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『厨二病が痛すぎて異世界出向。 〜 おっさんの Monologue《独白》 × Causerie《囁やき》 〜 』  作者: 放浪の狼


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おっさん 伝承の地でお迎え代を請求される

「市場へ向かったおかあさんの背中が遠ざかり、

 村にはまた静かな朝の気配が戻ってきたようです。

 今回もまた、皆様のそばに寄り添いながら──

 語り部は時折お邪魔しつつ、

 読者の皆様の歩みに合わせて Causerie(物語)をそっと供えさせていただきます。」


「ふぅ〜……おかあさんも市場に行ったし、

 わたし達もそろそろ旅に戻ろうかぁ〜。

……ん? ジプシ〜く〜ん、どうしたの?

 なんか微妙な顔してるけど……何かあった?」


「あぁ〜、特にはないんですけど……

 きちんとしたお礼を伝えられないまま

 行ってしまわれたので……」


「そこぉ〜?

 気にしなくていいよ〜。

また遊びに来なよっ。

 おかあさんも喜ぶし、

 うちとしても手伝ってくれたら助かるしね〜。」


「じゃ、向かいますか。

 みんな手を添えて次の場所思い浮かべて……

 ジプシ〜君はまりんに掴まってくださいね。」


「はいっ、まりんさんお願いします。

 ちなみに……どこに掴まればいいですか?」


「あぁ〜どこでもいいわよ。

 特に決まりないから、

 “みんなが一緒にいる”って判断されるように

 近くにいてくれればそれで充分よ〜。」


(どこでも?

 あんなとこやそんなとこでも……?

ならもう掴まる場所は“あの双丘”しかないよなぁ〜……)


まりん

「ジプシ〜く〜ん?

 どこでもって言ったけど……

あっそこはちょっと気が散るから……

 あ〜だめだってぇ〜!!どこさわってんのよぉ〜!」


(ガンッ まりんのひじ鉄がおっさんの顔面に見事に炸裂)


「痛ったぁ〜 えっ うっわ〜 ゎ〜 ゎ〜 ゎ〜」


──光が弾ける。


「まり〜ん!?

 ジプシ〜く〜ん……

 あぁ〜行っちゃったぁ〜……。」


「かなたさん……どうしましょう……?」


「……わたし、

 まりんの声に気を取られて離しちゃった……。

こよりも?」


「はい……。

 追いかけるにしても、

 もう例の翼は無いですし……

どこ思い浮かべてたか分からないので……

 追いかけようがないんですよね……。」


「……そっかぁ……。

なら、まずは近くのギルドに行って、

 “ジプシー君を見かけたら連絡ください”って

 手続きだけして……

そのあとはギルドで決めよっか……。」


「はい……。

 かなたさん、まりん、行きましょう……。」


「……うん……。」


◆ いっぽうその頃

(うっわ〜……こんな高さまで上がったら普通息できないぞ。

 やばいぞ、どうする?

……えっ、できてる。なんでだ。

この高さって寒すぎるし、息もしづらいはずなんだけどな……)


(……でも、気を落ち着かせたら周りは見れそうだな。

いやいやいや、まさかねぇ〜……。

俺、異世界に左遷って言われたよなぁ〜。

 龍と精霊もこの目で見たし。

なのに、なんで“既視感”しかないんだ……?

これはどこかで確認しないと……

 まずは安全にどこかに降りれること……祈るしかないな……)


(というか徐々にスピード落ちてきたな。

これはパティにはならないですむか?(笑)

まぁなったとこで、

 こんなおっさんのパティ食べる奴はいないだろうけどな(笑)

なんか自分で言ってて悲しくなってきたぞ(泣)

これは汗が目から出てきただけだ。

 間違いなく汗だ。

 絶対に俺は認めないぞ)


(んっ 何か見えてきたな?

おぉ すごいなぁ〜。

これは上から見ると壮観だなぁ〜。

ある意味翔ばされて逆によかったのかもな。

なんか人の気配もするな。

都会の狩人なみにもの凄く優秀な

 俺のもっこしレーダーが反応してるぞ。

間違いないっ。

 この反応は女の子だ。

 それも多分2人。

 間違いないっ)


「わためぇ〜 なんかあっちに見えてなぁ〜い?

 そうそうあっちの方。


まさか、あれって人じゃないよねぇ〜?」


「ころねぇ〜 待ってぇ〜。

はやいよぉ〜。

わたしも走るのはだいじょぶだけど、

 目と鼻はころねにかなわないんだから。

見つけた瞬間に動かれたら追いつけないよ。」


「わため、この景色おぼえがない?

