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『厨二病が痛すぎて異世界出向。 〜 おっさんの Monologue《独白》 × Causerie《囁やき》 〜 』  作者: 放浪の狼


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果樹園の朝、動き出す村のざわめき

「市場へ向かう支度が整い、村の朝はさらにざわめきを増していくようです。

 今回もまた、皆様のそばに寄り添いながら──

 語り部は時折お邪魔しつつ、

 読者の皆様の歩みに合わせて Causerie(物語)をそっと供えさせていただきます。」

「あっ、まり〜ん。そこにいたんだねぇ〜。

 ちょっとこっち来てぇ〜。」


マリンがひょこっと顔を出す。


「あ〜、おかえりぃ〜。どうだったぁ〜?

 なかなかだったでしょう。あの景色は小さい時から見慣れてるけどね。

 冬の、何もない時もそれはそれで雪の中にちょっとだけ残った実が

 綺麗なんだけど……やっぱりこの時期の、枝に実をいっぱいつけた状態は

 圧巻なのよねぇ〜。」


「そうですね。やっぱり実際に見ると、ものすごい感動しますね〜。

 ところでマリンさんも、やっぱり小さい時は勝手になってるのを

 食べて怒られたりしたんですか?」


「ああ、その話聞いたんだ〜。

 そうだね〜、やっぱり小さい時ってお腹空くじゃない?

 そしたら、何を食べるってなると……

 お菓子より美味しいものが目の前にあったら、絶対そっち選ぶでしょ〜。」


「それでね マリンちょっと相談なんだけど ジプシ〜君も一緒に

 連れて行こうと思うのどうかなぁ〜? 今までだとなにか重い物あったり

 変に男の人よってきて特にまりんとわたしが大変だったじゃない?

 かなたはそこまでじゃなかったけど」


「こより あとでお説教ね それでまりんはどう思う?

 果樹園で雑談がてら話してたんだけどね 意外といろいろ知ってるのよ

 それに世界を知ってこいって送り出されたって言ってたじゃない

 だから わたしたちの旅に一緒に来れば 私たちも助かるしジプシ〜君にも

 いいと思うんだけど」


「まりんさん 自分からもお願いできますか?

 なんのお役に立てるかわからないですけど一緒に行けるのであれば

 荷物持ちでも何でもしますからっ」

(がんばれ俺っ がんばるんだっ こんなチャンス絶対ないぞぅ〜

 こんな女の子に囲まれて旅が出来るなんて 日本にいた頃じゃ想像なんて

 出来やしなかったしな 何としてでも一緒にいかないと)


「あっれぇ〜 ジプシ〜く〜ん 何をニヤニヤしちゃってるのかなぁ〜?

 さてはこんな美人できれいでかわいいおねぇさん達と

 一緒に旅できるのわかってうれしくなっちゃったのかなぁ〜?」


「ちっちがいますよ ニヤニヤなんてしてませんよっ

 ただ果樹園でお手伝いしてる時に みなさんの今までの旅の話を聞いて

 いいなぁ〜行ってみたいなぁ〜って 思ったのは事実ですけど」

(ふぅ〜あぶないあぶない 何でまりんさんこんなに勘がするどいんだ?

 おまけに顔にも出てたか気をつけないと)


「まっ、そんな冗談はおいといて。

 かなた、こより。もう準備はできてるから、いつでも行けるわよ。

 で、次どこ行く?ちょっと使うの惜しいけど……あの遺跡で見つけた、

 えっと……名前ど忘れしちゃったけど、あの“翼みたいなやつ”

 使って移動するんでしょ?」


おっさんが目を丸くする。


「えっ、冗談だったんですか?

 ふぅ〜……思わず本気にしちゃいそうになりましたよぉ〜(笑)

