29話
お茶会当日・・
プリム家一同、使用人も含めてなんだかソワソワしている。
旦那様がリドール子息を招待しているのだから。
リリベルは朝から厨房へ籠りっきりになり、お茶会用のお菓子をいくつか作り、そのあとはエリッシュの持ち帰り用にブルーベリータルト1ホールとすぐに食べられるクッキーを数種類用意して包装していた。
お茶会用には、
カボチャチーズケーキ
紅茶のシフォンケーキ
スコーン2種類 プレーン / チョコチップ
それぞれにヘルシーな豆乳クリームを添えて出すことも厨房のみんなへ伝えておく。
あとのお菓子は料理人の腕の見せ所なのでお願いしておく。
ウキウキしながら、お昼過ぎてからお茶会用の装いに着替えておく。
何時ごろに来るのかしら~?
先に皆でサロンに集まって、ほんの少しのサンドウィッチで軽食を済ませておく。
お客様が来てからお腹が鳴るなんてことは、あってはならない・・恥ずかしすぎるのだ。
余談だけど、うちのサロンはとっても可愛い。
基本的に女性陣が集まることが多くて、可愛い物好きな人の集まりなので自然と可愛い物が集められる。
可愛いクッション
可愛いテーブルと椅子、それに4人ほどが座れる大き目なソファ
可愛いコレクション棚
貴族然としていなくて、ナチュラルなほっこりするような感じで落ち着く。
もちろん、わたしも大好きな場所♪
サロンからは庭にまっすぐ出られるガラス扉があって、庭園の様子も見られる。
いまは秋から冬になる頃だから、庭は落ち葉で埋まって枯れ葉模様。
でもまだ秋の実りや季節の花も、庭師のみんなが整えてくれている。
今日は秋らしく、襟がハイネックで袖口と裾にアイボリーのレースが縫われているセピアカラーとラベンダーモーブのチェック柄ワンピースに、アンバーローズ色のプードルファーが可愛いミニ丈あったかボレロ、セピアカラーのタイツにトープカラーのつま先がコロンと丸いパンプス。
とても可愛いと侍女は褒めてくれた。
もう少し畏まった感じがいいかな?と思ったけど、名目は家族のお茶会だしゆったり出来つつきちんと感を出せていればいいということで。
正直・・・セパレートタイプよりは、ワンピースタイプの洋服のほうが好き。
楽だし動きの制限が少ない。
いまの世の中はそこまでドレスコードが厳しくないから助かる。
「いつ見ても、ベルの作るお菓子はプロ並みね~もちろん、美味しいこともわかっているわ♪」
とお母さまが褒めてくれる。
「僕もベルお手製のお菓子を食べながらだと執務も捗るよ」
お兄さま・・
「「「「私達もよ、ベル、いつもありがとう」」」」
みんなが笑顔になってくれる。
わたしまで自然と笑顔になる♪
のほん~と過ごしていると、30分経った頃、
「リドール子息様がいらっしゃいました」
と、執事長から訪問の報せを受けた。
みんな一旦立ち上がって、彼を迎える。
カチャリと扉が開かれた。
「「「「「ようこそ、プリム家へ」」」」」」
揃って挨拶をすると、彼は微笑んでこちらへ向かってきた。
「皆さま、今日はご招待に預かり大変光栄です。リドール伯爵家次男、エリッシュ・リドールと申します。」
優雅にお辞儀をしてくれる。
わたしは内心舞い上がりすぎておかしくなっているけど、そこは一応貴族令嬢!顔には出さないわ!
なんか家族にはバレバレな気がするけどっ!
勧められた椅子に座りながら、メイドに何かを渡している。
・・なんだろう?
「いや~先日ぶりだねぇ。本当に色々と尽力してくれて助かったよ!」
と、お父様が話しだした。
「いえいえ、当たり前のことをしただけですと言ったではないですか、お気になさらず・・とは言いませんが、リリベル嬢が無事で何よりです。 無事だったのだから・・」
ふっと笑顔をこちらに向けられて、ドキリとする。
やめてぇぇぇぇぇ!いまっいまそんな顔向けられたら、正気でいようとしてるわたしの頭がおかしくなっちゃう。
だって、好きな人がうちに居るなんて!!
