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072⚫️王の布告 バルハインは当事者
バルハインは、その集落に立ち寄るたびに
必ず妻の墓へと足を運ぶ。
もとより、墓の下には何もない。
妻の亡骸は、あの追撃の混乱の中で
どこへ消えたのか、誰にもわからない。
それでも
落ち延びた一族の者たちが、
家族や親族を想い、
その魂を弔うために建てた墓である。
墓標も葬祭も、
生き延びた者たちの自己満足なのかもしれない。
だが、生き残った者の胸には、
亡き人々が確かに生きている。
その記憶こそが、生者を支え、
明日へ踏み出す力となる。
祈りを終え、集落へ戻ったバルハインに
ひとつの報がもたらされた。
・・・王が布告を出した。
謀反に関わった者の家族・親族であっても、
直接の関与がなければ罪には問わない、と。
集落にざわめきが走る。
救われた者もいるだろう。
だが、バルハインは違う。
彼は、あの謀反を起こした張本人のひとりだ。
彼の道は、まだ遠い。




