102話 突然の訪問者
アクセスありがとうございます。
「いやぁ、リュート君待たせたね」
商人ギルド職員クレラが部屋を出てギルド長アキン=ゴールダーが部屋のドアを開けながら口にしながら入って来た。
「いえ、俺達もさっき来たばかりですから。それに、今日俺達が呼ばれた理由はなんですか?」
「ん?まぁ、とりあえず飲み物でも・・クレア君、お願いできるかな?」
「はい、ギルド長」
職員のクレアは、部屋に入っていた時に持っていた大きな籠から茶器を取り出し、慣れた手付きで先にリュート達にハーブティーを注いだコップを配膳しギルド長アキンには、最後に手渡した。
「ふぅ・・クレア君が入れてくれるハーブティーは、今日も別格だね」
「ありがとうございます・・ギルド長には、いつもと同じように特別な出涸らしにしていますから」
「はっはっはっはっ!これは、参ったね。僕好みの薄味だと感動していたのに出涸らしだったとは・・僕の感謝の気持ちを返してくれる?」
ギルド長アキンの横に少し離れて立つクレアは、半笑いの表情で見下ろし告げる。
「長い付き合いですから、出涸らしで十分かと・・」
「ん〜深い愛を感じるよ・・わかるかな?リュート君」
「そ、そうですね・・かなり深く捻くれた愛ですが」
リュートの視線の先には、満面の笑みのギルド長アキンと真逆の冷酷な瞳でアキンを見下ろすクレアの2人の姿を見て、2人の愛の形は一生理解できないと感じていた。
その静かな時間が流れゆく中で、クレアが溜息をついて口を開く。
「・・ギルド長、ふざけていないでリュートさん達との話しを進めてください」
「おぉ!そうだったね・・・・・・さて、リュート君」
ほんの数秒前まで悪ふざけをしていたギルド長アキンは、少しの間の後に一瞬で真顔になりリュートの名前を口にすると、部屋の空気が一変した。
「・・・・はい」
「昨日、君の店に来たお客さん達の身元がね・・召喚者様達だったんだよ。その中で少年1人が激しく王族関係者に抗議したらしくてね。冒険者ギルド経由で商人ギルドに苦情がきたんだよ」
「そうですか・・先方は、何かを要求していましたか?」
「・・・・まぁ、なんだ・・特に大事にはならないらしい・・」
急に歯切れが悪くなるギルド長アキンの様子を伺うリュートの右隣りに座っていたレナが珍しくリュートより先にスッと立ち上がりリュートを守るように半歩だけリュートに身を被せる。
「レナ?」
ドンッ!!
突然のレナの行動にリュートが見上げ名前を呼ぶと同時に部屋のドアが大きな音を出しながら勢いよく開けられ部屋にいた全員の視線がドアへと向けられる。
「見つけた!」
ドアを開けて中に入って来たのは、黒髪黒目の少年で、リュートは彼に見覚えがあり顔をジッと見ていると少年と視線が重なり少年はリュートへと近づく。
「止まりなさい!それ以上、主様に近づく事を許しません!」
レナの警告に少年は足を止めて、視線をリュートからレナへと向けられた。
「俺は、勇者レオ。今日は、そこの彼に話しがある」
「レオ様、私は、リュート様の従者であるレナと言います。その放っている威圧を解除されない限り、主人様にこれ以上近付かせることはできません」
「退いてください、レナさん。俺は、その彼と話しがしたいんです」
「退きません。主様をお守りするのが、私の使命」
「どうして?その彼は、俺達の・・俺の大事な仲間を傷つけたんだ!」
物事が思い通り運ばない勇者レオは、段々と苛立ちをみせ声が大きくなり威圧感が上がっていく。
「主様は無実です。貴方様のお仲間の方は、気絶していただけです」
「そんなはずはない!彼女は、剣聖なんだぞ?その辺にいる君達のような凡人とは違うんだ!・・君とは、話にならない、力づくでも退かす」
勇者レオが実力行使に移り、レナを横へと退かせるため右手で肩を掴み押し飛ばそうとし始める素早い動きをリュートは見逃す事なく、前に立つレナの引き締まった細い腰に腕を回し自分の方へと抱き寄せながら自身の膝の上に座らせた。
「んなぁっ!」
確実に捉えたはずのレナの肩を力を込めて押し飛ばしたと思っていた勇者レオは、自分の右手が空振りしわずかに姿勢を前に崩した事に驚きながらも勇者特有の身体能力でカバーし姿勢を持ち直した。
「主様・・」
「レナ、怪我はない?」
目の前にリュートの黒い瞳で見つめられるレナは、頬を紅潮させていると心配されている事に気付き小さく頷く。
コクッ・・
「そう・・良かった。レナは座ってて」
「ですが・・はい、主様」
レナは腰を持たれそのまま膝の上からソファへと座らされおとなしくしていると、自分の動きを読まれていたような動きで回避された事実に勇者レオは、今も自分の右手を見つめていた。
「さてと・・勇者レオ様・・商人のリュートと言います。私の大事な従者に手を出すのは今後控えてくださいね」
「い、いつのまに・・」
勇者レオの驚いている反応を無視して、リュートは話しを続ける。
「あの日のマイカ様は、店先で急に意識を失い倒れたのが事実です。そのため、マイカ様の身の安全を守るため当店にて保護をしておりました。なので、私達に落ち度はありません」
「おい・・さっきから彼女をマイカって馴れ馴れしく呼ばないでくれるかい?彼女の名前は、キサラギ・・」
「・・・・キサラギ様は、突然気を失ったので保護しただけです。ただ、これだけなのです」
「嘘をつくな・・マイカから聞いたんだぞ。店の前で、急に魔力と体力を奪われて抗うこともできず身体を触れられながら意識を失ったって・・」
勇者レオの主張は間違ってはおらず、ソファに座りニコニコとミヤとお菓子を食べているカナの補助魔法が原因だと認識しているリュートは、この場を収束させる方策を考える。
「・・勇者レオ様、もう一度キサラギ様にお会いすることはできませんか?」
「・・・・・・わかった。今から連れて行く」
「ありがとうございます。彼女達も一緒に?」
「好きにすればいい・・変んなことをしようと考えるなよ?」
「もちろんです。勇者レオ様」
勇者レオの案内により、リュート達は急遽王城へと行くことになってしまったのだった・・・・。
週末は投稿します。
感想や評価などお願いします。




