/120

筋肉痛と身近な薬草

数日間、俺たちは砂と砂利をひたすら分け続けていた。


「……かなり溜まったな」


川辺に積み上げられた砂と砂利を見る。


最初は大した量に見えなかったが、こうして集めてみると結構な量だ。


「これだけあれば、しばらくは大丈夫そうだな」


『はい。必要量は十分確保できています』


「なら、あとは石灰が来るのを待つだけか」


『その通りです』


石灰が届けば、いよいよセメント作りに入れる。


そう思うと、少し楽しみになってきた。



その間にも、村では別の作業が進んでいた。


レンガは少しずつ焼き上がり、完成したものが積まれている。


「おお……ちゃんとレンガになってるな」


まだ大量とはいかない。


だが、確実に数は増えている。


そして――


「誠殿」


焼物担当の男が、何かを持ってやって来た。


「これが例のU字溝だ」


「おお!」


俺は思わず身を乗り出した。


「やっと一個完成したか!」


「うむ」


完成したU字溝を地面に置く。


形としては、ちゃんとU字になっている。


「これ、何に使うんだ?」


別の村人が興味深そうに尋ねてきた。


「ああ、これはな……」


俺は下水道の仕組みを説明する。


汚れた水をここへ流し、家や作業場から離れた場所へ運ぶ。


そして最後は処理する。


「なるほど」


村人たちはU字溝を覗き込む。


「水をここに流すのか」


「そういうこと」


「なら、もう少し深くした方がいいんじゃないか?」


「え?」


「水が多く流れた時に、こぼれないように」


「……確かに」


俺が考えていると、男はU字溝をもう一度眺めた。


「少し改良してみるか」


「まあ、いいけど……」


俺は苦笑した。


「これ以上改良することなんて、そんなに無いと思うけどな」


『誠様』


「ん?」


『その判断は早計かと思われます』


「……はい」


確かに。


最近、村人たちは俺の想像以上に改良してくる。


「まあ、まずは型になった」


「量産化も、これなら難しくなさそうだ」


『はい』


これで一歩前進だ。



だが――


「いてて……」


俺は腕を押さえた。


「……筋肉痛だ」


砂利を運び、砂を篩にかけ、何度も何度も作業した。


普段から体を動かしているとはいえ、さすがに連日やれば筋肉にくる。


「はぁ……湿布が欲しいところだが……」


当然、そんな便利な物はない。


『誠様』


「ん?」


『地球と似た植物を発見しております』


「似たような?」


『はい』


『同一の植物であれば、成分も類似している可能性があります』


「成分?」


『筋肉痛などに利用できる可能性があります』


俺は少し身を乗り出した。


「それはどれだ?」


『この薬草です』


アイの画面に、植物の姿が表示される。


「……ヨモギ?」


見覚えのある葉だった。


「確か、あの団子とかに使うやつか?」


『はい』


「ヨモギで筋肉痛に?」


『地球では、ヨモギを外用に利用する例があります』


『この世界の個体が同一または類似した植物であれば、試す価値はあります』


「なるほど」


俺はヨモギを手に取る。


「それで、どうするんだ?」


『葉を煮出し、その液を布に染み込ませます』


「それを絞って……」


『患部に当てます』


「なるほど」


俺は腕をさする。


「これなら、また俺でも出来るか」


『はい』


「よし」


今までなら、筋肉痛になったら我慢するしかなかった。

だが、村の周りにはまだ知らない植物がいくらでもある。


「食べ物だけじゃなくて、薬にも使える植物があるんだな」


『はい』


『今後、植物の利用価値を調査することを推奨します』


「それも面白そうだな」


俺はヨモギを眺めた。


レンガ。U字溝。砂と砂利。セメント。

そして薬草。


村が大きくなるにつれて、必要になるものも増えていく。


その一方で――


「身近なところに、まだ使えるものがいっぱいあるんだな」


『その通りです』


俺はヨモギを握りしめる。


「じゃあ、まずはこれを試してみるか」


『はい』


文明が進むということは、新しい物を作るだけではない。


今まで気にも留めなかったものの価値を、見つけていくことでもある。

そんなことを考えながら、俺は筋肉痛の腕をさすった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