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          3 東の国

 東の国の諜報活動はある意味、危機にある。武力行使が許されない。今までやって来た事が許されない。危機的状況だ。

            3  東の国


 東の国としてはマリエールを王太子の婚約者から引き摺り落とし東の国の息のかかった者を王太子の婚約者にしたかっただけだ。子爵令嬢なら辛うじて婚約者になり得た。第一王妃を通じて作戦を立て実行した。結果は惨憺たる物だ。要するに武力に訴えなかったからこの結果になったのだろう。現国王はこう言った事に武力行使を是としない方なので行き違いがままある。今までの我が国のやり方であれば、第一王子が婚約破棄した時点で武力介入しただろうがそういう介入が出来なかったため完全な裏目に嵌ってしまった。諜報活動それ自体の見直しが必要なのかも知れない。諜報活動が国に損失を与えるなら止めた方がいい。少なくとも武力介入を前提とした諜報活動は止めるべきだ。諜報部員の一人が上司に、

「今回は完全に失敗でしたね。第一王妃は蟄居になって第一王子は廃嫡になって、第ニ王妃の子どもの第ニ王子がマリエールの婚約者になって事実上の王太子になりました。諜報活動のなる事なす事裏目に出て、諜報活動が役に立つどころか有害と判断されても仕方ない結果ですよね。いかに諜報活動が武力を前提にした活動をしてきたが判る結果ですよね。」

上司は特別感情を見せず。

「成功と言えずとも失敗とも言えまい。後の芽は残った。誰も死んでいない。後は指示次第だ。諜報部員の活動とはそういう物だ。」

諜報活動の基本は何時も一緒だ。

 子どもの社交会では、第ニ王子が、

「皆さんコップをお持ち下さい。この国の平和と繁栄を祈って乾杯。」

マリエールが、

「挨拶だと言ったでしょ。」

と言う。去年と同じ小言が幾分優しく感じた。気のせいだろうか。

 それからもマリエール小言は続く。学習、礼儀作法、言葉遣い、側近への接し方、国民への心遣い、上げたら切りが無い。まるで姑のようだ。もっともの話しばかりだ。でも第ニ王子が第一王子と違うのはマリエールが何を言っても腹を立てないことだ。自分の未熟さに腹を立てるだけだ。人の器が違う。ただそれだけだ。ただそれだけの違いが決定的な違いだ。マリエールは聖人の域だ。第ニ王子もそれだけは判る。何時まで経っても追いつかない。圧倒的な差だ。マリエールは何者だろう。何でも教えてくれる。間違いがない。もし居たら神様のような存在だ。国の未来を委ねられる。マリエールは望まない。第ニ王子はただマリエールの望みを叶えるだけだ。ただそれだけで国民は幸福になれる。それは第ニ王子の願いでもある。

「マリエール、この道は曲げた方がいいのか真っすぐがいいのか。」

道路整備の事だ。行政の事を国王は一部担当させてくれる。マリエールに頼る。全ては国民のためだ。マリエールも拒まない。

「真っすぐがいいです。トンネルを掘りましょう。土魔法で出来ます。私に任せて下さい。絶対に出来ます。後は時間の問題です。早く出来るといいでしょう。明日にでも見てみましょう。国民が待っています。早く作りましょう。」

マリエールの場合は早く完璧に出来る。全て第ニ王子の手柄になる。マリエールは手柄を望まない。影で活躍するだけだ。

 マリエールの小言が続く。学習、礼儀作法、言葉遣い、あらゆる事で小言がある。第ニ王子は第一王子のようには五月蝿さがらない。

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