幕間 魔法士アンナと剣士メリナの旅立ち
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アンナ Side
「・・・・もう朝なのね」
ガノンさんに言われるがままにリュートが泊まった部屋に案内された私は、そのままベッドへと倒れ込み微かに感じるリュートの香りを逃さないよう布団をギュッと抱き締めて楽しかった思い出が走馬灯のように駆け巡り涙を流していた私は、いつの間にか寝ていて朝を迎えていた。
「もう起きないと・・」
まだ寝ていたい気持ちを振り払った私は身だしなみを整えて部屋から出ると、廊下でガノンさんと目があった。
「おはようございます、ガノンさん」
「おはよう。飯は、店のテーブルに置いてあるから食ったら皿洗ってくれな」
「はい、ありがとうございます」
女で1人旅をガノンさんに反対された私は、ガノンさんの店で住み込みで働くことになっていた・・冒険者なのに。
でも、不思議と嫌な感じはせず、素直に私は従うと決めている。そう考えながら朝食を食べ終え食器を片付けた私は、外にいるガノンさんの元へと向かう。
「ガノンさん、私は何をすれば?」
「客寄せと・・給仕だな」
「えっと、具体的には?」
「店先で客を呼んで、席に案内して注文を受けたらそれをワシに伝える。それで、できた料理を待っている客に運ぶ。そして客が帰ったら食器を片付ける・・それだけだ」
「はぁ・・わかりました」
それから冒険者として活動していた私は、必死に仕事を覚えて客商売という仕事の難しさを肌で感じながら、ガノンさんに色々と教えてもらって今までなかった知識がどんどん増えていき楽しくなっていた。
楽しさを覚えた私は自分が冒険者であることでさえ忘れそうになる時に、ガノンさんがリュートを泊めた時にもらったポーション瓶を1本私が使っている部屋に持って来てくれた。
「アンナ・・ちょっと良いかい?」
「は、はい・・どうしました?」
「もうここで働いて1ヶ月は経つな・・」
「そうですね・・」
「今日は、コレをアンナに渡そうと思ってな」
「ポーション?・・この瓶は、リュートの?」
ガノンさんは、リューノスの店名が刻まれたポーション瓶を私に差し出してくれる。
「そうだ。これはリュートが俺の家に泊まる代金として置いていったやつだ。あのバカは、品質がエリクサー級を普通にポイッと渡して来やがって驚いたぜ」
「ふふっ・・リュートらしいですね。でも、どうして私に?」
「やっと準備が整ったからだよ」
「準備?どういうことですか?」
「まぁ、明日の朝になったらわかるさ・・それまでゆっくり休むと良い」
ガノンさんは、そう言い残すと部屋から出て行き部屋のドアをゆっくり閉めて行く。
「なんだろ・・」
ガノンさんの言動が気になったけど、手元にあるリュート特製のポーション瓶が唯一の繫りのように感じてギュッと抱きしめている私は、そのまま部屋の部屋の明かりを消してポーション瓶を枕元に置いて、今日の疲れを癒すように眠りについた・・。
と思った直後に頬を叩かれ目を覚ますと、目の前で覗き込むメリナと視線が重なる。
「メ、メリナ?」
「アンナ・・おはよ」
「おはよう、メリナ」
「アンナ、あんたね・・いくらリュートが好きだからってソレは流石に狂気の沙汰よ・・この私でもガクブルだわ」
「な、何がなの?」
「ソレよ・・枕元に置いているポーション瓶。それって、リュートの店の瓶でしょ?しかも特別仕様の」
「・・うん。昨日、ガノンさんにもらったの」
メリナは、私がポーション瓶と寝ていたことに驚いている様子だった。私にとっては大切な物だから普通なのに。
「まぁ・・良いけど。今日は出発する日なのよ?早く身支度を整えなさいね」
「出発?メリナ、どう言うこと?」
「あら?・・ガノン爺さんから聞いてないの?今日からリュートを探しに行くのよ?私と2人で」
「え?・・・・」
メリナの言葉に戸惑っている私は理解できないでいると、彼女が母親のように私の身支度を整えていき、いつの間にか出発の準備を終えた私は、店の前に立っている。
「もう、いつものアンナ様はどこに行ったのよ?」
「ふぇ?・・」
「アンナ、メリナ!待たせたな!」
ガノンさんに呼ばれ顔を左に向けると、ガノンさんは馬車に乗ってやって来た。
「ガノンさん、馬車に乗ってどこか行くのですか?」
「・・・・おいおい。アンナ、この馬車はお前らのだぞ?」
「私たちの?私、御者したことない」
「大丈夫だよ。私は経験者だからね」
「メリナが御者?一度も見たことないよ?っていうかなんでここにいるの?」
今ここで私は、メリナがここにいる理由がわからなくて聞いてしまう。
「今、このタイミングで聞いちゃう?あんたが、ガノン爺さんの店の手伝いをしている間に練習したし、私もパーティーを抜けたの!」
「えっ?・・えー!?」
メリナは驚く私を残念そうな瞳で見ていることに胸が痛むけど、理解できない私はガノンさんに助けを求めるかのように顔を向ける。
「アンナ、この店でずっと働かせるつもりじゃないんだ。ワシはな、メリナと共にリュートを探しに行くのが良いと思ってな。少しでも商売についての知識を身につけてもらって、その間にメリナが御者をそれなりにできるようさせたんじゃ」
「ガノンさん・・」
「2人とも、十数日分の荷物を積んでいるから2つ目の街まではなんとか暮らせるだろう。路銀は寄った街のギルドで依頼をこなして稼ぐようにな」
「「 はい 」」
メリナに御者を任せ私は隣り座る。私たちを見送ってくれるのはガノンさんだけ。
「アンナ、メリナ・・リュート以外の男は信用してはならんぞ?出された食い物は簡単に口にしてはならぬ」
「分かってますよ、ガノンさん」
「ガノン爺さんの出す食い物もアブナイってことだな?」
「メリナ・・そこは言うことじゃないだろ?アンナ、リュートと再会できた時はギルド経由で手紙を送ってくれ」
「わかりました。ガノンさん」
「さぁ、行ってくれ。これ以上は、別れが辛くなる」
「「 行って来ます!! 」」
メリナが馬車を動かし、見送るガノンさんに私は見えなくなるまでずっと手を振り、ガノンさんも見えなくなるまで私たちにずっと手を振ってくれていた。
「アンナ、始まっちゃったね・・」
「そうね、メリナ。私たちのリュート探しの旅が・・」
冒険者パーティーメンバーの一員として活動していた私たちは、この街から出て他の街に行く時は必ずリュートを同伴させていた。リーダーのアイツがモノを買う時に頼りになると言って。
今の私たちは、前衛の剣士メリナと後衛の魔法士の私の2人だけ。胸の内では不安しかないけど、リュートを見つけるこの気持ちで乗り越えようと決めた。
そして、街の門から外へ出た瞬間に私とメリナの旅が始まったのです・・・・。
やっとアンナとメリナの2人をリュート探しの旅に行かせることができました。
時間軸的には、リュート達が地方都市ダジリンの73話あたりにしています。
これからバーナスとリーナの話しも投稿しますが、バーナスの話は旅立つ時だけにして
投稿せずに置いておこうと思います。
何か思うことがあれば、遠慮なく感想に投稿してください。
この物語は3人称で描く練習として投稿しています。
もう1つの1人称で描く練習としての作品も投稿しないとな・・。
ちゃんと完結させますのでご安心を。
これからも、お付き合いをよろしくお願いします。