 ところで、今話してた“移動がどうのこうの”って……

 どういう事なんでしょうか?」


「あぁ〜、それね。

 ここって実は“内陸も内陸”。海からものすごい遠いのよ。

 だから港まで歩いていくとなると、何日もかかるのね。

 かといって港に着いても、海が荒れてたらそのまま足止め。

 波が穏やかになるまで何日も待つことになるの。」


「それでね。

 たまたま行った先の遺跡で、アーティファクトだと思うんだけど……

 調査用として送った分とは別に、

 “自分たち用”に何かの時のために持っておいたのよ。

 ただ、これも使える場所が限られてて……

 洞窟とかダンジョンとか、天井のあるところだと──

 天井に頭ぶつけて痛い思いだけして、出れないの。」


「えぇ〜とねぇ〜 そう思い出したわっ いやぁ〜 さっすがまりんさん

 かんじんな時に頼りになるねぇ〜 今はいないらしいんだけどね

 魔物がまだいっぱいいた時代の名残で その魔物の名前がね

 キッ・・・・・ もごもごもご」


「ふぅ〜 ホッントに危ないわねぇ〜 まりんそれはだめよっ

 思い出しても口に出したらだめなのっ 何を思い出したかわかってはいるけど

 そこはPCやスマフォの画面の前だったり 本を手にとって読んでくれてる

 みんなの頭の中に浮かんでいるから わたし達は何もいわなくていいのよ」


(いやっ もう絶対あれだよな? あれしかないよな ほんとにいたんだ

 すっげぇ〜 学校から帰ってすぐにカバン投げ出して 親から怒られて

 時間も忘れてやってたけど いっや〜もしかしてっ女神様 もの凄いとこに

 俺をとばしたんじゃないかっ?これは感謝してもしきれないな〜)


「おぉ〜い |武蔵坊(むさしぼう)のいるか〜い もうそろそろ市場に持ってくやつ

 集めによったんだが」


「あぁ〜 もうそんな時間かいっ ちょっと待っとくれ かなた

 市場に出すやつどこにあるんだい?」


「市場に出すやつなら 畑のいつもの場所に集めておいたよ 今日はジプシ〜君も

 手伝ってくれたから思ったより時間も早かったし 何より量が集められたから

 積んでいくのは苦労するかもね(笑)ジプシ〜君もありがとね」


「そんな自分なんて 泊めていただいた上にご飯までごちそうになっちゃって

 こんな自分でよければいくらでも使ってください それに久しぶりに

 りんごの香りを全身で浴びれて 逆にこんな贅沢させていただいて

 いいのかと思っちゃいましたよ」


「かなた あぁ〜言ってくれてるけど どうなんだい?

 お母さんはいいと思うんだけどねぇ〜?」


「はぁ〜 何言ってるの〜 出会ったの昨日の今日なのよっ

 そんな話じゃないでしょうがぁ〜(ぜぇはぁぜぇはぁぜぇはぁぜぇはぁ)」


「まぁまぁ かなたさん落ち着いて(笑) ところでさっき

 また耳慣れない言葉が聞こえてきたと思ったんですが なんですか?」


「あれはねぇ〜 屋号みたいなものね ここいらは田舎だから

 きほん名字が一緒なのね、なので名字で呼んじゃうと誰が誰やらだから

 小字(こあざ)っていって住所の一部何だけどね

 おたがいの家をそこで呼んでるのよ都会の方にはもう今はないのかな?」


「へぇ〜 そんな呼び方があるんですかぁ 昔ながらの知恵なんですね〜

 でもなんかかっこいいですちょっと秘密めいた感じでいいじゃないですか

 何かあったら屋号知ってる人にしか伝わらないってロマン感じますねぇ〜」


「でも そんな秘密結社みたいなことしてた訳じゃないからねぇ〜(笑)

 他はどうかわかんないけど ここでは むかしからそれが普通だったし

 自分たちも小さい時は何が何やらよ(笑) ある程度大きくなって

 お使い行かされてそれで徐々におぼえていっただんだもん」


「だねぇ〜 なつかしぃねぇ〜 小さい時は誰々さんちじゃなく小字(こあざ)で

 言われるからなれない内は忘れちゃって お使いできないくやしさで

 泣きながら家に帰ってたねぇ〜」


「かなた おかあさんは市場行ってくるから どこまで行くか知らないけど

 かなたも気をつけて行ってくるんだよ 戻ってくる時はお土産期待してるからね

 お待たせしたね それじゃ〜市場に行こうか」


           ───立秋/臯月/先負/一白水星/辰の刻/晴光───


次回  「おっさん 伝承の地でお迎え代を請求される」 へ続く。


「市場へ向かう一行の足取りは、まだ朝の光の中。

 この先どんな出会いが待つのか、語り部も静かに耳を澄ませております。

 皆様のわずかなスキマをお借りできたことに感謝を込めて──」


ご案内の語り部は、次回 またあなたを特等席へ。

どんな誘いになるのか、次の Causerie (物語)をお待ちいただければ幸いです。


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