きゃーーーーーーー
もう頭の中は大変しかない(笑)
エリさん・・今日は男性として来るって言ってたけど・・
わたし・・エリさんの女装姿しか知らないのよ・・
男性ってわかって、初めて男性としてのエリさんを見たら・・
え?頭パニックよ・・
す・・素敵すぎじゃない? ナニコレ・・
もちろん、女装姿も素敵だし、キレイなんだけど。
これは・・・かっこいいがすぎる・・
立ってたら腰砕けそうだわ。
家族でのお茶会と称してだから、正装じゃなくていいと伝えてたらしくて、
少しラフなスーツ姿。
コーヒーカラーのセットアップスーツに、タイはグラスグリーン色の細いリボンタイと同色のハンカチーフが胸ポケットに。
お洒落っっ
ウィスタリアブルーのロングヘアーを横で緩くひとまとめにしている。
紳士っ
そう思っているのは、リリベル以外の女性陣もだと誰か気づいて・・
何あの人・・キレイ!!!な女性??
恰好は男性・・でもキレイすぎない?!
女性用も男性用も着せ替えしたいっ(謎の性癖発動)
侍女たちも発狂していて頭真っ白・・(笑) でも直立不動で顔も崩さない・・流石。
極めつけはこうだ・・
綺麗なおネェさんでも大好きですっっっ!!!!((((侍女たち心の声より))))
いつもの女装じゃないのに男性なの??と疑われているエリッシュ。
なんとなーく視線で察するけど。
じっと観察していると、素敵すぎて顔に熱がこもってきた・・
リリベルは髪の毛をわしっと掴んで、顔を隠してしまう・・
メイドたちは あああああああお嬢さまっなんてことを~~と叫びたいのを我慢中。
その行動が面白くて、エリはふふっと笑った。
「エリッシュくんと呼んでいいのかしら?呼び方は決まっている?」
とお母さま。
「いえ、特に決まってはいません。実家では、両親からは”エリ”と兄は”エリッシュ”と呼んでいますね。」
「あら、そうなのねぇ・・んー私は親しみも込めて、エリくんでいいかしら?あ、私はベルの母、シルクよ!よろしくね。」
「構いませんよ、こちらこそよろしくお願いします」
続けざまに・・
「兄のセドリックだ。僕は同じ年だし、エリッシュって呼ぶよ、よろしく。」
「セドリックの妻のラナよ。私も夫と同じく、エリッシュって呼ぶわね、よろしくね。」
「長女のクラリッサです。私はエリさん、が楽だと思ってるのだけど。」
「次女のエレノアです。 姉と同じく。どうかしら?」
「みなさん自己紹介までありがとうございます(苦笑)本当に好きに呼んでくれて大丈夫ですよ(ニコ)」
「えー・・私もエリくんと呼びたいよ。」
ちょっといじけモードなお父様。
「もちろん、子爵も好きに呼んで下さい(苦笑)」
なんだかんだで、ほんわかお茶会が始まった。
「エリくんは実家住まいじゃないんだね?珍しいね?王都だろう?」
「あー良く言われます(苦笑)家族仲が悪いのか?とか聞かれますが、そんなことは全くなくて。
ただ単に騎士団に通いやすいからという理由で家を見つけて購入したんですよ。
いまはそこで一人暮らし・・いや、一人と猫一匹ですね。
年に3回ほどは騎士団の数名が泊まったりもしますよ。4名までなら宿泊可能なので。」
「なるほど、ご両親は寂しがっておられるのでは?」
「まぁ・・つい先日、久しぶりに帰ったら母に泣かれまして(苦笑)今後は月に1回帰ることを約束させられました(笑)」
「それは、お母様も喜ばれるわねぇ」
「うちの兄がそろそろ婚約者と婚姻するそうで、そういうのもあって気を使ってあまり実家へ行かなかったのですが・・逆に怒られてしまって・・兄と婚約者とも3人で食事するくらい仲は良いのですが、邪魔しちゃ悪いって思ってしまうんですよね(苦笑)」
「なるほど・・まぁ、エリくんの優しいところだろうが、家族はその距離が寂しく感じたんだろうなぁ・・家族が良いと言ってるんだ、月1で帰るといいよ」
「ははっそうするつもりです。両親にも会える時に会いたいですし」
「時に・・お兄さんは婚姻するらしいが、エリくん自身は婚約者はいないのかい?」
知ってるけどわざと話を向ける。
話の流れを作りたいのであろうことはみんなが知っている。
ベル以外(笑)
一旦ここで切りました。
次回は続きです~




