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異世界転移したら俺じゃなくてスマホがチートでした  作者:


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魔法という名の力

豆の実験を終えた誠は、勢いよく立ち上がった。


「アイ……どういう事だ?」


ブーン。


『恐らく、土地が植物の急激な成長に耐えられなかったものと推測します』


誠は、実験を行った場所を見つめる。

何種類かの種を蒔いた地面は、色が変わり、明らかに力を使い果たしたようになっていた。


「……土が死んでるみたいだ」


改変の能力を持つ村人も、複雑そうな表情を浮かべる。


「誠殿……俺の魔法の使い方は何となく分かったが……」


村人は乾いた土を掴みながら苦笑した。


「これじゃ土地がいくらあっても足りなくなるぞ」


「確かにな」


ブーン。


『速度を追求するのは推奨しません。成長速度ではなく、病気に強い・収穫量が二倍・乾燥に強い、といった改変を試しましょう』


「なるほど」


誠は頷く。


「急がせるんじゃなくて、強くする方向か」


『はい』


「じゃあ、その改変をした種を普通に育ててみよう」


誠は試験用の畑を作り、改変した種を一粒ずつ丁寧に蒔いていく。


「結果を見るには時間が必要だな」


『はい。長期観察を推奨します』



そこへ、タタが姿を現した。


「なるほど、なるほど!」


どうやら少し離れた場所から、一連の実験を見守っていたらしい。


「実に興味深い!」


誠は振り返る。


「見てたのか」


「もちろんです!」


タタは興奮気味に頷く。


「早速、植物に詳しい者をこちらへ派遣するよう連絡しておきました!」


「えっ?」


「こういう研究は専門家がいた方が早いですからな!」


「行動が早いな……」


「我々の仕事です!」


胸を張るタタを見て、誠は苦笑した。



そこへミィナもやって来る。


「誠ー!また村中を回って変なこと聞いてるんだって?」


「変なこととは失礼な」


「いや、みんな言ってたぞ」


ミィナは笑いながら腕を組んだ。


「『生活魔法以外あるか?』って聞き回ってるって」


「調査だからな」


誠はふと思い付く。


「そういやミィナ。お前はどんな魔法が使えるんだ?」


「俺か?」


ミィナは軽く拳を握る。


「筋力強化だ」


「筋力強化?」


「こうだ!」


ぐっ!


その瞬間。

ミィナの腕の筋肉が一気に盛り上がった。

近くに置かれていた大きな丸太を、軽々と持ち上げる。


「うおっ!?」


誠は思わず後ずさる。


「そんな力あったのか!」


ミィナは笑いながら丸太を下ろした。


「短時間だけだけどな。荷物運びとか木を切る時は便利なんだ」


ブーン。


『誠様。襲っていたら、大変な目に遭っていたと推測します』


誠は苦笑した。


「……そうですね」


ブーン。


『もっとも誠様に、そんな度胸があるとは思えませんが』


「おい!最後は余計だ」


ミィナは事情も分からず首をかしげる。


「どうした?」


「いや……アイがひどい」


「またケンカしてるのか?」


「ケンカじゃない」


『事実を申し上げただけです』


「ほら!」


村には、遠くが見える者。

遠くの音を聞ける者。植物を改変できる者。

そして筋力を強化できる者。


誠は改めて思う。


「……やっぱりこれは、俺の知ってる『魔法』とは違うな」


ブーン。


『はい。この世界には、まだ解明されていない法則が数多く存在すると考えられます』


誠は静かに頷いた。


「よし!技術だけじゃない!今度は、この世界の”魔法”そのものを調べてみるか」


新たな研究対象を前に、誠の目は静かに輝いていた。

その後、誠は試験用の畑を見渡した。

芽吹いたばかりの種は、見た目には何も変わっていない。


「他に気になるスキルは無かったよな?」


『そうですね。今回聞き取りを行った範囲では、特に興味深いものは確認できませんでした。遠視、遠聴、筋力強化など、身体能力を補助するものが大半です』


「やっぱりそうか……」


誠は腕を組んで考え込む。


「なら当面は、改変の実験を続けてみるか」


『はい。植物を対象とする以上、結果が出るまで時間を要します。短期間で結論を出すのではなく、成長過程を継続して観察することを推奨します』


「だよなぁ」


今日種を蒔いても、明日に答えが出るわけじゃない。


芽が出て、葉が育ち、花が咲き、実を付ける。


その一つ一つを見届けて初めて、この能力の本当の価値が分かるのだろう。


「急いでも仕方ないか」


『はい。今回は”待つこと”も実験の一部です』


「研究ってのは、意外と地味なんだな」


誠は苦笑しながら、小さく芽吹いた畑を見つめた。


すぐには答えは出ない。

だからこそ、その先にある結果が楽しみだった。

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