幕間 アンナのリュートへの想い
アクセスありがとうございます。
タイミング的に遅すぎましたが、時間を遡って
アンナの行動を投稿しました。
アンナSide
リュートが大切にしてきた店が、あの女に奪われた・・・・アイツが、バーナスが関わっていたなんて・・・・。
今の私の頭の中は、リュートの行方が気になって他のことが考えられない・・。
「おっと失礼!」
「あっ!・・ご、ごめんなさい!」
いつの間にか周りが見えなくなっていたようで、見知らぬ誰かとぶつかりそうになって、相手が避けてくれたからなんとか助かった・・。
「くぅ・・許せない」
リーナのお腹に1発だけ反射的にお見舞いしたけど、全然物足りない。足元で蹲るリーナが立ち上がるのを待つことなく、あのまま頭に攻撃魔法をぶっ放して消し炭にしてやればよかった・・。
あのちょっとした間がなければ、バーナスがリーナを庇う前に消し炭にできたのに・・それにバーナスを殴れなかったことも悔しい。魔法士の私と剣士のアイツのステータス差じゃ簡単に避けられれるのは分かっていたけど・・。
2人から立ち去った私は、気付けば冒険者ギルドの前に立っていた。
「早く脱退しなきゃ・・」
ギルドに入りいつも対応してくれる幼馴染の受付嬢サラがいる窓口へと並び順番を待つ。
「次の方どうぞ〜って、アンナじゃないの」
「サラ、手続きお願い・・」
「手続き?今日は、パーティーで討伐行くんでしょ?」
「パーティーを脱退するの。早くして」
「え?・・本気で言ってるの?」
「本気よ・・これ違約金ね・・」
依頼を受けた後だったため、私は1人分の違約金である銀貨3枚をカウンターに置いた。
「アンナ・・何があったの?それだけは教えてくれない?」
「・・・・バーナスが裏切ったの・・あの女と一緒に。だから、リュートがいなくなっちゃった・・いなくなっちゃったよぉ〜・・」
幼馴染の受付嬢サラに伝えた瞬間に、本当にリュートがいなくなったことを現実だと感じ込み上げてくる悲しみを制御できず涙が溢れ視界が滲んでしまった。
「ア、アンナ・・泣かないで。すぐに手続き終わらせるから」
「うん・・お願い」
サラは短時間にパーティー脱退の手続きを終わらせてくれて、私はソロ冒険者へと登録された。
「お待たせ・・冒険者ランクはそのままだから」
「ありがとう。それじゃ元気でね、サラ」
「待って。リューちゃんは、どこ行ったの?」
「わからない・・もうこの街を出てることしか知らないの」
「もしかして、宛もなくソロで探す気なの?」
「うん・・私には、ソレしかないから」
「無理しちゃダメよ・・私もリューちゃんの情報をギルド網で探すから」
「・・うん。じゃあね」
サラと別れギルドの外へと出た直後にパーティーメンバーだった女剣士メリナと出会ってしまった。
「アンナ!バーナスを迎えに行ってたんじゃないの?」
メリナから視線を逸らした私は、小さく彼女に告げる。
「メリナ・・もう私はパーティーを抜けたから」
「ど、どういうことよ?今日はこれから魔物討伐に行くって決めてるじゃない!!」
「ゴメンね、メリナ。もう私には無理なの・・」
「無理って何がよ?貴方の戦力で無理な依頼じゃないわよ?」
「そうじゃないの・・大好きなリュートがいなくなっちゃったの・・・・バーナスと店にいたリーナの2人が裏切ったから・・」
「・・あぁ、そういうことね」
「・・うん」
女剣士メリナは、私の姿を見て何かを悟ってくれたようでそれ以上追求してこなかった。
「わかったわ。私は、残りのメンバーとサクッと終わらせるから」
「ゴメンね、メリナ」
「別に良いわよ・・正直言って、アンナ不在のパーティーは火力が激減だけど・・・・ねぇ、リュートの後を追うの?」
