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『厨二病が痛すぎて異世界出向。 〜 おっさんの Monologue《独白》 × Causerie《囁やき》 〜 』  作者: 放浪の狼


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朝の宿の既視感 ゆうべはお楽しみ?

朝の宿は、どこか懐かしい“既視感”のある空気で満ちている。

そんな中、キャロルの無邪気な“朝のあいさつ”が炸裂して、

おっさんは飲み物を盛大に吹き出すことに……。


異世界の生活は、戦闘よりもこういう文化の違いが

一番ダメージ大かもしれない。

ゆるくてにぎやかな、宿の朝のひと幕です。


「あぁ〜おにぃちゃ〜ん、おっはよぉ〜。

 よく眠れたぁ〜? うちのお宿はね〜、どんな人が来てもねぇ〜

 ぐっすり眠れるってみんな言ってくれるんだぁ〜。

 お席に朝ごはん持って行くから、好きな席で待っててね〜。」


「おはよぉ〜キャロルちゃん。今日も朝から元気だね〜。

 ねぇ〜わため、こっちまで元気を分けてもらってる気分になるねぇ〜。」


「そうだねぇ〜。朝からお手伝いしてえらいわよねぇ〜。」


「はいっ、おまたせぇ〜。果物のジュ〜スとか、他にもいろいろあるから

 お好きな物をえらんで飲んでね〜。」


「へぇ〜、いろいろあるんだねぇ〜。こういうのいいよねぇ〜。

 朝から選べるってちょっとした贅沢だし、準備するのは大変だと思うけど、

 泊まった人はうれしいだろうなぁ〜。

 なら、おれはこっちの飲み物にしようかな〜。」


「あとね、お兄ちゃん。前に泊まった人が教えてくれたんだけどね、

 朝、女の人と一緒に泊まったお客さんには、

 こんな朝のあいさつをしてあげるとよろこんでもらえるよって聞いたんだぁ〜。

 お兄ちゃんにもしてもいい?」


「うんうん、そっかぁ〜。あいさつならったんだねぇ〜。

 どんなあいさつなのかな〜。お兄さんちょっと気になるから聞いてみようかなぁ〜。」


「じゃ〜いくねぇ〜。

 ──おきゃくさま、ゆうべはおたのしみでしたねぇ〜。

 ( ̄ー ̄)ニヤリ 」


「 ( ゜∀゜)・∵. グハッ!! _| ̄|○ il||li

 ちょ、ちょっとキャロルちゃん……

 確かに朝のあいさつとしてはただしいんだけど、

 それはどんな時にならったのかなぁ〜……?」


「ジプシ〜君、大丈夫?

 そんなに飲んでたもの吹き出して、

 おまけに床に手ぇ〜までついて……何があったの?」


「わためおねぇちゃん、う〜うん、なんでもないの〜。

 お兄ちゃんにね〜、別のお客さんから聞いた朝のあいさつをしたら、

 いきなり飲んでたもの吹き出したの〜。」


(どこの誰だよっ教えたのはっ……

 ほんともうちょいで口からいろいろ飛び出しそうになったわ〜。

 よくたえたな俺……。

 でも女神様は“先に誰か来てる”とは言ってなかったし、

 教会に来いって言ってたし、

 それに“逃げずに来い”って言うんだから……

 望むところだ、行ってやろうじゃねぇか。)


「ジプシ〜君、もうそろそろ床に手ぇ付いてるのやめて起き上がって、ご飯いっしょに食べない?

 何がそんなにショックだったの?」


「いやぁ〜、ショックとかじゃなくてですね……

 うちの地元というか、そっちの方に“宿に一定の条件の時に泊まったお客さんに

 朝、必ずする挨拶”っていう文化がありまして……

 それを久々に聞いてしまったので、おどろいて床に手をつくまでの状態になったんですよ。」


「ならっいいんだけど……でねっ、今日の朝ごはんももの凄いのぉ〜。

 いろいろありすぎてどれから食べていいのか、迷いすぎて決めきれないの。」


「ほんとですねぇ〜。ゆうべも量も種類もすごかったのに、

 朝もこんなに種類が……。」


「おぉ〜、おはようさぁん。ゆうべはゆっくり眠れたかい?

 朝ももう準備できてるから、好きなものを取って食べてくれなっ。」


「いやぁ〜、夕ご飯もですけど、ここまでいろいろ用意されるの大変だったのでは?」


「ん〜? あぁ〜、もう毎日のことだからな、そこまでじゃねぇよ。

 それより朝から何も食べないで途中でなにかあっても嫌だからな。

 好きな物とか食べられない物とか、人それぞれあるだろ?

