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108話 足元からの物音・・

アクセスありがとうございます。

評価&感想ありがとうございます。

ブクマ件数も増えて感謝しています。


 あの夜の襲撃から数十日の時が流れ平穏な商売を順調にこなし、売り上げも開店時から比べ数十倍へと伸びて商店リューノスは、王都での有名商店の1つになっていた。


「「 ただいまです 」」


「おかえり〜ルカ、レナ」


「リュート様、今日は街でお祭りがあるようですよ?」


「祭り?」


「はい、露店も増えて何かのパレードもあるようですよ?」


「パレード?誰かの祝いか?」


「多分そうだと思います・・」


「そうか・・なら、俺達も露店を出してポーションを売り出すか・・」


 リュートは陳列していたポーションをアイテムボックスに収納し閉店準備を始めながら、ルカ達に出かける支度をするように伝えて、店先で遊んでいるミヤとカナの声をかけた。


「ミヤ、カナ・・もう少ししたら出かけるから、ルカに手伝ってもらって支度をしてくれるかな?」


「「 はぁ〜い!! 」」


 ミヤとカナは、土で汚れた手を上げて返事をしながら店の中に入り階段を上がって行く。その姿を見送るリュートは、閉店の看板をドアに掲げ自分の支度のため2階へ上がろうとしたときにしたから物音を聞いて立ち止まる。


「ん?・・なんだ今の音は」


 2階では、はしゃぐ足音がするため自分以外は2階にいるんだと認識し耳を澄ませていると、何かを叩く音が数回聞こえた。


「音漏れ?・・・・な訳ないか。そういえば、地下室があるって言ってたような」


 リュートは、入居時に商人ギルド職員クレアから聞いていたことを思い出し使う予定はないため忘れていた地下室の存在を思い出し、頑丈に施錠されている地下室へと繋がるドアの前に立ち止まり耳を澄ませる。


 ・・・・コン・・・・コン・・・・


「聞こえた・・誰かいるのか?」


 ドア横の壁にかけていた鍵を手にして、リュートは解錠し入居してから一度も開けたこともないドアをドキドキしながらゆっくりと開ける。


「主様?」


「はぅ!」


 ビクンッ!!


 突然背後から声をかけられたリュートは、心臓が止まりそうな衝撃を受けて全身を硬直させた後にゆっくりと振り向くとレナが心配そうな表情で立っていた。


「・・なんだ、レナか」


「はい。突然、主様の心が緊張状態になったのを感じたので・・」


「そうか、ありがとう。それに、ミヤとカナも来てくれたんだね」


「「 うん。リュート兄様が行く所には一緒なの 」」


「あはは・・さっきね、下から物音が聞こえた気がしたからさ確かめようと思って」


「主様、レナはお供します」


「ミヤも!」


「カナも!」


 リュートは1人よりはマシだと思い3人を連れて地下室へと続く階段を静かに降りるて行く途中に、再び何かを叩く音がはっきりと聞こえた。


 コンコン・・コン・・コンコンコン・・コン・・


「主様」


「あぁ、1人いるね。気配探知スキルでも捉えた」


「「 リュート兄様、泥棒さんかな?? 」」


「ん〜泥棒さんなら、あんな大きな音は出さないと思うよ」


 リュートを先頭に階段を降りて薄暗い廊下に立ち3部屋ある手前の部屋から開けて確認するも誰もいないことを確認し気配がある最後の部屋の前のドアに立つ。


「・・開けるよ?」


 コクリ・・


 レナ達は頷き、リュートはドアを開けて生活魔法ライトで部屋を明るくするも無人だった・・。


「・・ウソだろ」


「「 誰もいな〜い 」」


「あ、主様・・これはいったい・・」


「まさか、ゴーストさん?」


 コンコン・・


「「「「 きゃー!!!! 」」」」


 絶妙なタイミングで何かを叩く音が響き渡りリュート達は発狂する。


 ドンドン!!


