13 戦闘
北の国の兵士は堂々として出陣した。東の海沿いの街に駐留する敵の部隊を見付けた。本体の一部をわけて向かわせた。
13 戦闘
北の国の軍勢が動き出した。百戦錬磨の兵達が集う進軍だった。堂々の行軍はどんな難敵も倒してきた自信が溢れる。今度の敵は少し遠くて任務が複雑だ。友軍を救出した後敵軍を玉砕する。敵と味方を判別しなくてはならない。難しい任務だ。しかしそのような任務は珍しくない。当然の任務だとしてこなしていくだけだ。
最初の休憩地点で上官の訓示があった。
「今回の敵は、卑怯な手段で東の国を陥れた国との戦いだ。正義の鉄槌を加えなければならない。卑怯な手段をきっと数々使ってくるだろう。予告なしの攻撃、夜襲、奇襲、暗殺などだ。敵と対した後は常に臨戦態勢で臨まなければならない。長く苦しい戦いになると思うが信じてくれ。正義は常に我等にある事を。」
彼らは知らない。これがアンドロイドとの戦いである事を。
北の国の参謀本部も楽観視していた。
「敵がどんな卑怯な手を使おうとも玉砕して見せますよ。」
彼らは知らなかった。東の国の国王が敢えて報せなかった現実がある事を。そして進行した。そして発見した。東の海沿いの街に敵軍が駐留しているのを。
「このまま進めば挟み撃ちになります。先ず街にいる駐留部隊を討伐してから境界にいる敵を撃つべきだと具申します。」
陸軍大将は大いに機嫌を損ねた。
「駐留部隊の規模はいかほどか。」
報告者はやや考えて、
「1000名程度だと聞いております。」
陸軍大将は嘲笑った。
「その程度なら一部の軍をそちらに向かわせろ、他の軍はそのまま進行せよ。」
この決断が戦局を決めたのかそうではないのか良く判らない。結果として判っているのは、駐留部隊は向かってきた敵を一瞬にして葬り、敵の後方から攻撃して国境の部隊と挟み撃ちして北の国の軍に壊滅的な打撃を与えた事だけだ。
駐留部隊から見るこの戦いはこのような物だった。敵本体は50万の大軍で堂々と駐留部隊の西を南下しつつあった。その内の数千の部隊がこちらに向かっているという報が入った。部隊長はやや焦った。敵の排除に手こずって本体の挟み撃ちする作戦に支障が出る事を恐れたからだ。幸い敵の排除は手早くできた。それでも敵の本体は国境の軍と接触する直前だ。駐留部隊は直ちに敵の本体を追った。駐留部隊が敵の本体に追い付いた頃、敵の本体は国境の軍と接触した。駐留部隊も魔法を放った。ファイアランス、ファイアボール、ウィンドウカッター、ストーンバレットだ。単純で攻撃範囲が広く皆殺しにならない魔法だ。恐怖の情報は持ち帰らせなければならない。9割が死んで1割が生き帰った。軍事的には全滅と言っていいだろう。
北の国の国王は、
「東の国の国王に騙された。」
と叫んだ。戦端は開かれてしまった。しかも「攻めてこないで欲しい。」という相手の希望を無視して。戦争は終結させたい。できれば対等な立場で。しかし連絡方法がない。北の国自ら無くしてしまった。50万人の兵を皆殺しに出来る兵が攻め込んだら北の国は一巻の終わりだろう。穏便に済ませたいと国王は願った。
北の国の軍勢は挟み撃ちにあって壊滅した。北の国の国王は騙されたと叫んだ。何とか穏便に終結したいと願った。