「うん・・手掛かりは皆無だけど、もうこの街を出てることだけわかってる」
メリナはギルドの壁に背中を預け腕組みをして私を見つめている。
「ならさアンナ、宛もなく街を出る前にガノン爺さんの店に寄りな」
「ガノンさんの店に?」
「そうよ。リュートなら絶対に爺さんの店に行くはずだから」
「メリナ・・どうして、そんなことがわかるの?」
「それはね・・リュートが好きなのが、貴方だけじゃないからよ・・じゃぁね」
「メリナ?・・ちょっと!?」
メリナは私の問いかけに答えることなく街へと消えて行き、彼女の突然の告白に私は驚き追いかけることができずしばらく立ち尽くしていた私は、気を取り直してガノンさんの店へと歩き出す。
「ガノンさん、いますかー?」
店先には休業日と書かれた看板が風に揺れているけど、呼べば出てきてくれることを知っている私は呼びかけていると、閉められていたドアが開きガノンさんが姿を現す。
「アンナか・・久しいのぉ」
「はい、リュートの店で会ったとき以来ですね」
「そうだったか・・今日は1人でどうした?」
「あの、リュート来ていませんか?」
私がリュートの名前を口にしたときに、一瞬ガノンさんの表情が険しくなったことに不安がよぎる。
「アンナ・・それを知ってどうする?」
「リュートが遠く離れてしまう前に追いかけます」
「追いかけるか・・ならば、リュートをあんなに深く傷つけた張本人を知っているんだな?」
「はい、知っています」
「アンナ、今更リュートを追ってどうする?アイツの心は・・まぁ、ワシがこれ以上は言うのはアレか・・」
ガノンさんから放たれる圧に私は手が震えるも、深呼吸をして思いを口にした。
「追いかけて、私はリュートと一緒に生きるの」
「ほぅ・・拒否されたら?」
「そ、それでも私はリュートの近くに・・諦めず彼の傍にいます」
「・・・・」
ガノンさんは、私の覚悟を見定めるように鋭い視線を向けて黙っているのを私は必死に耐えた。
「女の一人旅は、アンナが思っている以上に危険だぞ?」
「覚悟の上です?」
「その身が見知らぬ男どもに穢されてもか?」
「くっ・・・・そんな男は消し炭にします」
「はっはっはっ!思わず股間が冷えたよ・・まぁ、もう暗くなるから中に入りなさい」
ガノンさんは笑顔になり私を受け入れてくれて店の中へと案内してくれて椅子に座ると、向かい側に果実水が入ったコップを持ったガノンさんが座る。
「まぁ、飲みなさい」
「ありがとうございます」
「リュートは、あの日に突然訪ねて来て一晩だけでも泊めてくれと言ってきた。あの時のリュートの顔は忘れられん・・全てを奪われたと泣き顔を必死に堪え嘆いておった・・」
「リュート・・やっぱりここに来たんですね」
「あぁ、仲の良いアンナ達を頼らずにワシの所へ来た理由がわかるか?」
「理由?・・わかりません」
「・・・・また裏切られるかもしれないと、怖くなったからじゃよ」
「そんな!?」
私は、ガノンさんの言っている意味がわからなかった。程よい距離を保った関係でいたのに。
「アンナは、日頃からバーナスと共にする時間がリュートより長いだろ?」
「それは、パーティーメンバーだから当然です。でも、どうして?」
「わからぬか?日頃一緒に居た従業員が裏切り、幼馴染のバーナスと共になると言うことは、パーティーメンバーのアンナの事も疑惑の目で見てしまうってことだ」
「そんな・・」
「だからこそ、今は時間が必要だ。しばらくは、うちの住み込みとして過ごしなさい。部屋は、リュートが泊まった同じ部屋にするからな」
「・・・・はい」
この時の決断で、早く会いたいリュートと再会するまでの道のりが予想を遥かに超えることを、その時の私は知る由もなかった・・・・。