 リュート達の叫び声を聞いたのか急に力強く叩く音へと変わり、叩いている場所もリュートは聞き分けることができた。


「あそこだ・・あそこの四角い枠の方から音が聞こえた」


 ゆっくりと歩き打撃音が聞こえる場所へと近付いたリュートは、壁が枠ごと外れるようになっていることに気が付く。


「今から、この枠を取り外すから危険なモノだったら対処頼むね」


「はい、主様」


 リュートは枠の取手を握り全力で取り外す。


 ガコッ・・


 綺麗に取り外された壁枠の先にリュートが見たのは、顔が土埃で汚れ涙でぐしゃぐしゃな表情の金髪碧眼少女が木槌を持っている姿だった。


「リュート!!」


「クッ・・クリスティーネ様・・」


「うぇ〜ん・・」


 リュートの名前を呼ぶ第1王女クリスティーネは、号泣し持っていた木槌を手放し救いを求めるかのように両手をリュートへと伸ばす。


「今、こちらへ運びますね」


 クリスティーネの脇の下に手を入れて、ゆっくり抱えてからリュートがいる部屋へと引き込むと、レナは外した窓枠を再び嵌め込んで固定する。


「何があったのですか、クリスティーネ様?」


「うぇ〜ん・・」


 泣きじゃくるクリスティーナに、これ以上質問しても無意味だと思い抱き抱えたまま2階へと向かうことにした。


「ルカ、ちょっといいか?」


 階段を上がり2階のリビングに入るリュートは、ルカの名前を呼んだ。


「はい、リュート様」


 リュートに呼ばれたルカは、キッチンから姿を現しリュートに抱かれている少女の正体に気付き驚く。


「王女様・・ですよね?リュート様」


「あぁ・・クリスティーネ第1王女様に間違いない」


 リュート達の家に突如現れた、第1王女に困惑していると、自室から戻ってきたミウが何も知らずにリビングのドアを開けて入って来る。


「お待たせしました〜!リュートさん、こちらにいたんでー!!」


 リュートの肩越しに自分の方を見る少女が、第1王女だと遅れて認識したミウは、言葉の途中から目を見開きながら驚き叫んだ。


「とりあえず、みんな揃ったね・・」


「あの、リュート様」


「どうした、ルカ?」


「僭越ながら、王女様に事情を聞く前にお風呂に入ってもらった方がよろしいかと・・」


「そ、そうだね・・クリスティーネ様。今からお風呂で身体を綺麗にしませんか?」


「うん」


「それじゃ、ルカお願いできるか?」


「はい、リュート様」


「いや、リュートと一緒がいい」


 クリスティーネは手足にグッと力を入れて、リュートから離れないようにする。


「クリスティーネ様、さすがに男の私と入るのは問題があります」


「良いの・・私が許可するから、リュートが一緒に入って」


「しかし・・・・でしたら、ミヤとカナが一緒でも良いですか?」


「・・・・うん」


「ありがとうございます。ミヤ、カナ・・俺と王女様と一緒にお風呂入るよ」


「「 はい、リュート兄様 」」


 ミヤとカナは先にリビングから出て風呂場へと向かい、ルカはその風呂の準備と手伝いで2人の後を追いしばらくしてからルカに呼ばれたリュートは、未だ離れないクリスティーネ第1王女を抱いたまま風呂場へと向かう。


「リュート様、いつもより浴槽のお湯を少しぬるめにしております」


「ありがとう、ルカ」


 先に風呂に入っているミヤとカナは、ルカに長い髪を一纏めにしてもらい浴槽に浸かって顔だけを出してリュート達を待っていた。


 クリスティーネ第1王女は、ルカに服を脱がされ大きめのタオルに身体を包まれ風呂場に入って来る。


「リュート・・」


「クリスティーネ様、こちらに座ってください」


「うん・・」


 リュートに身を委ねたクリスティーネは、汚れた髪を綺麗に洗ってもらった後に全身も綺麗にしてもらいミヤとカナが浸かっている浴槽へとリュートに抱かれたまま浸かった・・・・」


