幕間 リーナの店とバーナスの依頼
アクセスありがとうございます。
リーナSide
何かの音に反応した私の意識が覚醒し目を開けると、右手がギュッと強く握り締めていることに気付き視線を向けると、手紙をクシャクシャにしていたことに驚きその手紙が大切な物だったことを思い出し焦る。
「ど、どうしよう。渡す手紙なのに・・」
そう呟いていた私の耳に誰か喋っていることを遅れて認識し、それがバーナスさんだってことを思い出す。
「・・だからさ、そういうことだから帰りを待っていてくれ。それじゃ行ってくるよリーナ」
(・・何か言っていたけど、どんな話しをしてたんだろ?そういえば、今日から長い期間の依頼に行くんだったな・・)
今日からしばらくバーナスさんと会うことがない私は、見送りたい気持ちが微塵もないまま立ち去る足音を聞いているだけだった。
「そうだ・・お店の準備しなきゃ」
ゆっくりと体を起こした私は、キッチンにあったパンと水で朝食を済ませてから1階の店舗スペースへと降りて開店準備を始めた。
店のドアを開けて店先に出た私は、閉店と掲げていた看板を取り外して代わりに開店と書かれた看板を掲げてドアを閉めようとした時に周囲から視線を感じて顔を向けると、向かいの商店の客引きのお姉さん達の視線を集めていたことに気付き一礼すると、ぎこちない笑顔で返されてしまう。
それから雑貨屋商店ということで始めた私のお店は、生活必需品の品揃いに力を入れていたため、子供連れのお客さんが多い。
ときどきですが、ポーションが売っていると思い訪れる冒険者が来ますが、取り扱っていないことと店主が私だと告げると良い顔されないため、心がチクリと痛む。
「はぁ・・周りからは、どんな風に見られているんだろ。でも。買いに来てくれるお客さんがいるから、頑張らないと」
それから数十日の時が流れ、私の店に商品を卸してくれる問屋さんも固定できたため、商品の在庫が安定して入ってくるようになった私は、在庫を置く場所がなくて困っている時にふとあの手紙のことを思い出す。
「そうだ・・たしか、地下室があったんだった」
1階の店舗スペースから奥の方へ床を見ながら地下室への入り口を探す私は、なかなかその場所を見つけることができないでいる。
「はぁ・・本当に地下室があるのかな・・そうだ、手紙に書いてあったはず」
あの手紙を常に持っているリーナは胸元から取り出し読み返すと、その罪悪感から涙が溢れ床に落ちる。
「・・ごめんなさい」
謝罪をするリーナであるも、今のリーナは自分のしたいことの方が勝り地下室の入る場所を確認してその場所へと向かう。
「本当にココなのかな?」
ちょうど店の売り場から死角になる壁際に小さな取手がありそれにリーナの指先が触れると、カチッと音がしてパタンと床が下に折れ下がり階段が姿を見せる。
「・・本当にあった」
リーナは初めて入る地下室へと踏み込むと、特有のカビ臭さは皆無でどこかで嗅いだことのある香りが地下室の奥から漂って来ているのを感じそのまま降りていくとリーナの視界には地下室というより工房と言ったほうが正しい光景が広がっていた。
「・・工房だよね?ずっと感じるこの匂いは・・ポーション?」
ずっと嗅いでいた香りで、過去の記憶から答えを引き出してポーション特有の匂いだと導き出したリーナは、ここでリュートがポーション製作をしていたんだと想像する。
「・・きっと、この椅子に座って・・このテーブルに瓶を並べていたのかな・・あれ?」
椅子に座るリーナは、テーブルに肘をついて指先でテーブルに触れていると、棚の隙間に何か紙が挟まっていることに気が付き、細い指先でその紙を器用に引き抜くと小さく折り畳まれている紙だった。
「なんだろ?」
小さく折り畳まれていた紙をゆっくり丁寧に広げていく途中に、何かメモ書きされた紙だと判明する。
「なんか書いてある・・」
その手紙には、小さな文字でビッシリと書かれていた・・・・リュートの気持ちが。
・・リーナが来てから店の売り上げが少しづつ上がってきた。このまま売り上げが伸びれば、販売方法を変えていくことにしよう。
・・最近、バーナスがリーナ目的で店に来ることが増えた。毎回ポーションを買ってくれたら良いのに。やっぱりアイツはケチなやつだ。
・・リーナに話しかけても、バーナスとの約束を最近は優先しているようだ。店主と従業員の関係だから、深く追求する気はないけど、頼んだ買い物は早く済ませて帰ってきてくれないかな。でも、強気に言えないな・・諦めよう。
・・リーナに買い物を頼む度にバーナスと親密に話していると冒険者仲間や商人達が教えてくれる。時間と場所が教えてくれる度に一致しているから信憑性は高い。そろそろ何気なく注意しようかな。
・・なんか、最近は嫌な感じがする。まぁ、その時が来たら対処するしかないか・・それまでに備えていつも通りを演じるしかない。
「リュートさん・・私たちの行動を知っていて・・」
読み終わったリーナは、バーナスと会っていたことを第三者経由でリュートが知っていたことに背筋が凍り、そして最後に見せたリュートの笑顔とあの言葉が脳内にリフレインする。
『リーナも幸せに・・・・そして、俺は2人を忘れない・・』
「うぐぅ・・ぁぁ・・」
もう二度と戻らない日常と裏切った光景が交互に目の前に広がるリーナは、言葉にもならない声を発しながらそのまま心が耐えきれず意識を手放すことで苦痛から解放されたのだった・・・・。
いろいろあると思いますが、裏切り者sideはこんな感じで生きています。
時間軸は、アンナがガノンの店に行った翌日ぐらいになりますので、バーナスは先に依頼のため街を出ています。
もちろん、女剣士メリナも既にパーティーを抜けているため盾役リックスとバーナスそして他2人の4人で
のパーティー構成で依頼をする設定です。他の2人はそのうち出番があるかもです。




