076⚫️デザートの前に & 077⚫️自由な摩擦
076⚫️デザートの前に
魔物の国境線を越えた。
と言っても、目印があるわけじゃない。
だいたい、このあたりから魔物が出ることが多くなる・・・そんな感覚。
ベルムの料理は今日も最高。
特にパスタ。
このドラゴンリザードのソース、もう完璧よね。
ルイーザもグラノフも夢中で食べてる。
わたしもだけど。
デザート、何かな。楽しみ。
・・・あれ?
人影?
魔物じゃないよね。
077⚫️自由な摩擦
「あの時の村の人かあ。」とグラノフ。
「はい。あなたたちが魔王を追い払ってくださったおかげで、自由に村を出られるようになりました。本当にありがとうございました。」
ルイーザが首をかしげる。
「ふ〜ん・・・じゃあ、生活が随分変わったんじゃないの?」
「はい。ゴーレムが物を運んでくることはなくなりました。だから今は、自分たちで狩りをしたり、魚を釣ったり、木の実を集めたりしています。」
「それって、食べ物が不足してるってことじゃないの?」とエレナ。
「いえ、不足というほどではありません。畑はこれまでどおり耕していますから。ただ、油や衣服なんかは境界線を越えて物々交換に行きます。手間は増えましたけど。でも、’魔王の秩序’の時にはできなかった家庭内の喧嘩も、今は当たり前にできますからね。」
エレナは小さく呟いた。
「・・・’押し付けられた平和’から、’自由な摩擦’になったってことなのね。」
その言葉を反芻しながら、しばし考え込んだ。