「・・・・城の広いお風呂より、気持ちいい気がする」


「お風呂は、1人で入るよりみんなで入った方が良いんですよ?」


「そうなの?リュート」


「んー今のは言い過ぎですね・・王城のお風呂は広くても1人で入っていませんか?」


「うん、いつも1人で入ってるよ」


 リュートは、浴槽に背中を預け身体を沈めると、ミヤとカナがリュートの胸元に身体を委ねて身体を寄せている姿にクリスティーネは1つの疑問をぶつける。


「そんなにくっついたら、狭くないの?」


「王女様、ミヤはリュートにこうやって身体をくっつけているのが幸せなの」


「カナもミヤちゃんと、同じなの王女様」


「本当に?」


「「 やってみたらわかるよ?? 」」


 ミヤとカナに促されたクリスティーネは、ミヤの隣に行こうとするもココじゃないよと言われリュートの体の上に寝そべるように身体を密着させた。


「おぅ・・王女様?・・流石にコレは・・」


 リュートの焦る言動に耳を傾けていないクリスティーネは、今の気持ちを口にする。


「温かい・・とても気持ち良くて、幸せ・・」


 ソッと瞳を閉じたクリスティーネは、リュートの胸に耳を当てて胸の鼓動を聞く。


「これが、リュートが生きてる音なのね・・」


 クリスティーネがそう呟いた後に、静寂な時間が風呂場に流れ身動きがとれないリュートは、ルカが浴槽のお湯をぬるめにしてくれたことに感謝していると、ミヤとカナが期待の眼差しをしてリュートに問いかけた。


「「 リュートお兄様、魔力譲渡して 」」


「え?・・今ここでか?」


「「 はい 」」


「王女様の前で、流石にな?・・風呂から出たらしてあげるから」


「「 ゔぅ〜 」」


 不満な表情を見せるミヤとカナをよそに、魔力譲渡が気になったクリスティーネは、ここでソレをするように告げる。


「リュート、2人にその魔力譲渡するところを見せて」


「クリスティーネ様・・この魔力譲渡はさすがに見せることは、できまぁむぅ・・」


 ミヤは、勢いに身を任せリュートに口付けをして魔力譲渡を始める。その行為を見たクリスティーネは頬を紅潮させつつ興味津々で見つめ、たまに2人の口から盛れる息づかいと音に胸の鼓動が高まっているのを自覚している。


「ぷはぁ・・満足なの・・」


「次は、カナの番だよリュート兄様・・はむ」


 自分とあまり年齢が変わらないミヤとカナの艶やかな表情を見て、自分がまだまだ子供なんだと思うクリスティーネは、2人に対し対抗心が芽生えていく。


「ぷはぁ・・リュート兄様・・今日も美味なの」


 カナの魔力譲渡が終わったところで、リュートは風呂を出ることに決めて立ち上がり浴槽から出ようとしたときに、クリスティーネがリュートに抱きついて見上げる。


「リュート・・わたしにも、魔力譲渡シテ・・胸が苦しいの・・」


「クリスティーネ様・・王族の血筋に平民の私の魔力を混ぜることは・・」


「お願いリュート。私に魔力は無いから・・魔無しなの・・第1王女なのに」


「クリスティーネ様・・」


 リュートに家族しか知らない自分の秘密を打ち明けたクリスティーネは、涙を流しながら懇願する。


「本当にいいんですね?後戻りはできなくなりますよ?」


「わかってる・・リュートのなら全てを受け入れる」


 リュートは覚悟を決めたクリスティーネの碧眼の瞳を見て、彼女の視線と同じ高さに座る。


「クリスティーネ様、瞳を閉じてください」


「いやよ・・瞳は閉じないわ」


「・・わかりました」


 リュートは優しくクリスティーネを抱き寄せてから、口付けをして魔力譲渡を始める。ミヤとカナと違い、クリスティーネの体内にある魔力回路は、所々で詰まっていたためリュートは優しく魔力を流し魔力回路を正常に修復させていく。


 クリスティーネの魔力回路がリュートの魔力によって修復されて行くたびに、彼女の口から熱い吐息が漏れ呼吸が荒くなり体温も上昇していく。


「んふぅ・・リュート・・もっと・・」


 クリスティーネの魔力回路が全て繋がり、詰まりが解消されたことで魔力循環が順調にできるようになったことでリュートの魔力をもっと欲するようになり自ら吸収しようと始め魔力譲渡の量が急激に増えていく。


「んぁっ!」


 短く喘ぎ声を上げたクリスティーネは、そのまま意識を失い脱力する姿にミヤが口を開く。


「軽く飛んじゃったね・・リュート兄様」


「ミヤ、ただ気絶しただけだよ」


「そうかな?気持ちよさそうな表情だよ」


「・・それは否定できないね」


 気を失ったクリスティーネを抱き抱え風呂場から出たリュートは、ルカを呼び彼女を預けてからミヤとカナの濡れた身体を拭いて服を着せてからリビングへと戻る。


 ミヤとカナと一緒にリビングへと戻ったリュートは、ソファでミヤの服を着て寝ているクリスティーネ第1王女の寝顔を見て起きるまで街の祭りに行くことを取りやめたのだった・・・・。


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