106話 楽しい外食の後に訪れた夜襲
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「「 リュート兄様!! 」」
クリスティーネ第1王女と王城内の廊下を歩き目的の部屋へと向かっている途中に、1つのドアが開いたままでミヤとカナが顔を出して待っている姿があり、リュートを見つけた2人は名前を呼びながらトコトコ走って来る。
「お待たせ!ミヤ、カナ」
自然な流れでリュートに抱きつくミヤとカナの姿を隣りで見るクリスティーネは、王女らしく微笑んでいるものの握ってくれていたリュートの手が自分の手から離れ2人を受け入れたことに深く嫉妬を覚え内心は穏やかではない。
「「 リュート兄様、ルカ姉様達が待ってる 」」
「あぁ、行こうか」
リュートの服を握りミヤとカナが歩き出すとリュートも足を進めるが、一度は離した隣りにいるクリスティーネの手を再び握り歩き出す。
「リュート・・」
「行きましょう、クリスティーネ様」
「そうね」
初めて何も言わず先に手を握られたクリスティーネは、ミヤ達に見せていた作り笑顔から自然の笑顔をリュートに見せて一緒に歩き先程まで存在していた嫉妬心など吹き飛び、幸せな気持ちに包まれていたことをリュートは知らないでいた。
ルカ達と合流したリュートは、王城から帰ることを嫌がる第1王女クリスティーネを落ち着かせることに時間を要してしまい、王城を出た時には既に夕方になっていた。
「もう夕方か・・ルカ、夕飯は外でもいい?」
「そうですね、これから帰って作るより食べて帰った方が良いですね」
「なら決定だな・・ミウ!久しぶりに飲むか?」
「リュートさん、良いんですか?」
「良いんだよ、ルカから許可出たことだし・・行くぞミウ!」
「はいっ!」
「ちょっと、リュート様?それは許可していませんし、待ってください!」
ルカの制止の振り切り、リュートとミウは走り出し酒場へと向かう。その姿を追いかけっこと思ったミヤとカナも走り出す。
「もう、ミヤとカナまで・・レナ、追いますよ」
「はい、ルカお姉様」
ルカとレナは、走り行くリュート達の背を追って走り姿を消した飯屋へと遅れて入って行く。
「遅いぞー!ルカ、レナこっちこっち〜!」
ルカとレナが飯屋に入った時には、既にリュートとミウの手には大きなジョッキを手にしており、ミヤとカナはテーブルに置かれた何かを笑顔でパクパク食べている光景だった。
「リュート様、いつの間に・・」
「2人とも立ってないで、まぁ席に座れよ・・この店はね、早くて安くて旨い店で有名なんだ・・」
「「 ・・・・ 」」
リュートの言葉に苦笑いしながらルカとレナが席に座ると、女給仕が2人の前にジョッキを置き山盛りの炒めた肉入り野菜とパンをテーブルに並べる。
「ありがと、シルさん。コレ代金ね・・それとエール2つおかわりで」
「はい、リュートさん。すぐにお持ちしますね」
「リュート様、あの給仕とお知り合いで?」
「たまにポーションを買いにくるお客さんだよ。彼女も冒険者で、たまに討伐しに行くみたいなんだ」
「そうなんですね・・」
ルカは、視線を逸らして運ばれたジョッキのエールを一口飲む。
「リュート兄様?」
「どうしたのミヤ?」
「ルカ姉様が嫉妬してますよ?」
「ぶふぅっ!ゴホッゴホッ・・」
「ルカお姉様、大丈夫ですか?」
「え、えぇ大丈夫よ。ごめんなさい・・ミヤ、感じ取ってもリュート様に言わないで」
「ご、ごめんなさいです。ルカ姉様・・」
「ミヤちゃんルカ姉様を困らせたらダメなのです」
「カナちゃん・・」
銀髪黒目のミヤは、少し落ち込んでしまったようで俯いてしまう。それをフォローする形で、リュートはミヤを抱き抱え膝の上に座らせた。
「リュート兄様?」
「ミヤ、次は気をつければ良いんだよ・・だから、ご飯は楽しく食べような?」
「はいです」
リュートに頭を撫でられ笑顔を取り戻したミヤは、そのままリュートの膝の上でしばらく食事を続けてから自分の席へと戻った。
大きなテーブルを6人で囲み楽しい夕食の時間を過ごしたリュートは、過去の苦い記憶を繰り返さないようエールを5杯でやめて果実水に切り替えほろ酔い状態で皆との食事を終えた。
飯屋を出た頃には、既に夜となっていて店の窓から溢れる灯りに照らされた通りをゆっくり歩き家に帰る。
リュートとミウはフラついた足取りで、それを見守るように後ろからミヤとカナと手を繋いだルカが歩き最後尾にレナが歩いている。
普段よりゆっくりとしたペースで歩いているため、家に辿り着くまでの時間を要し通りの最後の交点を右に曲がるとリュート達の住宅兼店舗の建物が見える。
ドゴォン!・・ガンッ!!
ルカとレナの視界に見えていた先頭をフラフラ歩く酔っ払いのリュートとミウが角を右に曲がり一瞬視界から消えた瞬間に激しい衝突音と共に2人が吹き飛び家屋の壁に激突し崩れた瓦礫で姿が見えなくなった。
「リュート様!」
「主様!!」
突然の出来事にルカとレナの2人は一気に緊張状態へと移行し、吹き飛んで行った瓦礫の山へとルカはミヤとカナの手を繋いだまま駆け出し、それを守るようにレナは帯剣している片手剣を抜き警戒しながらルカの背中を守るよう移動し、リュートに危害を加えた正体を視界に捉えたのだった・・・・。




