9 北の国
北の国の国王は東の国の国王と親交がある。隣国に敗北したと聞いて心配した。二ヶ月前から会えなくなった。
9 北の国
先に東の国の異常を気付いたのは北の国だった。北の国は東の国と親交がある。北の国と東の国の国王は従兄弟同士だ。気が合う仲間同士だ。隣国との戦争で敗北した時は本当に心配した。助けに行こうかと思ったくらいだ。宰相に止められた。
「ご心配は判りますが、東の国の隣国はただならぬ気配がします。慎重に行動しましょう。たとえ我が国が東の国の隣国を倒しても我が国には何の得もありません。逆に我が国が敗けたら取り返しがつきません。この国を担う国王ならば良く考えて行動して下さい。」
と言われた。
その後もしばしば東の国王とのやり取りをして東の国の苦境を知らされた。敗北を認めたと言う報せには涙したほどだ。その後も状況は悪化していく事は判った。それでも使者が東の国の国王に会えないと言う事はなかった。それがニヶ月前から突然会えなくなった。再度使者を送ったが同じだった。宰相に、
「東の国に何があったか調べろ。東の国が隣国に占領されたのかも知れぬぞ。」
その可能性が一番高い。しかし宰相は、
「勿論お調べしますが、早急な判断はお控えください。東の国の隣国と事を構えるのは自殺行為です。」
その後の報告は断片的な物だった。引き続き東の国は国王が代表な事、何度か面会を求めたが認められない事、外務大臣が変わった事、北の国と関わってきた人物が大きく様変わりした事などが判った。決定的だったのが、東の国から逃げ出した東の国の高官が、
「東の国は隣国に乗っ取られました。」
の一言だった。北の国の国王は納得した。東の国の国王は既に国王ではない。北の国の国王は宰相を呼ぶと、
「東の国が隣国に占領された。この国にも攻め込んで来るぞ。国防会議だ。国防会議を招集しろ。」
宰相は承った。
翌日、国防会議が招集された。国防大臣の他国の幹部が集まった。これだけのメンバーが集まるのはめったにない。
国王が状況を説明してメンバーに問うた。
「打って出るか、守りに入るか。」
参加者の一人が、
「相手がこの国に攻めて来るのは確実な事ですか。かえってこちらから攻め込むのは藪蛇ではないでしょうか。」
参加者の一人が、
「相手の力が判らない以上、情報を集めてから新ためて考える事だと思います。」
参加者の一人は、
「国王陛下の問に答えるなら、守りに入るが正解でしょう。」
一様に打って出る事には賛成しかねるとの意見ばかりだ。国防大臣は、
「国王陛下のご命令が打って出ろなら、打って出るのは構わないですが、私の意見を言わしていただければ相手は未知の敵、守りに入って情報を集めたいと思います。」
結局、守りに入って情報集める事になった。国王は、
「皆の考えは判った。しかし相手は、明らかな敵、取り敢えず守りに入って情報を集めるが、何時でも出陣出来る用意はしておけ。」
全員了解した。
北の国の諜報部員が東の国や隣国に派遣されて調査した。諜報部員達が東の国や隣国に入国を制限される事はなかったが調査は中々進まなかった。
国防会議の結論は守りに入って情報を集める事だ。諜報部員を東の国と隣国に派遣した。調査は中々進まなかった。




