おっさんは、また おっさんに……
今回のおっさんはね……
目を覚ましたら、また“いつもの姿”に戻っていて、
みこちさんのスパイクが静かに、でも確実に刺さっていく回になってるよ。
ころねさんとわためさんの優しさがふわっと支えてくれて、
おっさんの情けなさがちょっとだけ愛しく見える、
そんな“戻る音”が響くお話。
そして──
みこちさんが何も言わなかったあの瞬間。
あれは、後で必ず「やっぱりかぁ〜」になる伏線だよ。
「にしても、起きないわねぇ〜……えっと、こういう時は──
そうそう、『返事がない、ただのおっさんのようだ』……だったよね?
あれ、違ったかなぁ〜? ここまで出てるんだけどなぁ〜」
「女神様、それ違いますよぉ〜。こういう時は確かこうです。
ころねはおっさんをしらべた──ん〜、反応ないですねぇ〜〜」
「次、わたしね。でででで・でででで・でででで〜〜〜ん!
『おっさんには のろい が かけられていた!』
……ん〜、女神様、変な案内聞こえましたけど、何かしましたぁ〜?」
「わたし知らないわよぉ〜、そんなのぉ〜」
「ですよねぇ〜。そんな高度なこと出来るなら、
もっとポンコツ減ってますもんねぇ〜」
「てっ うっさいわねぇ〜 わたしが何でも失敗するみたいに でも、どうしようねぇ〜……
このままほっとけないし、ここに置いといたら邪魔になるし……」
「でも さっき気になること 女神様おっしゃってましたよねぇ〜? 中身はおっさんだとか何とか」
「あぁ〜それね? ちょっと話せば長くなるんだけど聞く〜? おまけに聞いてもつまらないわよ?
それでも聞くなら話すけど」
「お願いしていいですか? これから先 どれくらい旅が続くかわかりません。
どんな人なのか人となり、知っておきたいので」
「なら話すわね。まずはそこまで悪い人じゃないっていう事は先に伝えておくわ。
たださっき話した“厨二病”っていう、普通なら大人になる時には消えてるものが残ったままなのよ(笑)」
「ちなみにどんな感じなんですか? 具体的にその厨二病っていうのは?」
「具体的にって難しいわねぇ〜。これっていう決まった形はないから。
あえて言うなら、ある程度の年になった子が大人のやること真似したがったり、
自分には特殊な能力があると思い込んだり──身近なところで思い当たることない?」
「あぁ〜あります〜。近所の男の子が、ある日急に自分ではかっこいいと思ってるんでしょうけど、
いきなり変なポーズはじめたり」
「変なこと言い出して、何かするたびに変な解説入れだしたり。あぁ〜あれか〜、そういうことかぁ〜。
なっとくなっとく」
(ぐふっ……おっさんはさらに痛恨の一撃を受けた。おっさんはもう立ち直れないかもしれないっ!!)
「というかここまでもう話したし、本当は見た目を14歳の少年のままにしとこうと思ったけど、
もういいよね。元のおっさんに戻りなさい。どうせいつまで隠し通せるもんじゃないし、
隠し通せたとしても、どこかであなたのことだからボロが出て絶対ばれるから」
「というか、ほんとにおっさんだったんですね。最初に会った時もいろいろ落ち着いていたし、
うちの祖母とも普通に話せてたので珍しいと思っていたんですよ。
うちの祖母も初対面の人や誰彼となく最初から話をすることは早々にないので」
「なんと おっさんが おきあがり なかまに なりたそうに こちらをみている!
なかまに してあげますか?」
「「「いいえ」」」
(みこち・コロネ・わための声が教会に重なり響き、場の空気が一瞬震えた)
(おっさんは さみしそうに肩を落として さっていった)
「というかなぜこんな姿になっているのだ……気がついたとき、俺は……俺は……
おっさんだったのじゃ〜〜〜〜〜!」
「はいはい、ジプシ〜おじいちゃん。元に戻っただけですよ。
そんなに驚かなくてもいいじゃないですか。
元からその姿だったんですから。
ただそれだとかわいそうだから、女神として肉体的なところだけはサービスしてあげたの。
あなたが悩んでた肩こりとか腰痛とか、そういったのだけは戻さないでおいてあげたわ。
こんな大サービスはないんだから、ほんとに感謝しなさいよ」
「でっ 女神様お願いがあるのですが・・・・・」
「お願いの前に何か言うことあるよねぇ〜。こっちに来る前に約束したよね〜。ちゃんと覚えてる〜?」
「えっと……約束ですか? ちなみにどんな約束だったでしょうか?
