↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移したら俺じゃなくてスマホがチートでした  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
77/135

商隊が運んできたもの

商隊の責任者とタタが、何やら真剣に話し合っている。


「……十五台分の物資って」


俺は並んだ荷馬車を眺める。


「すごい量だな」


村人たちも、いつの間にかぞろぞろと集まってきていた。


「服だ!」


「鉄まであるぞ!」


「こっちは塩か?」


「こんなに種類があるのか……」


村では見たことのない物まで、次々と荷台から降ろされていく。

タタはそんな村人たちを見ながら、手際よく指示を出していた。


「これは保存庫へ」


「こちらは鍛冶場へお願いします」


「衣類は女性陣へ」


「食料品は種類ごとに分けてください」


「道具類はこちらです」


「……早いな」


俺が感心している間にも、物資はどんどん分けられていく。


『非常に効率的な物資配分です』


「タタ、こういうの慣れてるのか?」


『恐らく』


「……なるほど」



しばらくすると、今度は商隊の責任者が荷馬車を指差しながら、鍛冶場の方へ向かっていった。


「ん?何してるんだ?」


どうやら荷馬車そのものについて話しているらしい。


鍛冶場の職人たちも集まり、車輪や足回りを確認している。


「まあいいか」


俺は別の荷物へ目を向けた。


「お、新しい服か」


布地を触ってみる。


「中々いいな」


俺とミィナが町へ行った時に買ってきた量とは、比べ物にならない。


「やっぱり商隊ってすごいな」


ミィナも目を輝かせていた。


「こんなに服があるなんて……」


「買い物好きだな」


「悪いか?」


「いや、別に」



その一方で、商隊と一緒にやって来た人々も、タタの指示で動き始めていた。


鍛冶場へ向かう者。窯場へ向かう者。

畑へ向かう者。紙漉き場へ向かう者。


「……あの人たちは?」


俺はアイへ尋ねた。


『移住民でしょうか』


「俺もそう思う」


だが、どうにも気になる。


「ちょっと聞いてみるか」


「タタ」


「はい?」


「あの人たちは?」


俺が尋ねると、タタは何でもないことのように答えた。


「人手が不足すると思いまして、奴隷を買いました」


「……え?」


俺は固まった。


「奴隷?」


「はい」


「奴隷制度、あるの?」


「ございますよ」


タタはあっさり頷く。


「衣食住はきちんと用意しますしここなら、その点は心配しておりませんが」


俺は少し離れたところにいる彼らを見る。

まだ緊張している者もいる。

だが、すでに村人と一緒に作業へ向かっている者もいた。


「……そういう制度なのか」


『この世界では一般的な制度である可能性があります』


「まだまだ知らないことだらけだな……」



俺は話を変える。


「ところで、あの荷馬車は?」


「ああ、あれですか」


タタは振り返る。


「足回りの改造依頼を受けています」


「改造?」


「はい」


「こちらで板ばね式に改造して、完成したら荷物を積んで帰る予定です」


「……なるほど」


俺は思わず笑った。


「流石だな、タタ」


「いえいえ」


タタは胸を張る。


「私もこれでノルマ……」


「……ノルマ?」


「いえ、皆さんのお役に立てます!」


「今、ノルマって言ったよな?」


「気のせいです!」


『誠様』


「ん?」


『追及しない方が良いと思われます』


「……そうだな」



その時だった。

商隊の責任者が、タタへ声をかけた。


「タタ!」


「はい!」


「金を払うぞ!」


「分かりました。こちらへどうぞ!」


二人が何かの機械の前へ向かう。


「……何だ?」


俺も近づいてみる。

タタが何かを操作すると――


ピッ。


短い電子音が鳴った。


「お支払い終了です!」


「……」


俺は目を丸くした。


「……今の何?」


タタが不思議そうにこちらを見る。


「決済ですが?」


「いや、そうじゃなくて!」


「カードで支払っただけですよ?」


「カード!?」


俺は思わずアイを見る。


「アイ!?」


ブーン。


『どうやら、この世界には電子決済に近い仕組みが存在するようです』


「電子決済……?」


『はい』


俺は頭を抱える。


「待て待て。魔法がある。奴隷制度もある。でも電子決済がある。なのに村では、まだ木の荷台車を使ってる」


アイが少し沈黙してから答える。


『……確かに、技術発展のバランスが非常に興味深いです』


「だよな?」


『文明が一方向へ均等に発展しているとは限りません。特定分野だけが極端に発達している可能性があります』


「なるほど……」


俺は商隊を見渡した。


荷馬車。板ばね。電子決済。奴隷制度。


そして、まだ俺たちの村では知られていない様々な技術。


「……この世界、思ってた以上に奥が深そうだな」


『同感です』


アイの声が、いつもより少し楽しそうに聞こえた。

村の外には、まだ知らない仕組みがいくつもある。

そして今回の商隊は、その一端を運んできたに過ぎなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。