 最初はぜんいんに“朝はこれ”って出してたんだがよ、

 残すやつとかもいるし、そもそも食べれないっていう奴もいたから……

 なら“お好きにどうぞ”ってしたんだよ。

 これなら自分の好きな物だけ食べれるだろ。」


「そうだったんですね〜。でもそのおかげで、こちらは朝からこんなに美味しい物をいただけてるので、

 ぎゃくに感謝しかないですねぇ〜。」


「なら、よかったよ。

 うちの宿わね、夕食だけじゃなくて

 朝ごはんにも気を使っていて、

 満足してくれたならそれは何よりだよ。」


「あっ、おかみさん。おはようございます。

 ちょっと遅めに来られましたけど……

 やっぱり昨日は……」


「ちがうよぉ〜(笑)。

 朝、早めにご飯も食べずに出る人が

 まれにいるんだけどね。

 そういう人の部屋は、予約なしでも

 いつでも受けれる様に、

 早めに掃除を済ませちゃうんだよ。」


「そうだったんですねぇ〜。

 でもキャロルちゃんも朝からお手伝いして、

 ほんとえらいですねぇ〜。」


「うちは家族だけでやってるだろ?

 だから今はキャロルも大事な戦力だよ。」


「お母さん、お部屋の掃除はもう終わったの?

 そしたら、あとはわたしがご飯のあとに

 お部屋ふいてくれば、次のお客さん来てもらえるね。」


「そうだねぇ〜。

 次のお客さんにも気持ちよくお部屋ですごして欲しいだろ?

 そう思うんなら、ちゃんとふき掃除してくるんだよ。」


「でねっ、お母さん。

 さっきね、お兄ちゃんにね、朝のご挨拶ちゃんとしたのに、

 いきなり飲み物とかふき出したんだよ。」


「キャロル?

 もしかしてだけど……どんな挨拶したんだい?

 多分想像つくけど、一応聞いてみようかねぇ〜。」


「えぇ〜、普通に

 “お客様、ゆうべはお楽しみでしたね”って

 ちゃんとあいさつしたのに、

 飲み物ふき出したんだよ。」


「はぁ〜……やっぱりかいっ。

 キャロル、それは前にもだめって言っただろ。

 何回も来てくれるお客さんならまだしも、

 お兄ちゃん達は初めて来てくれたお客さんなんだよ。」


「おかみさん、こちらは大丈夫ですよ。

 ちょっとだけびっくりしましたが、

 ころねもわためも、ほんとの意味は

 わかってないと思うので。」


「ならいいんだけどね〜。

 で、“ゆうべはお楽しみでしたね”であってたかい?」


「おかみさんまで……。

 想像におまかせします。

 ほんと油断もスキもあったもんじゃないな(笑)。」


「冗談はおいといて、今日は教会行ってくるんだろ?

 道はだいじょぶかい?

 まぁ、あの真ん中の大きい建物向かって行けば着くから、

 迷う事はないと思うけど……気をつけてね。」


「はいっ、ありがとうございます。

 ならジプシ〜君、準備は出来てる?

 だいじょぶなら、おかみさんにもうちょっと

 教会の決まりとか聞いてから行ってみようか。」


「決まりねぇ〜。

 とくだんそこまでかしこまった決まりは

 ないと思うけどねぇ〜。

 大声を出さないとか、あまり服は派手なのにしないとか……

 これはどこでもいっしょだろ?」


「そうですねぇ〜。

 ジプシ〜君はおいといて、

 わたし達は日頃から聞いてるのと変わらないですねぇ〜。」


「まぁ、ここはいろんな神様いるけれど、

 基本的にはまず女神様が中心だからねぇ〜。

 女神様に祈っておいたら、基本なんでもなんとかなるもんだよ。」


「もうこんな時間だよ。

 教会もあまり遅くなると、入り口でこみあって

 入るの遅くなるから……早めに行きなよ。」


「ありがとうございます。

 じゃ、教会に行ってきます。」


           ───立秋/幾望/先負/一白水星/辰の刻/晴光───


次回 八百万の問題児、“待ち伏せ”をうけるっ!! へ続く。


今回の朝は、宿の“既視感”とキャロルの無邪気さが全部そろった回でした。

おっさんは文化的ダメージを受けつつも、

なんだかんだでこの宿の空気に馴染んできています。

次は教会へ。

女神様が何を言うのか、何を求めているのか──

異世界左遷のおっさんの旅は、まだまだ続きます。


ご案内の語り部は、次回 またあなたを特等席へ。

どんな誘いになるのか、次の Causerie (物語)をお待ちいただければ幸いです。

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