7 経済圏
東の国は、西の国の鋼を手に入れるために武力行使を控えていた。そして上手く鋼が手に入った。後は侵攻するだけだ。
7 経済圏
加工食品や西の国の鉄鋼製品を何割増しか値段で東の国に輸出する。それに見合う地下資源を手入れる。それを西の国に販売する。いつしか我が国の資源は西の国に売らなくなった。貿易でそれぞれの国がそれぞれの目標を達成する。
東の国の諜報部員がリーダーに話す。
「今回は成功しましたね。西の国の鋼は我が国と比べ物になりませんからね。しかし、隣国は良く承知しましたね。自分の首を絞める事になるのに。」
リーダーは怒り出した。
「迂闊な事は言うな。誰が聞いているか判らんぞ。隣国の者に漏れたら貿易を途中で打ち切られるぞ。国王の配慮が判らんかこの痴れ者。我々さえ騙す国王の配慮を。」
今の国王になって一度も武力行使を行なって来なかった。油断させるためだった。決定的だったのが今回の第一王子の婚約破棄だった。普通なら武力行使をして隣国を東の国寄りの者で固めるはずなのに敢えて武力行使を行わなかった理由は、西の国の鋼を手に入れるためだった。敢えて諜報部員にも報せずに隣国と西の国を安心させて鋼を手に入れるために。リーダーは、
「だから、気付かれるわけにはいかない。せめて鋼が軍全体にいきわたるまでは。」
諜報部員は、
「壮大で用意周到な計画ですね。」
おそらく、隣国だけを狙うわけではないようだ。隣国だけ狙うなら新たな鋼は要らない。西の国も狙うから新たな鋼が必要なんだろう。実に壮大で用意周到な計画だ。
一方、我が国では国王陛下とマリエール達との密談だ。国王陛下が、
「マリエール、鋼を東の国に輸出しても大丈夫なのか。鋼の武具、防具が脆いのが東の国の弱点だった。その弱点を無くしたなら彼らは我が国や西の国を併呑しに来るぞ。」
国王陛下の問いにマリエールは、
「心配無用です陛下、アンドロイドがいます。アンドロイドは無敵の兵士です。私の命令すればアンドロイドが東の国の軍勢を殲滅します。」
アンドロイドは各国に運搬係として居る。決して強いと言う印象は無い。大丈夫なのだろうかと言う思いがある。大丈夫ですとマリエールは言う。決めた事だ。信じるしかあるまい。
西の国でも議論はあった。しかし国を隔てた国の事。むしろ鋼の輸出を決めたのは隣国の自己責任だと言う論調が多かった。
鋼の輸出入は順調に進み。軍備の整備も完了した。後は予備用の軍事物資だけの整備だけだ。準備は完了している。出陣の号令を待つだけだ。
何時も通り突然の侵攻だった。東の国には宣戦布告と言ったルールが全くないらしい。しかし今回アンドロイドが動きを把握していた。東の国の侵攻を同時にアンドロイドが動き出した。激戦と言うほどの物ではない。アンドロイドが魔法放って収納する事の繰り返しだ。一方的に東の国の軍勢が殺られていく。東の国の軍勢は大混乱だ。部隊の責任者は、
「こんな話しではなかった。この国の軍はもっと弱いはずだった。これでは一方的な殺伐だ。撤退だ。撤退命令を出せ。」
東の国の軍は撤退を始めた。追撃はしなかった。
侵攻が始まった。新しい鋼を使った武器だ。強靭だ。敗けるはずがないと思ったが、完敗だった。




