第7話 昼想夜夢の狒々
◇
狂暴な魔物や妖怪が弱肉強食の生活をしている昼。その野原に狒々がいる。
ピンクのケムクジャラで人間のイケメンのような金属の仮面をつけていた。
「はあ」
ため息をついて青い空を見ている。その空に農作業をしている若い美女が浮かんだ。
「鈴華」
狒々は若い美女に見惚れていた。彼女に一目惚れし、鈴華のことばかり考えている。人間の女性を好きになり、妖怪らしいことをしていないので他の妖怪に笑われていた。
「あっ!」
鈴華を見ていると彼女の頑固な父親が出てきて邪魔をした。
「あーあ。あのジジイは邪魔だ」
娘は好きだが彼女の父親は目障りで嫌いだった。父親が邪魔したので狒々は悶々としている。
◇
夜。狒々は鈴華がいる小さな古い家にやってきた。街から離れている鈴華の父親の家で高齢の父だけが住んでいた。
「鈴華!」
家で料理を作っている鈴華を見て狒々は喜んだ。
彼女はメスジカ倶楽部で働いていたが、高齢の父を心配し、辞めて農作業を手伝って支えていた。
「あんなジジイより僕を支えてほしい」
彼女との生活を想像し、見惚れている。
「おっと!」
父親が帰ってきたので狒々は伏せて隠れた。
「ただいま、鈴華」
「おかえり、お父さん」
お互い大切に想っている親子でこれから仲良く食事をする。
「あのジジイ! うらやましい!」
鈴華と生活している父親に嫉妬し、ますます嫌いになった。
親子の食事など見たくないが、狒々は見つからないように近づいた。
「おいしそうな匂いだ」
鈴華が作った料理の匂いを嗅いで忘れないようにした。親子の食事を見たくないので狒々は家から離れた。
胸がいっぱいでなにも食べず、匂いで満足した狒々は自分の寝床で眠った。彼女と結婚した幸せな夢を見て喜んでおり、その夢に父親はいなかった。
◇
朝。
「フワアアア!」
起きた父親は外に出て、あくびをした。
「ん? うわあ!! なんじゃこれは!!」
家の地面を見て驚いた。
「どうしたの、お父さん!?」
父の大声に驚き、鈴華は外に出た。
「ひ、狒々じゃ!! こ、これは狒々の足跡じゃ!!」
昨日の夜、家に近づいた足跡を見つけた。
「怖い!」
足跡を見て彼女はおびえた。
「鈴華!! 今日の仕事は休みだ!! 防衛団に連絡しろ!!」
狒々がいるので外に出ないで団員がくるのを待つことにした。狒々がくることなどなかったので父は動揺している。
「は、はい!!」
娘は式神端末で防衛団に連絡した。連絡はできたが、街から離れているのでくるのに時間がかかる。
親子は家でおびえながら待つしかない。
ストーカーのようなクマがいる状態です。
「美女能力者のお腹にある別空間で特訓をして強くなった中途半端な能力者」と「名門貴族の男の娘の残酷オスガキ無双」と「非正規団員の小事件集」も連載中です。




