↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『厨二病が痛すぎて異世界出向。 〜 おっさんの Monologue《独白》 × Causerie《囁やき》 〜 』  作者: 放浪の狼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/37

キャロルの“弟と妹”騒動とおっさんにモテ期?が来たかもしれない夜

今回のお話は、旅の途中で立ち寄った宿の夜。

昼間の騒動がまだ少し残ってる空気の中で、

パンの香りと、にぎやかな声と、ちょっとした勘違いが混ざり合う──

そんな“あったかい夜”になりました。


キャロルの無邪気さはいつも通りで、

ころねとわための柔らかいツッコミも健在。

おっさんの愚痴と母ちゃんの強さは、

この街の生活感そのもの。


そして主人公はというと……

まさかの“モテ期が来たかもしれない”という、

本人も信じてないような心の声で締めることになりました。


旅の途中の、ほんの一夜。

でも、こういう夜がいちばん記憶に残るのかもしれません。


「うっわぁ〜……ほんとにこれ全部ですかぁ〜?

すごいですねぇ〜。ほんとに“自分で選んで食べる”んですね。」


「おうよっ。その方が自分の好きな物だけ食べれるから満足するだろ。

旅先に来てまで“なんで食べないの、こっちも食べなさい”とか言われたら、

子どもがかわいそうじゃねぇか。

だから──うちに来た時くらい、

親も子どもも関係なし。“お好きな物を、お好きな様に”ってな。」


「それにしても……聞いてましたけど、

おっきいパンですねぇ〜。

これに好きな物のせて食べていいんですね?」


「ただし──3つだけ、うちに来てくれたお客さんに約束してもらってる事が

あるの。」


「約束ですか?」


「そう、約束。

それはね──


絶対に食べ物は残さない事。

作ってくれた人に感謝して食べる事。

自分の食べれる量を考えて取っていく事。


この3つだけ、うちに来てくれたお客さんにお願いしてるんだよ。」


「おうっ。

どっかで見た顔だと思ったら──昼間、大活躍した小僧じゃねぇか。

ここに泊まってんのか?ここはいい宿だろぅ〜。料理はうまいし量はある。

そして何より──かわいいキャロルちゃんがいるからな。」


「もぅ〜、またそんなになるまで飲んでぇ〜。

それに、お兄ちゃん達は今日から泊まってくれるんだから、

まだうちの事はわかんないよ。

ただ──帰る時には絶対“また来る”って言わせてみせるけどねっ(笑)」


「大活躍だなんてぇ〜、とんでもないっ。

ただ歩いてたら、向こうからこっちに飛び込んできただけで……

俺は特に何もしてないんですよ(笑)」


「それでもだっ。

結果として“戻るべき物が戻る場所に帰った”んだから、それでいいじゃねぇか。

若いんだから、そう気ぃ張ってると疲れちまうぞっ。」


「おぅ、来てたのかぁ〜。

まだ厨房の方、離れられないんだよ。」


「あんた、もう出すものは出したんだろ。

行っていいよ。

あんまり待たすのもなんだしね。」


「おかみさん、わりぃねぇ〜(笑)。

なんか督促した様で。

で──今日の昼の話、聞いたか?

ほんとああいう輩はどっから湧いて出るんだろうねぇ。

いくら叩いてもキリがねぇ。」


「うちの奴も被害あいかけたからなぁ。

そこにいる客の兄ちゃんが取り戻してくれなかったら、

どうなってた事か。」


「日々の仕入れも何とかやってるっていうのに……

これで戻って来なかったら、考えただけでも恐ろしいわ。」


「でも明日は落ち着くだろ。

にぎわうのは今日の昼間の行列で済んだろうし。」


「そうだといいんだが……

まぁ何にせよ、この祭りやってる間は気を付けておいた方がいいだろうなぁ。

地元の奴はお互い顔知ってるから馬鹿やらねぇと思うが、

よそから来た奴は目の前にカモがいるんだ。

何するかわからねぇ。」


「で、兄ちゃん達は明日はどうするんだ?

何か予定でも決まってるのか?」


「特にこれといって……ただ、教会があれば行ってみようかと。」


「おぉ、その若さで熱心なこった。

敬けんな信者様ってか?」


「違いますよぉ〜(笑)。

そんなんじゃないです。

地元を出る時に“教会があれば行っておけ”って言われてたので、それだけです。」


「街に来た時に軽くまわり見たんですけど、

あの中央にある大きな建物が教会ですか?」


「そうだよ。

昔はなぁ〜、あそこでその時の王様も戴冠式やったくらいの、

すっごい場所なんだぞ。」


「ころね、やっぱりあそこだって。

あってたみたい。明日行ってみようね。」


「そうだねぇ〜。

これから先どこまで旅が続くのかわからないけど、

行く先々の教会にお祈りしながら日々の無事を願うのはいいかもねぇ〜。」


「そういや、ジプシ〜君ってさ、誰かと一緒にどこか行ったりしたことって

あるの?」


「それが今回が初めてで……。

 地元がね、周りの大人いわく “あまりにも辺鄙すぎる” らしくて。

 どこか行くにも準備が大変だし、戻ってくるのもめんどくさいって

 話ばっかりで。

 小さい頃からそれ聞いてたから、どこか行きたいって思ったことも

 なかったですねぇ〜」


(これで深読みされなきゃいいけどな……。

 ラノベ読んでた時は “異世界スゲェ〜” とか思ってたけど、

 いざ来てみると “どうごまかすか” の方が大変だし、

 普通に働いてた時の人間関係と変わらんやんこれ(笑))


