034⚫️自己陶酔 & 035⚫️自己陶酔じゃないの
034⚫️自己陶酔
動物が獲物を仕留めた際に見せる誇らしげな態度は、実に見事な「得意顔」に見える。胸を張り、意気揚々と歩くその姿は、一見すると人間のような自己陶酔そのものである。
しかし、生物学的な視点に立てば、
それは本能的な達成感や脳内の報酬系がもたらす一過性の快感に過ぎない。
クジャクの華麗な求愛も、本人が美しさに酔っているのではなく、
生存と繁殖を賭けた生存戦略の表れである。
対して、真の意味での「自己陶酔」は、高度な自意識を持つ人間にのみ許された精神活動である。
人間はメタ認知能力を駆使し、
鏡の中の自分に「理想」という付加価値を与えて酔いしれることができる。
動物の反応が「今、ここ」の快楽に根ざすのに対し、
人間の陶酔は社会的な評価や自ら描く物語に基づいた複雑な産物だ。
動物の生命力あふれる「得意げな輝き」と、
人間が自らの虚像に耽溺する「孤独な迷宮」。
両者は似て非なる、生命の進化が描いた対照的な景色といえる。
「お前だけだ、予の心中を話せるのは。」
王は愛猫に話しかけた。
それは誇らしげに咥えたバッタを見せびらかしている。
頭を撫でると増々自慢気に尻尾を立てた。
レグナスは姿見に映る自分を見つめる。
まだ、若い。だが、苦い。
できる。自分ならできる。
軽い自己陶酔を猫と共有しながら、
王は酒のグラスを口に運ぶ。
035⚫️自己陶酔じゃないの
自己陶酔じゃないよ。
でも、わたし、結構かわいいと思うんだけどな。
今日はジンさんお仕事で、お迎えはアキラさん。
うん、お話も弾むし、ありがたいんだけど。
なんだか、違うのよね・・・。
ごめんね、アキラさん。
でも、どうしようもないの。
ヒトってむずかしいなあ。




