八百万の問題児、“待ち伏せ”をうけるっ!!
今回の20話では、
おっさんが初めて異世界の教会へ足を踏み入れ、
異世界の文化に触れる回です。
ころね・わための素直な反応が物語を柔らかくし、
司教・司祭の説明が世界観の厚みを増し、
そして最後には──
まさかの 女神様の乱入。
誤解構造とコメディが綺麗に混ざり、
次の展開への期待が一気に高まる回になっています。
「うっわ〜……ここが教会なんだぁ〜……
やっぱり近くで見ると、おっきいし迫力あるねぇ〜……」
「ジプシ〜君って、教会とか初めてなの?
地元にはなかったの?」
「いやぁ〜、ないことはなかったんですけどね〜……
うちの地元は “この神様!” って決めて信仰してなかったんですよ」
「えっ、それじゃあ……
神様を信じてないとか、そういう感じだったの?」
「逆ですよ逆(笑)
うちの地元は、そういう意味では
“神様がこれでもかっていうくらい” いましたからね〜」
「そんなにぃ〜……?
でもさぁ……神様って見えないよねぇ〜?
それで、そこらにいっぱいいるって分かるの?」
「分かるっていうか……
うちの地元では “ありとあらゆる物に神様はいる” って
子どもの頃から教わって育つんですよ。
だから何でも大切に使いましょうね〜って」
「へぇ〜……なんか、いいねぇ……
わためも、物は大事にしなきゃって思うよぉ……
だって、怒られちゃうし……」
「怒られるんですかぁ〜……?」
「うん……
“物を粗末にすると、もったいないお化けが出るよぉ〜”って
昔から言われてたの……
だから、わためは靴とか道具とか、
ちゃんと並べて置くんだよぉ……」
「それは……なんか地元と似てますねぇ……
うちも靴に神様いるって言われてましたし」
「えへへ〜……
なんか、ジプシ〜君の地元とわための家、
ちょっと似てるかもだよぉ〜……」
「もしかして、そこにいらっしゃるのはGypsy Wolf様 でしょうか?
お待ちしておりました。」
「えっ……いきなり何ですか?あなた達は誰なんですか?
それに……なんで僕の名前を知ってるんですか?」
「えっ……ジプシ〜君……どういう事なの?やっぱり名字があるって、そういう事なんだよねぇ……?」
「わため、ちょっと怖いよぉ……なんで名前まで知ってるのぉ……?」
司教
「大変失礼いたしました。 わたし達は、この教会を管理しております 司教 と 司祭 です。
女神様より神託を受け、あなたがいらっしゃるのをお待ちしておりました。」
おっさん
「……女神様? いやいやいや……僕、そんな大層な者じゃないんですけど……?」
司祭
「いえ、女神様はこう仰いました。“かの者は、八百万の神々から願われててきた者だ” と。」
「やっぱりぃ〜〜〜!?ジプシ〜君、地元で神様いっぱいって言ってたの、
ほんとだったんだねぇ〜!」
「わため、なんか納得しちゃったよぉ……だってジプシ〜君、物を大事にしてそうだし……
神様に大事にされるタイプだよぉ……」
「いやいやいやいや……そんなタイプあるんですかねぇ……?」
司教
「女神様は、あなたが“来る前から” 多くの神々に ある意味で見守られていた と
意味深に仰っていました。だからこそ──あなたの名を、我々は知っているのです。」
「まずは、外での立ち話もなんですから……
せまいところで申し訳ないですが、どうぞ中へお入りください。」
「うっわ〜……これはすごいですねぇ〜……
えぇ〜と、今こっちから入ってきたから……司祭席でいいのかな?