「なら、わたし達と一緒だねぇ〜。

 お使いで何回か行ったことはあるけど、あれは目的が“お使い”だからね。

 余分な日数もないし、その日のうちに帰れる距離ばっかりで。

 今回みたいに、行き先も決まってない、帰る日も決まってない、

 こんな夢みたいな旅行はわくわくしか感じないよ〜」


「ほぉ〜、行き先も目的も日にちも決まってない旅か。

 そいつぁうらやましいねぇ〜。

 こちとら毎日母ちゃんにどやされっぱなしだってぇ〜のに。

 俺もたまにはどっか行ってみたいもんだねぇ〜」


「ほぉ〜、あんたそんなにどっか行きたいのかい?

 なら今日の夜からもっと回数増やそうねぇ〜。

 キャロルも弟や妹ほしいだろうしねぇ〜。

 天国に連れてってあげるとしようかねぇ〜」


「えっ、ほんとに弟とか妹連れてきてくれるの!?

 楽しみだなぁ〜どんな子が来るんだろ〜 おうちに来てくれたらねぇ〜

 い〜っぱいおねぇさんとしていろいろしてあげるんだぁ〜

 そしたらねぇ〜、みんなで一緒に遊べるんだぁ〜!」


「キャロル? 今なお母さんが言ったのはな……」


「そうかいそうかい、キャロルも弟や妹楽しみかい。

 あんたここまで楽しみにしてるんだ、わかってるねっ」


「こりゃ御愁傷様だな。せいぜいがんばれよ(笑)

 まぁ時間も時間だし、俺もぼちぼち帰るとするわ〜。

 そこの兄ちゃん達も明日は色々見て回るんだろ?

 もし機会あったらうちの店も利用してくれや。じゃ〜なっ」


「なら わたし達ももう寝ようか。いっぱい歩いたし、なれない街で

 疲れちゃった。」


「ころねおねぇちゃん、わためおねぇちゃん。お部屋なんだけどね、みんなで

 寝れた方がいいかなと思ったから、3人で仲良く寝れるお部屋にしといたよ。

 昼間の事もあったし、その方がなにかあった時にいいかなと思ったから。」


「そうなのね、ありがとう〜。これでジプシ〜君の地元の話ももっと聞けるね。

 ねっ、ころね。」


「そうだね。キャロルちゃんに感謝だね。ジプシ〜君のこといろいろ知りたかったし、部屋が一緒はすごくいいね。( ̄ー ̄)ニヤリ」


「おぅ、こっちもかぁ〜。兄ちゃんは若いんだからがんばんな。じゃ〜な。

 ほんとに帰るぞっ、もう何もないな。」


「えへへへへへぇ〜。わ〜い、ほめられちゃったぁ〜。わたしも

 眠くなってきたからもう寝るね。お休み〜。」


(まさか……ほんまに“モテ期”ってやつ、来てるんか。

 おっさんやし、もう二度とないと思ってたあの青春の日々が……。

 彼女と帰る友達をうらやましくて、何回涙流したか分からんくらいやのに。

 ……まぁなんにせよ、今の状況くらいは楽しんどくか〜。)


           ───立秋/栗豆/先負/一白水星/亥の刻/晴光───


次回 朝の宿の既視感 ゆうべはお楽しみ? へ続く


今回の夜は、にぎやかで、あったかくて、

そしてちょっとだけ騒がしい時間になりました。


キャロルの“弟と妹”騒動は、

本人の純粋さがそのまま出ていて、

読んでる側もつい笑ってしまうような空気でした。


ころねとわための“ニヤリ”は、

主人公の心の声をさらに追い込むようで、

でもそれがまた旅の楽しさでもあります。


おっさんの愚痴と母ちゃんの強さは、

この街の生活のリアルさをそのまま映していて、

主人公の“モテ期かもしれない”という自嘲が、

最後にふっと柔らかい余韻を残してくれました。


旅はまだ続きます。

行き先も、目的も決まらぬまま。

でも、こういう夜が積み重なっていくことで、

この物語は“生活の旅”になっていくんだと思います。


次の朝はどんな空気になるのか──

またゆっくり、歩いていきましょう。


ご案内の語り部は、次回 またあなたを特等席へ。

 次の Causerie(物語)も心待ちにしていただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。