093⚫️度胸だけは褒めてやる & 094⚫️話し上手は聞き上手
093⚫️度胸だけは褒めてやる
なんだ、こいつ・・・ああ、王都から来た連中か。
ひとりだけで来たのかよ。
ふん、下っ端を寄越しやがったな。
オレたちは危ないって噂、知ってるだろ。
上のヤツらなら、ご大層に大勢連れて来るはずだもんな。
これ見よがしに剣や槍を持って、隊列を揃えて、威圧的だったもんな。
・・・まあいい。入りな、若造。
その度胸だけは褒めてやる。
094⚫️話し上手は聞き上手
長はカナタの挨拶を聞くと、不機嫌そうに応えた。
だいたいな、オレたちは前の王に請われて併合されてやったんだ。
法も形だけだ、ってな。
ふん、オヤジたちは頑強に抵抗したからな。
他の地方の制圧もあったから、
王は援助物資を贈る、税はしばらく求めん・・・。
そんな条件を出してきた。
それで何だっけ、あの国名は? ゼルダ? ゼータ?
ああ、ゼルド・ファルマか。そうだそれだ。
とにかく自分の王国に協力してくれって、
エルドランが言うから顔を立ててやったんだ。
それを今さらなんだよ。
税を出せ、人を寄こせ、シキタリに従えってかあ?
エルドランが死んじまって、第三王子があとを継いだぁ?
長子継承だろうが、普通はよお。
おまけに国の名前も変えちまったらしいな。
そんじゃあ、オレたちと約束を交わしたのは、
王が変わっちまったら無かったことってか?
今の王になってから、もうしばらく経ってやがる。
海を渡って攻めにも行ったんだろ?
ふん。オレたちのことは後回しだったな。
やっと来た連中はガチガチに武装して居丈高だった。
何、考えていやがるんだ。
このごろ、ちょっとばかり評判がよくなったっていっても、
オレたちは納得しねえぞ。オレたち、危ねえんだからよ!
カナタは頷きながら、長の言葉を黙って聞いていた。