あの真上のガラスの絵もすごいし、振り返れば入口の真上のガラスの絵もすごいですね〜。
教会ってもっと光が少なくて、厳かな感じなのかと思ってました(笑)」
「そうですねぇ〜。知らない方はそう思われるでしょうねぇ〜。
教会は建てられた時期や、その時の権力者によって手が入ったりで、少しずつ変わっているんですよ。
うちの教会の特徴として挙げれば……先ほどおっしゃられた“光”のところがまさにそうですねぇ〜。
壁面の約八割から光が入ってくるように作られていますから。」
「わため〜、すっごいきれいだねぇ〜……ずっと見てられるねぇ〜……」
「ころねも? わたしも多分ずっと見てられる気がするよ〜……」
「ご満足いただけたようなら何よりです。
あと、もしよろしければですが……これだけの採光口がありますと、
どうしても維持にいろいろとかかって参りまして……
わずかばかりでも結構ですので、ご協力いただければありがたいのですが。」
「そうだよねぇ〜……ごめんなさい、ものすごくきれいで見とれてました(笑)」
「わため、悪いんだけど……わたしとジプシ〜君の分もいっしょにお願いできる?」
「ころねの分はわかるけど……ジプシ〜君の分も?」
「ころねさん、そうですよ。自分の分は自分で……」
「ジプシ〜君、今はころねおねぇさんにまかせておきなさい。わため、お願いね。」
「うん……ころねがそれでいいならいいけど……では、これでお願いしますね。」
「それで、司教様、司祭様。
なぜ自分の名前や、ここに来ることを事前に分かっていらしたのでしょうか?」
「その事ですか。
それは、これから皆様にもお入りいただく“神託の間”という場所があるのですが……
本来は関係者しか入ることを許されない場所なのですが、今回は特別に女神様から
ジプシ〜様をお入れするようにと神託を受けまして。
すでに女神様も中でお待ちいただいております。」
「わため」「ころね」「今の聞いた?」
「女神様が待ってるって……ジプシ〜君って、いったい……」
(うっわ〜、こりゃえっらい事になってきたなぁ〜。どうしようか。
あの駄女神め、こういう時は周りにそっと気づかれないようにコソッとするのが
ラノベの常識なんじゃないのかよぉ〜。
それを全部真逆にやらかすって……はぁ〜、これから先俺はどうなるんだろ。
ここまでバレちゃったら、もうどうにもこうにもごまかしようないよなぁ〜)
「ごめん、ころね、わため。
俺も何が何やらで分かってない部分もあるから、まずは女神様にいろいろ聞いてみないか?
そうしないと、なんで待ってるのかさえ理由が分かんないし。」
「あと、すいません。もう少しだけお伺いしたいことがあるのですが、いいでしょうか?」
「えぇ〜、もしこちらで分かる事であれば。」
「ありがとうございます。
女神様が待ってると伺いましたが、このようなことはよくあるのでしょうか?」
「いえ、わたくし共も神様にお仕えするようになってだいぶ経ちますが、
このような事は、なにぶん初めてのことでして……正直戸惑っているというのが、
偽らざる本音でございます。」
「そうなんですね。司教様も司祭様も初めてのご経験であると。
そこに、もれなく自分も初めてですので……お気持ちはお察し致します。」
「ジプシ〜君、ちょっとだけ聞きたいことがあるんだけど、いいかな〜?」
「わため、ころね。う〜ん、自分に分かる事であればいいけど。」
「それじゃ〜、ジプシ〜君のおうちは神様とか、なにかに深い関係のあるおうちだったりするの?」
「そんな事ないよぉ〜(笑)。前に話したように、しがない僻地の農家だよう(笑)。
で、俺はそこのただの息子(笑)。
だから正直、俺がいちばんびっくりしてるんだよぉ〜。」
「おっそ〜いっ!そこで何いつまで話してるのぉ〜。
こっちがいつまで待ってると思ってんのよぉ〜!」
「あぁ〜、女神様がぁ〜部屋を出てこられたぁ〜。 なぜだぁ〜絶対に出てくる事はない筈なのにぃ〜」
───立秋/幾望/先負/一白水星/午の刻/晴光───
次回 女神の つうこんのいちげき! おっさんは 致命傷を 負った! へ続く。
今回の話は、
おっさんの“地元の神様文化”と
異世界の“教会文化”が自然に重なり、
読者がニヤッとする構造になりました。
そして、
司教・司祭の「初めての経験」という言葉が
物語の核心へ向かう伏線となり、
最後の女神様の
「おっそ〜いっ!」
という乱入が、
次話への最高の引きになっています。
21話ではいよいよ
“神託の間”へ足を踏み入れることになります。
ころねとわためは何を聞かされるのか──
そして女神様は何を伝えようとしているのか──
ご案内の語り部は、次回 またあなたを特等席へ。
どんな誘いになるのか、次の Causerie (物語)をお待ちいただければ幸いです。




