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『厨二病が痛すぎて異世界出向。 〜 おっさんの Monologue《独白》 × Causerie《囁やき》 〜 』  作者: 放浪の狼


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16/38

おっさん、初めてのお使い(本人は否定しています(笑))

今回の16話では、

ジプシ〜君が旅の途中でふと見せた“弱さ”(女神様のいじりの影響(笑))と、

それを自然に受け止める、ころね・わためのあたたかい掛け合いが描かれています。


マジックバッグの話や名字の文化、

そして地元のお金の違いなど──

旅をしなければ気づかなかった“世界の広さ”が、

少しずつジプシ〜君の前に姿を見せ始めます。


初めての旅で戸惑いながらも、

新しい価値観に触れていくジプシ〜君の姿が、

どこかほほえましく、やさしい気持ちになるお話しです。


「ジプシ〜く〜ん、こっちに休める場所あったからさ、ちょっと休んでいこう。

 さっきよりはだいぶ顔色よくなったようだね。急に悪くなるから心配したよ。」


「本当に大丈夫? いったい何があったの?

 もしかして……家で朝出したご飯とか、合わなかった?」


「あぁ〜、そんなんじゃないんです。逆にご迷惑をおかけしてすいません。

 ちょっと……昔のことを思い出して、それで。」


「なら体調には問題ないんだね。それならいいんだけど……

 これからまだまだ歩くから、休めるうちに休んどこうか。」


(いや〜……言えるわけないよな。

 いきなり“神様の声が頭の中に響きました”なんて言ったら、

 普通なら間違いなく頭おかしい人扱いされるし。

 伝えるとしても……もうちょっと様子を見てからの方がいいよな。)


「あぁ〜、あとお二人見てて気になったんですが……ちょっと伺ってもいいですか?」


「何かなぁ〜? わかる事なら答えるけど……あっ、でもスリーサイズはまだだめよぉ〜(笑)

 もうちょっと一緒にいたら教えてあ・げ・る(笑)」


「違いますよぉ〜! それはそれで聞きたいですけどぉ〜(笑)じゃなくてですね……

 もうちょっとで目的地の“スリス”の街? でしたっけ? が見えてくると思うんですけど……

 ここまでの荷物って、どうしてたのかなぁ〜と」


「その事ねぇ〜。みんな“マジックバッグ”持ってるんだけど……そういやジプシ〜君は

 持ってなさそ〜だよね?そのお家出てくる時、持ってこなかったの?それとも……

 ある事知らなかったとか?」


「さすがにあるのは知ってましたよぉ〜!やだなぁ〜(笑)そんな人をからかってぇ〜(笑)」

(ふぅ〜……あぶねぇ。これで何とか誤魔化せた……はず。)


「別のとこから来たって聞いたから、

 “マジックバッグさえ無い世界”から来たのかと思ったよぉ〜(笑)」


(ギクッ……なんでこう勘が鋭いんだ……何とか話をそらさないと……)


