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          10 思惑

 東の国の国王は軟禁状態だ。その東の国の国王が北の国の国王宛手紙を書くと言い出した。アンドロイドは東の国の国王を馬鹿にした。

             10  思惑


 東の国王は今軟禁状態だ。アンドロイドが絶えず世話をしているので生活に困る事はない。外との情報は完全に遮断されている。東の国王は、

「北の国の国王と連絡が取りたい。手紙を出す準備をしてくれ。」

アンドロイドは馬鹿にしたように笑って答える。

「救援要請ですか。別に構わないですがあっちが困るでしょう。」

東の国の国王は、

「どう言う意味だ。」

アンドロイドはせせら笑うように、

「あなたは北の国の国王に救援を求めるのでしょう。国王は幹部は諮るでしょう。幹部は救援を止めるでしょう。国王の顔は潰れます。」

東の国の国王は益々怒り出す。

「幹部が止めるとは限らないだろう。」

アンドロイドは東の国の国王を見て、

「よっぽど馬鹿な幹部でなければ止めます。何しろ相手はアンドロイドですから。」

東の国の国王は納得したように、 

「とにかく北の国の国王に手紙を出す。状況を伝えねばならぬからな。救援要請はせぬ。ただ事実を伝えるだけだ。その上で判断は北の国に任せる。アンドロイドの事も伝える。東の国はアンドロイドに敗れたとも。お前らには読ませはせん。封蝋に東の国の印押して渡す。」

アンドロイドは素知らぬ顔で、

「どうぞご自由に、干渉はしません。ただ北の国の王宮に行って門番に渡すだけです。ついでこちらの手紙も添えます。ただの注意事項です。」

東の国の国王は怒り燃えた顔アンドロイドを睨みつけた。

 そのやり取りをマリエールと第ニ王子は聞いた。マリエールは、

「東の国の国王は北の国の国王に救援要請するのかしら。中身が見えなければ確かめようがないけれど、テレパスして確かめた方がいいかしら。」

気のない様子で第ニ王子が、

「わざわざ確かめる必要はないよ。東の国の国王の手紙で北の国の軍隊が動く事はないよ。それよりこちらからの手紙だよ。攻めてきたら困ると書こうか攻めてきていいよと書こうか。」

呆れた顔をして、

「それは決まっているでしょう。和平のための手紙だもの。攻めてきたら困ると書くものでしょう。誰が書く? アンドロイドに任せようか。和平のための手紙だから攻めてきたら困ると書くように伝えれば書いてくれるでしょう。」

その手紙が北の国の運命を決める手紙になるとはマリエールも第ニ王子も知る由もなかった。

 そして東の国の国王の手紙とマリエール達の手紙が同時に門番に渡された。東の国の国王の手紙の宛先が北の国の国王宛だったのに対してマリエール達の手紙の宛先が宰相宛だったのが一層話しをややこしくした事は明らかだ。東の国の国王の手紙は如何に隣国が卑怯な手を使い、東の国を陥れたか切々と書かれていた。それに対してマリエールアンドロイドの書いた手紙は「戦争をしたくないので攻められたら困る。」としか書かれていない。宰相も国王も手紙を見せ合えば何かが変わったかも知れない。国王は卑怯な隣国のやり口に腹を立て宰相は隣国は弱気と受け取った。

 再度国防会議が開かれた。諜報部から東の国や隣国の情報が伝えられると共に東の国の者達の話しをした。

 マリエールと第ニ王子は合わせて北の国に手紙を書く事にした。攻めて来られたら困ると書くか攻め来てもいいと書くか迷った。

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