 なんか思い出さない?」


「ころね、もしかして……

 わたしのおばあちゃんが話ししてくれた

 あのおとぎ話の事を言ってるの?


確かに、あのおとぎ話じゃ──


霧の深いある日、

 婚約者を婚礼の直前に天から降りてきたような

 不気味な魔性の者(あるいは悪魔)に奪われた羊飼いが、

 悲しみのあまり連れていた羊たちとともに

 その場で石に変わってしまったって……

 そうは聞いたけど。」


「うん、わため。

 今そのおとぎ話を思い出してたんだ。

まだどんな人が降りてくるかわからないけど、

 気をつけておこうね。」


「でも青くて薄い透き通った光って綺麗じゃない?

一体どんな人が来るんだろうね?

でもさぁほんと、

 今降りてきてる人がどんな人かわかんないけど、

 わたし達に感謝して欲しいよねぇ〜。

ねぇころね。」


「そうだっ、わため。

今降りてきてる人って、

 なんでわたし達がここにいるかわかってないと思うのね。

なので、落ち着いたら──

 おむかえ代もらっちゃおうか?

にししし……」


「あぁ〜 手を振ってくれてるなぁ〜。

おむかえかなぁ〜。

ありがたいなぁ〜。

いきなり知らない土地に翔ばされて、

 一人ぼっちなんて不安な事この上ないからな。

なんで待っててくれるのかちょっとわかんないけど、

 ここは感謝しとこう。

顔もはっきり見えてきたし、

 ちょっと手でも振ってみるかぁ〜。」


「ころね、わたし達に気づいたみたいよ。

 手を振ってるわ。

でもおかしいわねぇ〜。

 大人の人じゃない。

多分、わたし達よりちょっと年下かもよ。

背はそこまでじゃないけど

 ちょっと高そうね。

だからなのね、大人に見えたのは。」


「わため、まぁいろいろ考えても仕方ないんじゃ。

 まずは降りてきたら聞いてみればいいんじゃない?」


「ふぅ〜 無事、何事もなく着けたなぁ〜。

まぁ使うたびに頭から落ちてたらキリないよなぁ〜。

頭をぶつけるのは出る時だけでいいかなぁ〜(笑)

あぁ〜、こんにちわぁ〜。

お二人はなぜこんな所にいらっしゃたんですか?

上から見渡す限りは、平原に石柱?っていうんですか。

 それしかなく、近くに人の気配はしなかったんですが?」


「わたしはころね。よろしくね。

いきなり空から人が降りてくるのが見えてさ、

 それで急いで様子を見に来たのよ。

さっきあなたも言ったじゃない。

 人の気配なかったって。

このすぐ近くには人は住んでないの。

見ての通り平原だから、

 羊を放したりとかそんな時にしか

 ここには人はいないのよ。」


「初めまして。

 わたしはわためといいます。

いきなり人が降りてきて驚いているんですけど……

それでちょっと聞きたいんですけど、

 なぜこんな場所に来られたのかお伺いできますか?」


「う〜ん、話すのはいいんだけど……

 信じてもらえるのか。

ところでここは君たちの土地なの?

 さっき自分を見かけて、

 慌ててきてくれたって言ってたけど。」


「ここはわためのお家が代々管理してる土地になるんです。

それでわたしはいつもわためと一緒にいるので、

 今日もこうやって見に来たんです。」


「ここはむかしから“灰色の羊”って呼ばれている土地で、

 うちが基本的には管理していて……

うちのおばあちゃんがその辺りの伝承も詳しいので、

 もしよろしければ、うちに来ませんか?

身体もここにずっといたら冷えるだけだと思いますので。

 何もないですが、身体だけは温まりますよ。」


「いいんですかっ?

 ありがとうございます。

自分もたった一人になるかもって不安だったので……

 もしお言葉に甘えられるのであれば、お願いしますっ。」


          ───立秋/十日月/先負/一白水星/巳の刻/晴光───


次回  「羊のミルクと暖炉のやすらぎ」 へ続く。


錆びついた伝承の地に吹く風は、

時にとんでもないお迎え代が待っているのか。

おっさんと彼女の予期せぬ出会いが残した波紋は、

静かな歴史の片隅に、クスリと笑える記憶が刻まれたようです。

おっさんがどんな景色に誘われるのか、

まあ、次はいったいどんな面倒事が待っているやら、

のんびり構えて見届けるとしましょう。


ご案内の語り部は、次回 またあなたを特等席へ。

どんな誘いになるのか、次の Causerie (物語)をお待ちいただければ幸いです。


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