自分、ちょっと覚えがないんですが……。
転移の時に何か話したような気もしないでもないんですが……」
「ほほぉ〜、覚えてないとシラを切るのね。じゃあこれは何なんですかね〜?」
(まったく酷い女神様だよっ。あんな女神様でも敬われてるんだから驚きだよな。敬われてる
(女神自己申告)(笑))わかる様に、最初から説明してもらいましょうか」
「あのぉ〜ですねぇ〜……これには、ものすごいふか〜い、
海よりもふか〜い事情がありましてですね……」
「ほぉほぉ、事情があると。じゃあその“海よりも深い事情”とやらをご拝聴してもよろしいでしょうか。
今さら、まさか事情がないとは言いませんよねぇ〜?」
「あっ、そう。さっき言いかけてたお願いなんですが……
ころねさんとわためさんがすでに持ってるマジックバッグ、自分にもいただけないかなぁ〜と。
ここに来るまで、お二人に全部の荷物を持っていただいて……ものすごく心苦しかったので。
もしよければ、なんですが」
「えっ、そうなの?女の子に荷物持ってもらってたの?おっさんなのに?
なんでそう、年下を大事にできないかなぁ〜。だからずっと友達も彼女もいなかったんじゃないっ」
(なんか……背後から思いっきり狙われて、また痛恨の一撃食らったんだけど……
もうやめて! とっくにおっさんのライフはゼロよ!だけど話そらせたし……
よしとしないけど、よしとするかぁ〜)
「そうなんですよぉ。なので、もし自分にもマジックバッグがあったら……
お二人のご負担を、少しですけど減らせるんじゃないかと」
「そうねぇ……どうしようかしら。そちらのお二人にお伺いしてから考えてみようかしらね。
どう? このおっさんにマジックバッグはいると思う?」
「もし出来るのであれば、あった方がありがたいかな。
2人だけだと持てる量に限りあるし、何よりねぇ……
服とかいろいろあって渡せない時も出てくると思うんですよ。
そういう時のためにも、あった方がいいかなぁと」
「ころねちゃんは?」
「わたしもわためと一緒で、もしあるのであればそれはそれでいいと思うんですよ。
荷物量が格段に増えると思うので」
「ただ女神様、マジックバッグいただけるのはありがたいんですけど……気をつけて下さいね、
いろいろと」
「何の事言ってるのかしらぁ?わたしは有能で、ただ有能なだけじゃないわよ。
有能に“ものすごく”が付くほどなんですから。心配しないで見てらっしゃい」
「『ほんとにまかせていいのかなぁ〜』」ヒソヒソ(゜o゜)ヤダァ(゜o゜ )ネェ、キイタ?
(゜o゜)オクサン(゜o゜ )アラヤダワァ
「そこぉ〜、失礼でしょ〜が。ヒソヒソしないのっ(怒)」
「で、おっさん。バッグ出して。いつものバッグ」
「バッグですか? マジックバッグなんて持ってないですよ?」
「そうじゃないわよ。あんたがいつも愛用してるメッセンジャーバッグあるでしょ。
あれに追加で能力つけるから出しなさいって言ってるの。
急に変なの渡されるより、使い慣れたバッグの方が持つのに楽でしょ。という事で──ほいっと」
「えっ、もう終わりですか?なにかこう……すごい光が出てきたりとか?」
「はぁ……いい歳してほんとラノベに毒されすぎよ。あんなのある訳ないじゃない。あれは演出なの。
もうちょっと現実見ようか。じゃ、用は済んだしわたしは帰るわね。今日のおやつは何だろなぁ〜」
───立秋/幾望/先負/一白水星/未の刻/晴光───
次回 お店に向かったのに、気づいたら某夕方日曜6時半の世界に…… へ続く
おっさんは、
みこちさんのスパイクを何度も受けて、
ころねさんとわためさんに助けられて、
最後にはいつものバッグを素直に差し出すだけの“おっさん”に戻ったね。
でもね……
みこちさんが静かに黙ったあの一言。
あれは“沈黙のフラグ”で、
後の話で必ず響く音なんだよ。
次の旅路で、その音がどう広がるのか──
レインは楽しみにしてる。
ご案内の語り部は、次回 またあなたを特等席へ。
どんな誘いになるのか、次の Causerie (物語)お待ちいただければ幸いです。