「やだなぁ〜、ころねさぁ〜ん。そんな訳ある訳ないじゃないですかぁ〜!」


「でもね、これも完璧じゃないんだよねぇ〜。いつもよりちょっと多めに荷物を持てて、

 傷みやすい物なら少しだけ長持ちする……その程度なのよぉ〜。」


「そういうもんなんですねぇ〜。自分もどこまでってのは詳しくなくて……

 それで聞きました。ちなみに、それ以上の……容量無限だったり、入れたら時間が永久的に

 止まるような能力だったら……いくら位するんですか?」


「えぇ〜、そんなバッグある訳ないじゃなぁ〜い。みんな一緒よ、誰でもこのバッグ。

 でもね……今ジプシ〜君が言ったバッグがあったら……大騒ぎでしょうねぇ〜。ねぇ〜、わため。」


「そうだねぇ〜。もしそんなバッグを“本当に持ってる人”がいたら……ずっと誰かしらに

 狙われ続けるかもね。そんな便利な物、離すはずがないじゃない。」


「そんなですかぁ〜。でもそんな物はないと、ある意味ほっとしました。

 あと……教会とかってあるんですか?家を出てくる時に、“何があっても教会だけは行っておけ”って

 言われてきたので。」


「教会ねぇ〜。うん、よっぽど小さい街じゃなければどこにでもあるよ。

 次の街に着いたら、場所だけ聞いてみようか。」


「でも……見た目では分からないもんだねぇ〜。そんなに熱心な信者さんだったのかな。

 もしかして……お家は名字もあるようだし、どこか“いいとこのおうち”の子なのかな?」


「それ、よく言われるんですよねぇ〜。そんな普通の家なんですけどねぇ〜。

 どこにでもある農家ですよ(笑)そんなに“名字あるの”って珍しいんでしょうか?」


「普通は一般の人は“目押し(苗字)”はないからね。どこどこの何々さん、とか

 地名+名前で区別してるんだよ。」


「例えばこんな感じね。『個人名(ファーストネーム)』+『前置詞(ノビリアリー・パーティクル)』+

『領地名・家門名(苗字)』。で、貴族に関係ある人だと“名前+名字”とかが多いから、

 てっきり関係者かなと思っちゃったんだよ。」


「でも珍しいよねぇ〜。普通は名前が先にくると思うんだけど……“名字が先に来る”って

 中々見ないよねぇ〜。」


「地元では、ご近所さん含めてみんな同じでしたから、気にした事もなかったんですよ。

 でもやっぱり世界は広いですよねぇ〜。ほんのちょっと変わっただけで、いっきに価値観まで

 変わるんですから。今の名字も、今まで気にしなかったのに

 ……今の話しだけでも“違うんだぁ〜”って。

 これから先のことが、ちょっとずつ楽しみになってきました(笑)」


「うんうん。わたし達もそこまでは知らないけどね。全部おばぁちゃんのお話しの受け売りだからね。

 おばぁちゃん、あぁ〜見えて若い時はいろいろ旅してたみたいだからね。そのお話しを眠る前に

 聴いてる内に、いろいろ覚えていった感じかな。」


「ところでジプシ〜君は、街についたら何かお目当てとかあるのかな?

 どこに行きたいとか、どこのお店見てみたいとか?」


「それなんですけど……教会以外、特にないんですよね。

 地元からほぼ出たことがなかったので。


今回が初めて“1人だけで長く地元を離れての旅”?なんて言ったらいいんですかね……

社会見学? 現場学習? そんな感じです。(笑)」


「社会見学? 現場学習? っていうの?初めて聴いたなぁ〜。でもジプシ〜君がわくわくしてるの

 伝わってきて、こっちまで楽しくなるよ。ねぇ〜ころね。」


「だねぇ〜。ジプシ〜君見てると……えぇ〜とねぇ〜……そうそう。

 初めてのお使いみたいな感じに見えて、ほほえましいねぇ〜(笑)」


「初めてのお使いって(笑)それって絶対、自分お子ちゃま扱いされてるじゃないですかぁ〜。

 確かにそう言われたら、くやしいかな言い返せない自分がいますけど(笑)」


「ところで、街に着いたら何か買う予定はある〜?ちょっと心配だから、おねぇさん達がジプシ〜君の

 お使いのお金を確認してあげましょ〜(にししし)」


「やっぱりお子ちゃま扱いじゃないですかぁ〜(笑)ちょっと待ってて下さいね。今、出しますから。」


「わためぇ〜、こんなお金見たことあるぅ〜?ここいらじゃ見ないお金だよねぇ〜?

 ジプシ〜君、これって君の地元じゃ使ってたんだよねぇ〜?

 色・形はまるっきり一緒に見えるんだけど、何か微妙に違うんだよねぇ〜?」


「おばぁちゃんのお話しの中にもいろいろなお金出てきたけど、初めて見るお金だねぇ〜。

 かといってジプシ〜君が“おままごと”で使うお金でもないみたいだしねぇ〜(笑)」


「あぁ〜、わためさんまでひどいですよぉ〜(笑)でも地元ではこのお金でみんな買い物してました。」


「でも見れば見るほどそっくりなんだよねぇ〜。ホント柄が違うくらいで、お店でも忙しい時だったら

 気づかないままそのまま受け取っちゃうだろうねぇ〜。」


「そしたら、いまは詳しく確認しようがないし、まずは街に向かおうか。

 街に行けば誰かしらお金に詳しい人もいると思うから、そこでもう1回見せて聞いてみようよ。」


「そうだねって話してるうちに、もう街の入口見えてきたよぉ〜。

 やっぱり遠くから見てても“大きな街”なのがわかるね〜。

 まずは、いったん今日泊まるとこ見つけて、それから街の中見に行こうか。」


「はいっ。なんか楽しみになってきました。じゃ〜受付に並びますか〜。」


           ───立秋/栗豆/先負/一白水星/未の刻/晴光───


次回  はじまりはいつも誤解!?  へ続く。


今回のお話しでは、

おっさんの持ってきた“地元のお金”が思わぬ形で話題になりました。


見た目はそっくりなのに、どこか違う。

忙しい店なら気づかず受け取ってしまうかもしれない──

そんな微妙なズレが、

この世界とジプシ〜君の出自の違いをそっと示しています。


そして3人で話しているうちに街の入口が見えてきて、

いよいよ本格的な旅が始まります。


次回は、初めて訪れる大きな街での宿探しや、

おっさんが見る“街の空気”が描かれます。どうぞお楽しみに。


ご案内の語り部は、次回 またあなたを特等席へ。

 次の Causerie(物語)も心待ちにしていただければ幸いです。

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